第七章 第十四話 絶望なる一撃
side:イース
ケニーさんがオーズ村に入る直前、間一髪で僕はケニーさんを止め、相対した。
ハンスさんの分身さんのお陰で、僕は初撃を入れる事が出来たものの、その後はケニーさんの速度の前に僕の体は損傷していき、僕は徐々に窮地に陥っていった。
ケニー「グハハハハァ……!(ダンダントヤワラカクナッテキテルナ……モットツメデヨワラセタラ……我ノキバデ……喰ラッテヤル!!)」
イース「ぐううぅっっ!!(痛い……痛い……
……どうしよう……このままじゃ…………)」
ザシュッザシュゥゥッッ!!
何回も僕の体はケニーさんの爪で抉られる。
僕はケニーさんの攻撃による激痛と、ケニーさんの迫力による恐怖、そして味方が誰もいないという状況での孤独感に苛まれていた。
イース「ぐううぅぅっっ!!!
(……こうなったら……)……スウゥゥゥゥッッ!!」
それでも……
僕は一か八か形勢逆転を狙い、白銀の息を吐こうと息を大きく吸った。
ケニー「……!(イキヲスッタ……アノイキガクル!)」
ケニーさんは大きく横に跳び、反撃の体制を整える。
イース「……(……あっ!そういえば……)」
「愛弟子よ……その息攻撃は隙が大きい。使うタイミングは、後でワシが教える。」
師匠と模擬戦をした時……僕は至近距離から白銀の息を吐いたけど、隙が大きくて……痛い痛い拳骨を貰っちゃったんだった……
師匠は接近戦で白銀の息を使うのは反撃を貰う危険が高いから……相手が遠距離にいる場合か、牽制に使って相手の活動範囲を狭める時に使えと言ってたんだっけ……
イース「(さっきはケニーさんが僕の腕を噛んでいたから当たったけど……今息を吐いちゃったら、反撃されちゃう!……でも……どうしよう……)
……スウウウウゥゥゥゥッッッ!!」
僕は白銀の息を吐く事を止めたが、どうすれば良いのか分からず、そのまま更に大きく息を吸い込んだ。
ケニー「グルルルッ……
(……イキヲハイテコナイ……?…………!!
……我ヲ…………ダマシタトイウノカアァァッッ!!)」
ケニーさんは怒気を込めた様相で、僕の方へ直進した。
イース「スウゥゥゥゥッッッ!!
(そろそろ息が吸えなくなるぅ!
……あわわわ!ケニーさんが怒ってこっちに来ちゃったぁっ!!……こうなったら……迎え撃てぇぇっっ!!)」
僕はケニーさんの頭目掛けて、思いっきり右腕の攻撃を繰り出す。
ケニー「……!!(シマッタ……ヨケキレナイ……!!)」
ケニーさんは怒りのあまり、牙による攻撃を繰り出そうと僕の方へ高速で直進していた。
それが仇となり、頭部への攻撃を躱せない状況となっていた。
イース「ハアアアアァァァッッ!!!」
ドゴオオオオオオオォォォォッッッ!!!
ケニー「ギャアアアアアアァァァッッ!!!」
僕の攻撃はカウンターの形で、ケニーさんの頭に直撃した。更に息を大きく吸い込んだ事により、結果として僕の攻撃はより強力となった。
ケニーさんは大きく後方へ吹っ飛んでいき、僕とケニーさんの距離が大きく開いた。
イース「……!(この距離なら……!)
スウゥゥゥゥッッッ!!」
僕は再び大きく息を吸い込む。
ケニー「ガルルルッ……!(クソォ!イマノコウゲキノダメージデ、セッキンデキナイ……カクナルウエハ……)
……スウゥゥゥゥッッッ!!」
ケニーさんは立ち上がるが、結果として強力となった僕の攻撃を受けたからか、素早く僕の方へは接近出来なかった。代わりにケニーさんも大きく息を吸い込む。
イース「ハアアアアァァァッッ!!」
ケニー「ガアアアアァァァッッ!!」
僕は氷属性の白銀の息を、ケニーさんは紫黒の息を吐き、お互いの息が衝突した。
ヒョオオオオオオォォォォッッッ!!!
ゴオオオオオオォォォォッッッ!!!
凄まじい風圧が僕の身体に向かっていく。
おそらく風属性の息であると予測されたが、その息は紫黒で禍々しい気を発していた。そして……
ドオオオオオオオォォォンッッ!!!
イース「くっ……!」
ケニー「グッ……!(オナジイリョクダト……!)」
お互いの息が衝突した箇所は氷爆散し、消失した。
イース「……(息が消えちゃった……だったら……もう一度!)……スウゥゥゥゥッッッ!!」
僕はもう一度白銀の息を吐くために、大きく息を吸い込む。
ケニー「スウゥゥッッ!!…………!!」
ケニーさんも応戦するため再び息を吸い込む。しかし吸気は途中で止まり、ケニーさんの様子が変わる。
ケニー「…………ソンナ…………兄者ノ……キガ……
…………ソンナ……バカナ………………我ハ…………
……ワレハ…………アア……アアアァァァッッ……
……アアアアアアアアアァァァッッ!!!
ギャアアアアアアァァァッッ!!!!」
ケニーさんは悲しみと怒りを含んだ大声を上げ、周りには紫黒の渦が巻いて激しく燃え上がっている様であった。
イース「…………!!!(ケニーさんの様子が……!
……でも動きが止まっている……今の僕の……全力をぶつけるんだぁぁ!!)
……ハアアアアアアアァァァッッ!!!」
僕は気圧されながらも、ケニーさんの迫力に対抗するが如く、全力で白銀の息を放った。
ケニー「ガャアアアアアアァァァッッ!!!」
ケニーさんは息を瞬時に吸い、白銀の息の方へ紫黒の息を放出した。その息は先程よりも更に禍々しく、全てを切り刻もうかという勢いで向かってくる。
ドオオオオオオオオオオオォォォンッッ!!!!
お互いの息が再び衝突する。周りは先程よりも更に大きな氷瀑散を上げる。そして……
イース「あっ…………!」
白銀の息は消失し、紫黒の息は僕の方へ襲い掛かる様に直進する。
イース「くっ……!(何とか耐え切らないと……!)」
僕は剛体術を強く発動し、両腕でのガードを試みる。
ゴオオオオオオオオオォォォォッッッ!!!
イース「ぐうぅぅっっ!!(何て威力だ……)」
紫黒の息を両腕で一旦止めはするも、その威力は留まる事を知らず、僕の両腕を傷付けていく。
イース「ぐうううぅぅぅっっ!!(もう……腕が……)
……わあああぁぁっっ!!!」
絶大な威力に耐えられず、両腕によるガードは破られ、僕は紫黒の息の直撃を喰らう。
ザシュッザシュザシュッザシュゥゥッッ!!!
イース「ぎゃあああああああぁぁぁっっ!!!」
絶望的な一撃だった。
僕は今まで嬲られたり、戦いでも傷付いてきたけど……今まで受けて来たどの傷と比べても深く……そのどれをも超える激痛が、身体の隅々まで刻み込まれた。
イース「あぁぁ……」
バタンッッ!!
絶望なる一撃を喰らい、僕は大量の鮮血と涙を流しながら、力無く仰向けに倒れてしまった。
ケニー「ワガアニジャ…………アニジャ…………
アニジャアアアアアアァァァッッ!!!
ギャアアアアアアァァァッッ!!!」
ケニーさんは怒り狂い大声を上げながら、倒れている僕の方へトドメを刺そうと、急進してきた。
イース「……(痛い……凄く痛い……でも……ケニーさんが……こっちに向かってくる……立って応戦しなきゃ……しな……きゃ……)」
ケニー「ギャアアアアアアァァァッッ!!!」
形勢が二転三転とする中、突如としてケニーさんの力が増し、僕は絶望なる一撃を受けてしまう。その一撃により、僕は今までにない程の絶体絶命の窮地に立たされた。
そして僕の命の終着点は……もうすぐの所まで来ていた。
…… 第七章 第十五話へ続く
ここまで読んで頂き、有難う御座います。
次回以降は完成次第、順次投稿する予定です。




