表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメン上司とボク  作者: 夏目 碧央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/26

父と母の画策

 結局ステッカーとネックレスを買った俺たち。ネックレスはそれぞれ違うアーティストの作品のものを買って、同じ物ではないが、何となくお揃い気分を味わう。ステッカーも違う作品のものを買ったが、お互いに買ったステッカーをスマホケースに入れた。

「なんか、いいっすね。」

成海が隣でニッコリ笑うのを見て、俺もすごく嬉しくなる。が、ほっこりしているところ申し訳なくなるが、この後は俺の実家、というか家に成海を連れて行かねばならない。どうしてこんなにプレッシャーを感じるのだろうか。

「じゃあ、うちに行こうか。」

俺がさりげなく言うと、

「は、はい!」

成海が急に緊張した声で言った。

「なんか、ごめん。」

「どうして謝るんですか、大丈夫です。俺、すごく楽しみです。」

無理してるなあ、と思いながらも仕方がない。とにかく一度母に紹介して、その後はなあなあにして……と俺は考えていた。


 「ただいまー。」

家の玄関に入り、そう言ったか言わないかの内に母が台所から出てきた。

「仁さんお帰りなさい、まあ、まあ、良くいらっしゃいました。成海さんよね?」

母は満面の笑みだ。

「あ、はい!本日は、お招きありがとうございます。」

成海は元気よく言って、思い切り頭を下げた。

「どうぞ上がって~。あ、スリッパをどうぞ。」

母はスリッパを成海の為に揃えると、リビングの方へと入って行った。

「お邪魔します。」

成海はそう言って靴を脱ぎ、スリッパを履いた。何だか俺まで緊張する。

 リビングに入ると、父が既にテーブルに着いていて、俺たちが入って行くとやあ、と片手を挙げた。

「お父さん、こちら成海準一君。」

「どうも初めまして。さあ、座って。」

父は上機嫌で言った。

「初めまして。ありがとうございます!」

成海はやはり深々と頭を下げ、椅子を引いて座った。俺も成海の隣に座る。

「りーんー!ご飯だから、下りてらっしゃい。」

母が階段の下から妹の凛を呼んだ。

「あ、凛というのは妹なんだ。」

俺は隣の成海に説明した。

「ああ、そうですか。」

成海は緊張しているようで顔が硬い。

 母がリビングに入ってきて、続いて凛が入って来た。凛の顔を見ると、成海の事を見てハッとしている。来ることを知らなかったのだろうか。

「あ、こちら成海準一君。」

凛にも成海を紹介した。そして、

「妹の凛。」

と、改めて成海にも妹を紹介した。

「初めまして。」

凛が頭を下げる。成海は立ち上がり、また深々とお辞儀をして「初めまして」と言った。成海を見ると、凛の事をマジマジと見ている。隣の俺よりも凛に興味津々という感じだ。何だか面白くない。俺は思わず肘で成海を小突いた。成海は驚いてこちらを見た。俺がちょっと口を尖らせてやると、

「あ、よく似ていらっしゃいますね。」

と言って、成海はへへへと笑った。誤魔化したな。一方、凛は恥ずかしそうに下を向いていた。時々周囲をチラリと伺うが、俺や成海の方は一切見ない。

「さあ、できたわよー。じゃお父さん、ワインを。」

母が大皿に盛った料理を運んで来て、父に声を掛けた。父は既に栓を抜いたワインボトルを手に取り、グラスに少しずつ注いだ。すっかり準備万端だったようだ。ワインが注がれたグラスを皆で何となく回す。

「それでは、乾杯。」

父が静かに言い、皆でグラスを掲げた。

 ワインと食事を摂りながら、父と母が成海を質問攻めにし始めた。

「成海さんは、ご出身はどこなの?」

と、母。

「群馬です。」

「ご両親はどんな職業を?」

と、父。

「農家をやっています。」

「ご兄弟は?」

と、母。

「兄が一人います。」

「お兄さんも農業を?」

と、父。

「はい。」

「成海さんの御趣味は?」

と、母。

「えーと、そうですね……。美術館に行く事や、読書ですかね。」

見合いか!

「ちょっとさ、そんなに質問攻めにしなくてもいいでしょ。俺が後で教えるから。」

たまりかねて俺が言う。

「あら、ごめんなさいね。つい。オホホホ。」

母が言って笑った。それからは質問しなくなったが、何だか圧がすごくて、成海を連れてきた事を後悔していた。

 食事が終わり、食器を母と俺とで片づける事になった。成海もやると言って立ち上がったのだが、父が無理に引き留めた。重ねた皿を流しに運ぶと、母が俺に耳打ちした。

「ねえ、もし成海さんと凛が結婚したら、あなたも成海さんとずっと一緒にいられるわね。」

「え?」

驚いて母の顔を見ると、母はウインクした。確かに、そうなったら俺と成海は義理の兄弟になり、たとえ会社が変わったとしてもずっと縁は切れない。まさか、母は俺と成海の関係を全部分かった上で、凛と結婚させようと画策しているのだろうか。俺が道を外れないように?だが、そんなのは凛が可哀そうではないか。俺と成海が想い合っていて、ずっと一緒にいる為に利用するなんて。

 俺は動揺してリビングを振り返った。成海は嬉しそうに凛を見ていた。父が何か凛の事を話したのだろうが……我慢ならん。俺はツカツカとテーブルの方へ歩いて行った。

「成海、まだ時間大丈夫だろ?俺の部屋に行こう。」

そう言って、成海の腕を引っ張った。

「あ、はい。それでは、失礼します。」

成海は慌てて立ち上がり、父と凛にそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ