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混浴

 朝風呂入ってたら女の子が入って来た。

 うん、おかしくないよ。だって混浴だもんこういう事もあるよね。

 まぁ入って来た女の子は知り合いだけど……、一度こちらの裸を見られてるからお相子だよね!


 その女の子……、舞澄セリナさんはどうやらこちらに気付いていない様で、露天風呂から見渡せる景色に魅入っている。


「すごい! すごーい!」


 その言葉に間違いは無く山の自然に囲まれて渓谷を臨める展望、まるでこの温泉が山の中で浮かんでいる様な気分が味わえる。


 舞澄さんはその景色に吸い込まれる様に湯船に入ってこようとする。

 先ずは身体を流してからだろうが! 俺が心中で怒っているとその思いが届いたのか、舞澄さんは足を止める。


「いけないいけない、身体を洗わないと……」


 良くわかっているじゃないか。

 俺はうんうんと首を縦に振りながら感心する。

 そして改めて舞澄さんを見てみる。


 白く綺麗な肌、スラリと伸びている手足、そして細い身体なのに結構な物をお持ちの胸部……。

 マーベラス! と言う評価を下すのになんの疑問があるか……、いや無い!

 一応言っておくが別に覗きをしている訳じゃない、たまたま温泉に入っていたら視界に入ってきているだけである。何も問題は無い……、混浴だしね!


 誰という訳でもなく言い訳している俺の耳に舞澄さんの鼻歌が聞こえてくる。

 とてもご機嫌みたいである。


「フンフンフーン」


 舞澄さんはリズムに乗りながら身体を洗っていく、最初は左腕、次に右腕と……、しかし腹部を洗うところで手が止まる。


「うーん、少し太ったかなー」


 そんな事を言いながらお腹の辺りを触っていく。

 いえいえ全く太っていませんよ? むしろそれ以上痩せたら非健康的ですよ?

 舞澄さんは次に自分の胸を触りながら呟く。


「琥珀さんは大きいのが好きかなぁ? 小さい方が良いのかなぁ? うーん……」


 どうやら俺の好みを気にしているみたいである、当事者から言わせて貰うと胸の大きさに貴賤はないよ。

 大きかろうが小さかろうがどちらも素晴らしいと思うよ? 個人的には。


 しかし、アレだねこうも無防備にされていると、まるで覗いているみたいでなんか背徳感が湧き上がってくるな。なんて言うかこう……ドキドキしてくる、ただ温泉に浸かっているだけで覗きをしていると言う事実は一切無いんだけど!

 でも視界に入ってくるんだからしょうがない……、いやもう本当にしょうがない。


 どうやら舞澄さんは身体と頭を洗い終わったみたいでお湯に入ってこようとしている。

 こちらに気づくかなとも思ったが舞澄さんは全く気づかずに景色が良く見える場所に行き


「すごーい! たかーい!」


 と景色に喜んで温泉を楽しんでいる。

 舞澄さんは鼻歌を口ずさみながら温泉に浸かっておりこちらには全く気づかない。

 さすがに話しかけた方が良いのかと思い始めた時に声が聞こえた来た。


「でもこんな所で会えるとは思っていなかったなぁ」


 ああ、多分俺のことでしょうね、俺も会うとは全く思っていませんでしたよ……。


「これって運命だよねー、一緒にご飯食べたし、親同士の顔合わせも終わったし、後は結婚するだけだよねー」


 展開が早っ! 怒濤の急展開過ぎるこの子の頭はどうなってるんだ! 

 ……良し! 話しかけるのはもうちょっと様子を見てからにしよう。


「琥珀さんにも会えたし、ご飯美味しいし、お風呂は気持ちいいし、この旅行は良いことばっかりだったなー」


 ……えっ? この子自分が簀巻きにされて尋問された事忘れてる? 

 結構な衝撃体験だったと思うけど……。

 いや、むしろアレか? 怖すぎたから記憶から消したのか? どちらにせよ今この場にマリアが現れたが最後、舞澄さんの楽しい旅行は惨劇に変わるだろう……、二回目だし。


 でも大丈夫だろう、来るときに宴会場を見てきたけど大人達全員まだ寝てたから……、部屋に戻ってこず宴会場で夜通しお酒を飲むなんて……、すごくダメな大人だ! 注意しよう! 

 ……帰りの運転大丈夫だろうか?


 俺が帰りの心配をしていると、舞澄さんは浴槽から出て休憩用に設置されている椅子に寝転がりタオルを身体に掛けて火照りを覚まし始めた。

 凹凸のハッキリしている身体にピットリと濡れているタオルがくっつき、なんだかとても扇情的である。

 とても眼福である。


 もうここまで気づかれないんだったら最後まで気づかないと良いよ……、俺も話しかけにくいし……。

 少し経ってから舞澄さんが起き上がり再度浴槽に向かってくる。


「今度はどっち側に行こうかな」


 と良いながら舞澄さんは顔を振る。

 そして目が合う。


「おはよう」


 ……………………

 沈黙が場を支配する。


 そしてようやく事態を認識したのか舞澄さんは目を大きく見開き、手を口に当て塞ぐ様な体勢を取る。

 俺がなんだろう? と疑問に思うがその疑問は次の瞬間に解けた。


「ヴゥッッッッッーーーーーーー!?」


 舞澄さんは自分の手で口を塞ぎながらくぐもった悲鳴をあげた。


 あぁそうですね、大きな悲鳴を上げたらマリアにバレますよね。もしバレたら酷い目に遭わされますものね。一回目から良く学習してますね、花丸あげましょう。


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[気になる点] >聞こえたきた →聞こえてきた 誤字報告はオンにしておいた方がよろしいかと
[一言] 反応薄いなぁこいつ
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