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推し活令嬢〜推しが死ぬ運命を変えるために、まずは婚約破棄!敵国の冷酷王子を溺愛して溺愛される幸せを手に入れます~  作者: 紅薔薇みらの


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22/26

婚約者をコロコロ変えた問題と同盟国問題

 みんなで、好きな人と結ばれて幸せになるために。


 ネバーローズ城の一室で六人はテーブルを囲んで座った。


 フィル王子がまず切り出した。


「今回の出来事、それぞれの家の者と国王と貴族と国民を納得させるシナリオを考えなければな……」


 言葉を途切れさせたフィルは頭を抱えた。


「王族の婚約が一度、破棄されただけでもスキャンダルだが、今回はたった一日の間に、私とフロンティアの婚約破棄→フロンティアとブラッドハート王子の婚約→私とシルビアの婚約→さらにブラッドハート王子とフロンティアが一日で婚約破棄してクロスとローズとそれぞれに新たに婚約と……」


 そこで一息ついて目を見開いた。


「婚約相手がコロコロ変わる事態になっている! これをどう平和的に解釈して綺麗に説明すればいいんだ?」


 無理だ……そう思っても。

 平和的に綺麗にという部分は譲りたくないフィルは苦悩するしかなかった。

 そんな彼の肩に、シルビアが手を触れた。


「フィル様、私も一緒に、なんとか平和的で綺麗な説明を考えますわ」


 彼の理想を叶えたい。

 シルビアも妥協する気はなく、強気な顔つきで考えはじめた。


「シルビア、頼もしいよ――!」


 そんな彼女にフィルは救われたような笑顔をみせた。

 二人で困難を乗り越える――共同作業にフィルとシルビアは幸せさえ感じていた。


「頼もしい二人だな」


 ブラッドハートが笑みを浮かべたあとで、


「しかし、時間はあまり無いぞ。俺は本来一日で会談を終えて帰る予定だったからな。それが二日も伸びている。あまり長くなると騒ぎになるかもしれん」


 壁の時計に目を向けて、冷酷に告げた。


「ネバーローズと同盟を結ぶということは王に伝えるよう兵士を帰してあるが」

「騒ぎは避けたい」


 フィルがすぐさま応じた。


「せっかく、君の部下とシルビアの親族の働きもあり、こうして水面下でなんとかしようとしているのだから」

「早く、なんとかしましょう」


 フィルとシルビアが深刻な表情になる中、


「俺も、早く、ローズを国に連れて帰りたい」


 ブラッドハートは我儘っぽく言うとローズの肩に腕を回してた。


「私も! 早く、ブラッドハート様の国に行ってみたいです……!」


 国に連れて行ってもらい、一緒にお城で暮らす!?

 それを想像すると……

 ローズはうっとりして頭がぼーっとなって働かなかった。いや、働かせても政略とか内省とかよくわからない。変なことを言って邪魔にならないか気になり口出しせず見守るに徹していた。

 ブラッドハート様もフィル王子とシルビアに任せる感じだし。


「大変なことになったよな、ほんと」


 クロスが心配に眉を寄せて呟いた。

 一生懸命考えるフィルとシルビア、任せ気味でいちゃつくブラッドハートとローズ、大丈夫かと不安が湧いてきた。


「俺も何か良い案を考えたいけど、兵士には難しいな」

「私も、何も浮かびません」


 クロスの隣でフロンティアも悩み顔で呟いた。


「歌を唄って励ましたらどうだ?」

「そうですね……励まされる歌……」


 こちらはこちらで迷走しながら、全員で必死に考えていた。



 休憩のために、お茶を飲み、フロンティアの歌を聞いて頭をスッキリさせてからシルビアが言った。


「私が一番気になるのは、フィル様がフロンティアに婚約破棄されたことですわ。ここに何か正当な理由を持たせないといけない、そう思いますわ。フィル様の名誉を傷つけない真っ当な理由を……!」


 愛する人を守りたい。シルビアの強い意志のこもった発言に一同が圧倒されるなか、


「ありがとう、シルビア」


 フィルが微笑みを返した。


「私のことを一番に気にしてくれて……けれど、私の名誉ならいいんだ。平和的な解決さえできれば」

「いいえ、それでは私の望む綺麗な解決になりませんわ」


 一歩も譲らない強気な返答をするシルビアに、


「君の、そういう強いところが私には必要なんだ……!」


 フィルは心を預けるように体を寄せた。


「わかった。私の名誉も含めて考えよう」

「はい!」


 二人は笑顔を交わして、また頭を抱えだした。


「平和的で綺麗な解決とは大変だな……」


 ブラッドハートがそんな二人を眺めて言った。


「それに、そんな解決を望まぬ者もいるぞ」

「なに?」


 不穏な言葉に一同がギクリとして、


「何者のことだ?」


 フィルが身構えて聞いた。


「我が父、バルダンディア王国の国王だ。父は平和的解決より戦利品のほうを喜ぶ、いや、それしか認めないだろう」


 ブラッドハートの瞳が冷たくなったことに全員が気づき、言葉を失った。

 凍りつくような重い空気のなかで、ブラッドハートはゆっくりと手を動かし、ハラハラドキドキして自分を見ているローズの頬に触れた。


「前にも言っただろう? 俺が婚約者を変えたことにすればいいと。最初はフロンティアを望んだが、後から見つけたローズにして、幸運のオッドアイを平和同盟の証の戦利品として持ち帰る。そのほうが、俺とバンダルディア国に相応しい……そう思う者や、平和的な解決だけでは受け入れられない者も納得するだろう」

「しかし……」


 抵抗を見せる表情のフィルにブラッドハートは、


「俺も、急な平和交渉や綺麗事に戸惑っている」


 はっきりと告げると微笑んだ。


「我が国バンダルディアはこれから、ネバーローズ王国のやり方と同じ道へ進んでいく。長い時間を要するはずだ。今は、少しの歩み寄りでも満足してもらいたい」

「……わかった」


 フィルは真っ直ぐブラッドハートを見つめて応じた。


「確かに、そうだな。戸惑いながらも協力してくれることに感謝する」


 王子二人は笑顔を交わした。


「ネバーローズとの平和のためもあるが……何より、俺に向けられたローズの想いに応えるためだ。ローズに傷一つつけることなく済むなら最大限の協力は約束しよう」


 ブラッドハートは宣言すると、ローズに優しくも不敵な笑みをみせた。


「ブラッドハート様ぁ! ありがとうございますっ~~!!」


 ローズは感動のあまり泣きそうな目をギュッととじて胸を押さえた。

 そんな彼女を抱き寄せるブラッドハート。

 二人を見ている四人は、バンダルディア国にも必ず平和が訪れるのを信じられた。

 そのためにも――

 どんな説明にするか、再び頭を捻り考えはじめた。

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