第36話 光電
ペーパーとフレイムは必死に戦っていた。
紙が舞う。
火球が飛ぶ。
連続攻撃。
だが。
全て。
獣となったファングがかわす。
さらに。
死角へ回ろうとしても。
「右です」
トレイルが即座に告げる。
「左です」
「後ろです」
全て読まれる。
『嗅覚追跡』
その能力によって。
ペーパーたちの位置は隠せなかった。
窮地。
「このままじゃやべぇ……」
ペーパーが焦る。
フレイムの顔にも余裕がなくなっていた。
格上。
しかも二人。
状況は最悪だった。
すると。
ファングが呆れたように笑う。
「おいおい」
牙を見せる。
「もう諦めんのか?」
そして。
獣の足が地面を砕いた。
ドンッ!!
一瞬だった。
消えた。
そう見えるほど速い。
「なっ!?」
ペーパーが目を見開く。
気付いた時には。
ファングが目の前にいた。
速い。
圧倒的に。
そして。
拳が振り下ろされる。
ドゴォォォォン!!
地面ごと吹き飛んだ。
建物が崩れる。
瓦礫が舞う。
ペーパーとフレイムの身体が宙を舞った。
「ぐはっ!」
ペーパーが血を吐く。
フレイムも地面へ叩きつけられる。
ファングは鼻を鳴らした。
「所詮下位か……」
その時だった。
ザクッ。
ザクザクッ。
「いてぇ!!」
ファングが叫んだ。
足を見る。
紙の剣。
何本も刺さっている。
血が吹き出す。
ファングの表情が歪んだ。
土煙の向こうから声がする。
「へへ……」
ペーパーだった。
血だらけになっている。
それでも笑う。
「やっと死角ができた」
ファングが殴る直前。
ペーパーは大量の紙を地面へ仕込んでいた。
ファングの意識が攻撃に向いた瞬間。
足元から紙の剣を突き出したのだ。
トレイルが感心したように言う。
「やりますねぇ」
本気で褒めていた。
ファングは獣化を解除する。
足から大量の血が流れていた。
「くそ……!」
膝をつく。
「足が……!!」
ペーパーは荒い息を吐いた。
「はぁ……」
「はぁ……」
そして叫ぶ。
「これでお前は動けない!!」
視線を向ける。
「フレイム!!」
瓦礫が吹き飛ぶ。
赤い髪の男が現れた。
フレイムだった。
顔に傷。
服も破れている。
だが。
まだ戦える。
フレイムは笑った。
「お前ならやってくれると思ったぞ!!」
ペーパーも笑う。
フレイムは両手を前へ出した。
火球が生まれる。
一つ。
二つ。
三つ。
十。
二十。
全てが集まる。
融合する。
巨大化する。
眩しいほどの熱量。
周囲の空気が歪んだ。
「くらえ!!」
巨大火球が放たれる。
ファングへ一直線。
ファングは痛みに顔を歪めながら。
迫る火球を見つめた。
そして。
ドゴォォォォン!!
巨大な爆発が起きた。
炎が戦場を包み込む。
◇
別の戦場。
ディバイドの二番手。
第27位ロアは歩いていた。
能力者たちが倒れていく。
土の壁。
土塊。
誰も止められない。
「強すぎる……」
能力者たちが後退する。
ロアは淡々としていた。
「クロエはやべぇのと当たってんな」
遠くを見る。
第15位。
怪物だ。
その時だった。
「くらえぇぇぇ!!」
怒号。
次の瞬間。
バチバチバチバチッ!!
電撃が襲い掛かった。
ロアは即座に反応する。
土塊を出す。
防御。
だが。
「!?」
土塊が砕けた。
ロアの目が見開かれる。
「なんだと!?」
急いで土壁を出す。
ドゴォォォン!!
電撃がぶつかる。
壁が削れる。
ギリギリ。
守り切る。
だが、近くにいたディバイド数名が巻き込まれる。
悲鳴を上げる間もなく倒れた。
ロアは電撃の飛んできた方向を見る。
そこには。
一人の男が立っていた。
頭にプラスチックの箱。
「あぁぁぁぁぁ!!」
男は頭を抱えていた。
苦しそうだった。
ロアが呟く。
「お前……確か第96位の」
男は叫ぶ。
「あぁぁぁぁぁ!!」
能力ランキング第96位。
能力『光電』
スパーク。
ロアは眉をひそめる。
今の威力。
そんな順位ではない。
明らかに。
ストーム以上。
第49位以上の火力だった。
だが。
スパークを見る。
身体中から血が出ていた。
耳。
鼻。
目。
口。
全て。
能力に耐えられていない。
ロアは理解する。
「なるほど」
ため息を吐いた。
「能力を制御できないんだな」
スパークは答えない。
それでも。
前へ出る。
そして。
再び電撃を放とうとする。
「あぁぁぁぁぁ!!」
叫ぶ。
限界だった。
それでも戦う。
ロアは静かに言った。
「残念だ」
スパークが顔を上げる。
「もう少し利口なら」
ロアの目が冷える。
「俺とは戦わなかっただろうな」
その瞬間。
スパークの足元。
地面が開いた。
「え?」
身体が落ちる。
ロアが手を握る。
地面が閉じた。
ドゴン。
鈍い音。
地中から電撃音が響く。
バチバチバチバチッ!!
しばらく続く。
そして。
静かになった。
ロアは地面を見る。
もう音はしない。
能力ランキング第96位。
能力『光電』
スパーク。
死亡。
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能力至上主義の国
15位 ライゼン 『雷神化』
25位 アクア 『海王化』
37位 ミラー 『反射障壁』
49位 ストーム 『槍』 死亡
59位 ? 『無能力』
70位 フレイム 『火炎球』
81位 ミント 『軽度治癒』
88位 ペーパー 『紙変形』
96位 スパーク 『光電』 死亡
ディバイド陣営
19位 クロエ 『影喰い』
27位 ロア 『地殻操作』
36位 ファング 『獣王化』
67位 トレイル 『嗅覚追跡』
ギル陣営
30位 ギル 『金属融合』
62位 ナギ 『水流操作』 死亡
99位 ミスト 『湿度操作』




