逃れられない闇
「なんやこれ、一体何が起こってるんや!?」
花音とグランが戦闘を始めてから間もない頃、龍二とお松は再び闇に覆われた空を見上げながら車を走らせていた。増産バグズを倒し霧散したはずのバグズに追われながら、どうにか花音とアリスと合流しようと爆走する。
「バグズは全部倒したはずやのに、どないしてまた現れたんや!」
「分かんねえけど、とりあえずお嬢とアリスを見つけるぞ!」
「龍二はん、あそこ!」
お松が指差す先には大量のバグズから必死に逃げ惑うアリスの姿があった。龍二はアクセルを限界まで踏み込みドリフトを効かせながらバグズ達を引き飛ばす。すぐさま龍二は車から降り銃を構えてアリスの前に立つ。三人を取り囲みバグズ達は嘲笑うかのような奇声を発し鈍く光る鉤爪を鳴らしている。
「アリスはん、大丈夫か!?」
「私はなんとか、でも花音ちゃんが!」
「こりゃ一体どういうこった!」
「分かりません、グランっていう男の人が突然バグズを呼び出したんです。花音ちゃんは私を逃すために一人残って戦っています!」
逃げ場を失った獲物を仕留めるため、バグズは一際大きな奇声を発しながら三人に向かって飛びかかった。
♢
「やあああああああああああ‼︎」
ノーツと共に駆け出した花音をグランは闇の斬撃で迎え討つ。舞うように身を翻しながら接近し攻撃するがその全てをグランは難なくかわし携える剣で応戦する。バグズ相手の戦いとは違う、明らかな力量の差を埋めることが出来ず花音は終始圧倒されていた。
「羽虫のようにチョロチョロと鬱陶しい」
肩で息をしながら花音は疲労で片膝をつく。言い返すこともままならずただ怒りを込めた目でグランを睨みつけることしか出来なかった。蔑みと憐れみが混ざった目で花音を見下ろすグランは再び剣に闇を纏わせ退屈そうに口を開いた。
「多少は楽しめると思ったのだがこの程度か。本来戦う力の無い世界の人間にしては、良く動いた方だがな」
「ッ……舐めんじゃないっての!」
ノーツを一点に集め巨大な光球になったかと思うと、どんどんと収縮していき今にも爆散してしまいそうなほど乱れながら淡く小さな光の粒になった。
「輝き放て、Polaris!」
「ぬぅ!」
光の粒が一際輝いた瞬間、辺りを閃光で包み込みグランの視界を奪った。花音は勢い良く地面を蹴り上げグランに急接近しながら飛び蹴りを見舞い両足に眩いほどの光を収束させる。
「ぶっ飛べええええええ‼︎」
収束した光が一気に放たれ衝撃波でもってグランを遥か後方に吹き飛ばした。反撃する間を与えないよう花音はすかさず手を掲げノーツを巨大な光球へと変化させる。
空中で身体を反転させ地に足をつけた瞬間、巨大な光球が炸裂して一斉にグラン目掛けて撃ち出される。
「Splash Shooting Star‼︎」
今までのノーツとは威力が桁違いの攻撃を察したのか、グランの顔からは不敵な笑みは消えていた。光球が眼前に迫る刹那、纏う闇が膨張し突風を巻き起こす剣をグランが眼前に振り下ろした。
「魔剣解放・グラム」




