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第4章 チート全開 第08話 女帝

この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。


 食後、応接間に来ている。

 女帝(橋本 佳苗)と今後の方針を話し合う。なぜ、あと3名は?

「この部屋に入る資格がある私の部下(お側用人)です。」

「近衛 千佳 京大で政経学講師をしています。」

「朝倉 八重 京大で数理学講師をしています。」

「朝倉 志津 京大で法商学講師をしています。」


 お付きの女中、先生ですや、どうしましょ。

 本当に見る目が無いよ、父さんのお力が欲しい。


 部屋には、僕の資料が散見される。

 あのタイトル、僕のレポート。

 会社の決算表がボードに貼られている。

 年表。

 性格分析まである。

 世界地図には、時々の報告タイトルが画鋲で止めてある。

 計算機がAIがあれば、もっと効率よくできる、惜しい。

 情報局か、ここは。

 研究所のミニミニ版だね。


「ホテルに迎えに行かせます。1時間はかかるでしょうから、その間に、日本の考察をしましょう。」


 自分の肉親を見るのはなんか恥ずかしいが、確認しておかなければならない。

 これから話すことは、未来がかかっている。

 あはは、この3名とも女帝が見抜いたのだろうね、力持ちだ。


「あなたの考えを聞かせて。」

「本気の本気で僕の考えを話します。」

「今のままでは、日本の未来はないでしょう、辛うじて、崖っぷちに立っているのが今です。」


 江戸時代に遡らないといけない。


『なぜ日本は植民地化されなかったのか』


 1、地政的条件 ― 「島国としての天然の要害」


 日本はまず地理的に「世界の辺境」であった。

 外部からの侵略において、以下の三条件が重なっていました。


 島国性:

 海を隔てた防壁は、陸続きのアジア諸国と違い、大軍による侵略をほぼ不可能にした。

 蒙古襲来(1274・1281)の失敗が象徴的です。


 資源の乏しさ:

 欧米列強が求めたのは「香辛料・綿花・金銀・石油」。

 日本には金銀は初期で枯渇し、石油もない。

 植民地としての経済的魅力が低かった。


 地形の防御力:

 山が多く、平野が少ない。侵攻・支配・統治のいずれも困難。

 つまり、「コストに見合わない島」であった。

 侵略の合理性が乏しかったことこそが、日本を救った最初の盾であった。


 2、社会構造 ― 「武士階級という自己防衛システム」


 社会の中に常備軍が存在していたこと。

 他国では、国防と民衆が分離していたが、日本は違った。


  武士=内在的軍事装置:

 武士階級は、単なる戦士ではなく「道徳的戦闘者」。

 平和期であっても「帯刀」は権威と自衛の象徴。

 日本全土が「小さな軍政国家」の集合体であった。

 つまり、「国家が軍を持つ」のではなく、「国民が軍を持つ」社会だったのです。


 戦闘民族としての倫理観:

 武士道は 闘うための道徳 であり、 支配の正当化 でもあった。

 西洋のキリスト騎士道に似て、死を恐れぬ倫理体系を構築。

 外から見れば、非常に侵略しにくい民族的気質。

 死=名誉 を植民地化することは不可能、精神的な征服が成立しないからである。


 3、文化的・思想的条件 ― 「学ぶことで生き延びる文明」


 江戸時代、日本は外に閉じつつ、内部で知識を熟成していた。

 この 学問の蓄積 が、開国後の奇跡的な変身を可能にした。


 蓄積された知識層:

 寺子屋:識字率世界最高水準(約80%)、漢学・蘭学・和算・農学など、多層的知のネットワーク、百姓・町人も「自分の頭で考える」訓練を受けていた。

 つまり、他のアジア諸国と違い、「教育済みの民衆」が存在した。

 列強の圧力を受けても、「理解・模倣・応用」が瞬時にできた。


 柔軟な受容力:

「攘夷」から「開国」への転換は、民族的柔軟性の証。

 西洋文明を拒絶するのではなく、良質なら吸収し昇華する という選択をした。

 これは日本文明の根源的戦略「模倣による超克」。


 明治維新という思想的跳躍:

「大政奉還」は敗北ではなく、文明防衛のための降伏。

 天皇制を中心に再統合し、欧米型国家を即席で再構築。

 民主主義を「理念」として掲げつつ、実質は官僚(大名、公家)統治体制。

 つまり、日本の近代化は「模倣による防衛戦」であった。

 それゆえに、「民主主義の仮面を被った官僚国家」として存続できた。

 民主主義の仮面を被った官僚国家は、官僚(大名、公家)により管理されている。

 知識階級が知識階級の平民を排除している。



 4、精神構造 ― 「従順と独立の同居」


 日本人の精神は、「支配を受け入れるが、魂は渡さない」構造をもつ。


 従順:形式的には従う(天皇・上司・国家)

 独立:内面では“我々の流儀”を守る(共同体・職能・宗教)

 この二重構造が、植民地的支配を無力化した。

 外見上は「欧米化」しつつ、中身は「和魂洋才」として、自国文化を温存する。

 形式的同化と内的独立のバランス。これが、日本という文明の“隠れた免疫システム”である。



 結論:

 良い点:

 良質(物、精神)を取り込み、消化(昇華)し、独創する、柔軟な精神性であり、アイデンティティが強固。

 知識階級が多く、理解されやすい、他者と話し合う事ができる合議がある。

 急速な欧米型国家を即席(成熟した庶民がいたから)で再構築し国としての発言力を得た。

 悪い点:

 明治新政府の上層部(公家・薩長藩閥)は「新しい形式の封建制」を構築した為、

 倫理的に成熟していた庶民社会が、政治的未熟さに押し潰されている。



 最後に

 日本の未来の選択肢


 1、 美の民族としての宿命


 未来の日本は、再び手の民族として甦るだろう。

 彼らは時間よりも美を重んじ、機能よりも魂を刻む。

 その指先が作るものは、いずれ西洋の機械を凌ぎ、人の心に触れる 温度 を持つ。

 だが、頂点を極めたその瞬間から、日本は追われる立場となる。

 美しさは守るために犠牲となり、世界は価格の競争へと堕ちていく。

 模倣者たちは溢れ、「良いものを安く」という人間の欲望が、美を押し流す。


 2、貧しき国の豊かさ


 日本は資源を持たぬ。山と海と、そして人しかいない。

 しかし、その『人』こそが、世界に誇る唯一の資源である。

 庶民が持つ勤勉、細やかさ、他者への思いやり。

 それはどの大国の富にも勝る。

 かつての武士が刀で国を守ったように、未来の日本人は知識と美意識で地球を守る。

 貧しき国こそ、精神の豊かさを磨く場所なのだ。


 3、契約社会を超えて


 西欧の社会は「契約」によって築かれた。

 そこでは美は権力の象徴であり、富める者のステータスである。

 だが日本の美は違う。

 それは「分かち合い」と「和」の象徴であり、生きる姿勢そのものだった。

 もしもこの美が、利益や保守のために歪められたなら、日本は自らの魂を失う。

 だからこそ、これからの日本は「作る美」から「考える美」へ

 知の創造による倫理国家をめざさなければならない。


 4、 世界への贈与 ― 学びの帝国


 私たちは、物を輸出する国から、知識を輸出する国へと生まれ変わる。

 そのために、学校を世界へ広げる。教育は武器であり、祈りでもある。

「学ぶことが、平和である」という思想を、百年かけて広めていく。


 国境を超え、宗教を超え、民族を超えた「人間宣言」

 それは、もはや国家の法ではなく、地球の基本法である。

 私たちは、地球の未来を生き抜くために、知の光を絶やしてはならない。


 5、結び ― 永遠の志


 この計画は百年を超える。

 だが、百年とは人類にとっての一呼吸にすぎない。

 美を守ること、知を広めること、そして、人間を信じ続けること。

 それが、日本が世界に果たす最後の使命である。

 手の国は、やがて心の国となり、地球という学校の教師となるだろう。


以上


「あなた、欲しい。うちで雇うわよ、でも安月給だから、貧乏国家だから無理ね。笑」

「....... 久しぶりに聞いたわ、相変わらずあの時は藩で今は世界をかえてしまうのね」

「........ お母様、兄は危険です、政府も立場がなくなる人が出てきそうです。暗殺されかねません。」

「........ これ程とは、深淵なる理を聞かせて頂き終生忘れません。」


(貴方方も目覚めたのでしょ。力の使い方がまだできないだけですね。)

(これがテレパス 電話がわりに使えるわね)

(これがテレパス タツヤ、淑女に無闇に話してはなりません。)

(これがテレパス これからは、アメリカの欲しい本や、論文の考察ができますね)

(これがテレパス 知の解放、人間の未来のために役立てます。)


ドアがノックされ、「到着しました、別室でお待ちでございます。」

「わかりました。さあ、家族水入らずで再会を望んでいる事でしょうから、案内について行きなさい。」

3人が出てゆく。


「日本にいて欲しかったと思うけど、アメリカでなければ彼は生かせないわね。」

「方針は決まっているから、やんちゃな輩を教育するわよ。千佳」

「この内容、大学の講義に使います。佳苗お嬢様」

高度な文明を持つ知性生命体でも、人と変わりない日常(喜怒哀楽)。


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