魂の交換
「秋様〜いつまで寝てるんですか?」
「……」
ワイバーンの声が木霊しながら秋に声をかける。
「秋様ぁ〜そろそろワイバーンが、こんなことしたオロチが戦ってるドラゴンを倒した後、機械龍に奇襲をかけそうなので早く起きてくれないですかぁ〜?」
「…………」
龍達が声を変えるが、全く反応がなく、まるで眠っているようだった。
ーーここは、石碑の中。
それも、別の龍がいる石碑の中で、現在ヤマタノオロチが交戦中である。
ヤマタノオロチは龍化し、果敢に攻撃を仕掛けるが、相手は擬人化した状態で軽々と回避する。
金髪のロングヘアーで青い瞳、そして低身長の擬人化した龍。
曇りなき白色のブラウスに青色のロングスカート、そして胸元を飾る、細く長い青色のリボンが特徴の服装をしている。
ーーそれにしても、オロチが苦戦している?
あのヤマタノオロチの多数ある内の一つの名は【速度破壊の巨大大蛇】なのに今の状況は……
グアァァァァァン!!!
「躾がなってな〜。怒ると攻撃が単調化されて隙ができやすくなる。ご主人様に教えてもらわんかったの?」
逆上しているヤマタノオロチに向かって煽り、ヤマタノオロチの行動を鈍くさせている。
火水木のこの3大要素も華麗に回避され、もうなす術がなくなろうとしたその時ーー
ーーバンッ!
大きな音がどこからともなく鳴り出し、気づいた時には
「なんやこ……れ」
ヤマタノオロチと戦っていた少女の体に銃弾が貫通し、倒れていた。
「どこだ!?誰が撃った!?」
ワイバーンが自分達も狙われる可能性を察し、周囲を確認する。
すると、空中に浮いている人を発見し、よく目を凝らしてみるとーー
「ふぅ〜疲れた。もう一眠りしたいです。」
そこには先ほどまで寝ていた秋がいた。
ーーしかし、秋様が空を飛べたなんて聞いたことがないし見たこともない。
まさかあいつはーー
「誰だお前は!秋様をどこにやった!?」
「な、何言ってるんですかワイバーン。私は私ですよ」
ーー怪しい
額に汗を染み込ませながら言い訳をしている姿を見ると本人とは思えない。
普段の秋様ならこんな時は冷静に言うはずなのに、あいつは少し焦り気味で言っている。
少し……ハメてみるか。
「秋様、紅魔館で襲撃にあった時の相手の名前を知っていますか?」
魂が入れ替わってるならこの質問には答えらるはず、秋様なら適当に名前を付けるか、わからないというはず……
「ん?確か……花落。だったはず」
「龍化……」
「この情報は夢の世界?で、相手のマスターこと花落さんにに会って話したから答えられる情報なので、別に魂が入れ替わったりはしてませんよ」
「夢の世界?嘘を言っているようにも見えませんし……主を疑って申し訳ないです」
ーー危ないですよ花落さん。もう少し慎重に言葉を選んでくれないと
いきなりだったら焦っただけだよ、次からは秋の記憶を探ってから答えるから
ーー……わかりました、それでは私も花落さんの記憶を探って答えますので。
なぜか秋の姿で目覚め、オロチが危ないと本能で思い、つい動いてしまった。
今は秋と脳内で会話をしているが、実際には会話をしていないかもしれない。
しかし、何か通じるこの感覚は、意思疎通であると思う。
とりあえず、当分は秋の姿で生活するから慣れないといけないーー苦労しそうだなぁ……
「秋様、早く石碑から出てこの子を治療しないと流石の龍でも死んでしまいますよ?」
「わかりました、早くここから出ましょう。とりあえず行き先は……紅魔館でいいですかね?」
この姿で過ごさなくてはいけないことに疲れを覚えながら、石碑からでたのであった。




