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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第一話 能力ランキング22位

第一話 能力ランキング22位


「おかあさん……!!」


黒い炎に包まれる母を前に、レイは立ち尽くしていた。


炎は赤くない。


黒かった。


まるで闇そのものが燃えているように。


その光景を、一人の男が退屈そうに眺めている。


能力ランキング22位。


ブラッド。


レイは何もできなかった。


ただ見ていることしか。











「レイ、この袋開けてくれる?」


「いいよ」


レイは右手を袋に向ける。


細い光が走った。


針ほどの細さしかない光が袋の端を焼き切る。


能力『光線』


右の手の平から1ミリの光線を出すだけの能力だ。


「助かるわ。女同士の生活だとこういう時困るからね」


母が笑う。


レイは少しだけ苦笑した。


この世界には、生まれながらに能力を持つ人間がいる。


強力な能力を持つ者は富と名声を手に入れる。


だがレイの能力は違う。


戦闘にも役立たない。


生活でもほぼ役に立たない。


外れ能力。


そう呼ばれていた。


それでもよかった。


母との暮らしがあったから。


この村の平和な毎日があったから。


「レイ、買い物お願い」


「うん」


レイは家を出た。





だが村の様子がおかしい。


人々の顔が強張っている。


女、子供たちは家へ戻されていた。


レイは村長に近づく。


「どうしたの?」


村長は険しい顔をした。


「レイ、実は近くに能力ランキング22位が来ているらしい」


レイの顔色が変わる。


能力ランキング。


1位~100位まである。


世界のトップ達。


その中で。


22位。


ブラッド。


能力『黒炎』


対象が燃え尽きるまで消えない黒い炎を操る男。


世界で22番目の実力者。


この国では、2番目の怪物。


そして。


殺人も強姦も躊躇なく行う外道。


「なんでそんな人がこの村に?」


「わからん。とにかく女子供は全員隠れるよう伝えている。お前も母親と一緒に家にいなさい」


レイは急いで家へ戻った。





窓から外を覗く。


いた。


全身黒ずくめの男。


長い黒髪。


周囲だけ空気が重く見える。


まるで死神だった。


ブラッドは村長の前で立ち止まる。


「22位様。この村へ何の御用でしょうか?」


村長が頭を下げる。


ブラッドは鼻で笑った。


「なんで俺が来た理由を、てめぇに説明しなきゃならねぇんだ?」


「焼き殺すぞ」


村長の顔が青ざめる。


「失礼いたしました」


慌てて下がる。


ブラッドは退屈そうに周囲を見渡した。


何かを探しているようだった。


その時。


レイと目が合った。


まずい。


慌てて窓から離れる。


だが。


パリン!!


窓ガラスが砕け散った。


レイの体が震える。


重い足音が近づいてくる。


ブラッドが入ってくる。


「目立つなぁ、その黄色の髪」


レイは動けなかった。


恐怖で。


呼吸すら苦しい。


その前に母が立つ。


「何の用ですか、22位様」


ブラッドが笑う。


「随分勇ましい女だな」


「俺が何しに来たか、お前に説明する義理でもあるのか?」


母はレイを庇うように前へ出た。


そして覚悟を決めた顔で言う。


「娘には手を出さないで」


「私はどうなってもいいから」


一瞬の沈黙。


ブラッドは笑った。


「そうか」


そして、


「じゃあ死ね」


母の体が黒く燃え上がった。

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