Legend Idoru Notes
グランは闇を極限まで凝縮した剣を振り下ろし闇の奔流を繰り出し、アリスと花音は手を前に掲げ七色の光球を放つ。せめぎ合う光と闇の衝撃が周囲の瓦礫や建物を消し飛ばしていく。耐えきれず飛ばされそうになったお松を龍二は小脇に抱えて車まで距離を取った。
拮抗しているように見えた一撃。だが、地力の差か徐々に光球が放たれる闇を飲み込み膨張しながらグランを追い詰めていた。闇をさらに溢れさせ食い抵抗するも光球の勢いは衰えることなくグランの眼前へと迫っていた。
「「いっけええええええええええええ‼︎」」
「ぬううおおおおお!」
見上げるほどにまで膨張しきった光球が地面を抉りながらグランを飲み込んだ瞬間、轟音と共に炸裂し辺りを閃光で包み込んだ。爆散した光球が光の粒となってアリスと花音に降り注ぐ。着弾した場所には爆発の衝撃でボロボロになったグランが息を荒げながら立ち尽くしていた。
「その力、想定外だ……この俺が力負けするとはな……」
「私たの勝ちです。あなたの知っていることを全て話してもらいます」
「フハハハハ! そうだな、敗者が勝者の要求を呑むのは当然ではあるが……刻限だ」
空が裂け無が広がる。地割れはより大きく広がり世界が奈落へ沈むタイムリミットが迫っていた。高らかに笑うグランの背後の空間が裂け闇を纏いながら吸い込まれていく。
「誇るがいい、今回はお前たちの勝ちだ」
「逃げるつもり!? アタシの世界を壊しておいて、卑怯者!」
「俺とて獲物を前にして撤退するのは我慢ならん……が、お前達を始末するという俺の目的は果たせる。さらばだ、世界と共に奈落へ沈め」
そう言い残し、グランは闇に吸い込まれその姿を消した。残されたアリスと花音はただ立ち尽くすことしか出来なかった。体力の限界がきた花音は意識を失い力無くその場に倒れ込んでしまう。どうすることも出来ない状況の中、花音を抱き寄せるアリスの側に龍二とお松が車を停めた。
「アリス、花音と一緒に乗れ!」
「この世界から脱出するで!」
「二人とも無事だったんですね!」
意識の無い花音と共にアリスは龍二の車に乗り込む。地割れが目の前に広がり一刻の猶予も無い。そんな中、アリスの胸中に一つの疑問が湧き出た。
「あの、この世界から脱出するって一体どうやって?」
「ああ、話とらんかったな実はな……」
お松が言いかけた時、車が大きく揺れたかと思うとそれ以降全く動く気配が無かった。何が起こったのか分からないアリスとお松、額から滝のような汗を流し青ざめる龍二。
「……無理だ」
「え?」
「動かねえ……」
「龍二はん、なんやて?」
「…………エンストした」




