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ヨコハマしょーもなガイズ  作者: 705(ナナ)
結局そうなる
9/26

シーン8/ブレインストーミング

こんばんは、お読み下さりありがとうございます!今夜はシーン8,9,10を連投します。よろしくお願い致します!


「再生と言ってイメージするものを言ってみて」

「んー?区画整理」

「都市再生プロジェクトかよ」

「批判は無し、とにかく思いついたことをぽんぽん言ってくれ」

 琳さんは掌ほどの大きさの付せんとペンを持っている。一枚の付せんに『区画整理』、もう一枚に『都市再生プロジェクト』と書くと壁に貼った。

「それから?」

 俺たち、俺と月輝雨つきさめと陽太とアリス、そしてカインとグエン。全員が付せんを貼られた壁を眺める。教会の住居部分の一室は、7名入っても左程狭い感じがしない。部屋にモノが少ないせいもあるが、がらんと広い。壁はレンガむき出しだ。冬は寒そうだなぁ。

「春」

「芽吹き」

「小川」

「春の小川?」

「うん、そういうイメージ」

「桜」

「雑木林」

「古い講堂」

「この教会」

「修復工事」

「イントレ」

「ファンタジー」

ファンタジー?

「世界の終わりと再生のファンタジー」

SFかぁ。たしかに再生というとそこがお約束かもなぁ。

「最終戦争」

「武器」

「軍隊」

「正義の味方」

「悪の権化」

「再生の儀式」

「供物」

「生け贄」

なんかだいぶ舞台向けじゃない方向に行ってるな。

「結婚式」

え。

「結婚式」

もういちど、アリスが言った。

「教会だから、結婚式をする」

予測不能の場をさらう女、アリスの面目躍如だ。

「誰と誰の?」

琳さんが付せんを手に尋ねた。

「だれでもいい。ここは教会だから、修理が終わって再生されたら結婚式をやろうと待ってる人がいる」

ああ、そうか。確かに。琳さんが『結婚式』と書いた付せんを壁に貼った。そして微笑を浮かべて俺たちに言う。

「そういうハッピーエンドっていいよね。世界が再生されて、結婚式ができる」

 そして『世界の終わりと再生のファンタジー』と書かれた付せんを壁から剥がし、『結婚式』の横に貼り直した。

 え、世界の再生にリンクするの?

「舞台は教会の修復工事現場、すなわち修復が必要な世界の“見立て”だ。そして世界が再生されれば教会の修復は完了して、結婚式があげられる」

 琳さんはそう言うと大きくにっこりした。

「へえ…なるほど」

この教会全体が、修復される世界の“見立て”…。

「それ、いいな!」

 俺はワクワクしてきた。教会じゅうに組み上げられたジャングルジム。

 この教会の隅々までが舞台(修復中の世界)になる。

 役者の芝居はジャングルジムすべてを使おう。

 カイン陽太は言わずもがな、月輝雨つきさめも琳さんも運動能力が高い。ジャングルジムを登ったり降りたり、この空間すべてを使って芝居をやったら面白いじゃないか。

「へぇ、このなか全部がジャングルジムになるんだ」

「タテヨコすべてを使って芝居をやるわけ?」

グエンとカインも興味をそそられたみたいだ。

「そういうことやるのにちょうどいい大きさだね」

「俺てっぺんから飛び降りられるぜ、たぶん」

「俺も俺も」

カインと陽太はさっそくてっぺん獲得で盛り上がった。さすが、運動馬鹿の名を欲しいままにした陽太だな。カインも似たタイプらしい。

「序盤からウェディングドレスを着た花嫁が出てるって、どう?花婿を待っているの。世界が再生されれば花婿が帰ってくる」

グエンも乗ってきた。

「観客はその花婿が実際に帰ってくるかどうか半信半疑なんだ。でも最後はハッピーエンド、ちゃんと花婿が戻ってきて、結婚式を挙げられる」

琳さんがアリスにウィンクをした。アリスは満足そうに頷く。

「修復工事をする人がいて、それを邪魔する人がいて…」

「じゃあ俺、修復工事やる!」

「え。じゃあ俺、邪魔してやる」

カインと陽太、仲いいな。

「そんなら、花道を作ろうぜ」

月輝雨つきさめが言った。花道?

「客席の後ろから舞台まで、ウェディングロードだ」

「いいね!花嫁登場は、無人の舞台に向かって花道を歩かせたらどう?」

「廃墟の花嫁?幻想的ね!」

 よーし!イメージ浮かんできたぞ!うすぐらい廃墟、世界再生の工事現場、ジャングルジム、世界を縦断する花道、疾走する男、跳ぶ男、縦横無尽に上へ下へ、そして、白いドレスの花嫁。書きたい!早く、早く、早く書きたい。このイメージが逃げてしまう前に。


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