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挨拶回り

 咲紀さんに挨拶をした後、会場に来ているお客さんに挨拶回りをする東華院の二人についていく。

 改めて、会場を見渡すと男性もそれなりに来ているが、どの男性も結構年がいっている。

 なんでだろうか? 普通年頃の男も来ていても不思議では無いが……。


「詩乃さん、年が近い男性っていないね?」


 詩乃さんは、俺の質問に苦笑しながら答えてくれる。


「それぐらいの年の子を連れてくると、後々縁談の申し込みが大変になるからあまり連れてこないらしいよ」


 俺はそれを聞いてなるほどと感心した。名家の男となったらそれはもう大変なのだろう。家の人も少々過敏な対応をしてもおかしくない。逆を言えばこういう所に来ている俺ぐらいの年齢の子は、縁を結びたいと言う事か……。

 俺がそう言うことを考えていると、咲紀さんと詩乃さんの二人は次々と来場している人達に挨拶をしていっている。

 挨拶をされた人達は、主に咲紀さんと話しながら、チラチラと俺の方を見ている。


 それに気づいた咲紀さんが、娘のパートナーだと紹介するので、俺はニコリと微笑み挨拶をする。挨拶をされた人は、”もうこんな素敵な男性をパートナーにしているとは素晴らしいですね”、と詩乃さんを誉めていた。


 しかし、あれだな……。こちらを見てくる視線で、どこフェチかわかるな……。

 俺のドレスは、肩も足も結構露出しているので、みんな上から下まで、一旦眺めた後自分の好きな場所を再度、チラチラと見てくる。おそらく詩乃さん達が居なければ、ガン見していた事だろう……。


 多く見られたのは足だ。服が膝上しかないから一番目立っていたのだろう。

 次に肩口、これも肩が出ているデザインなので見られてもしかたない、がこちらの人は鎖骨フェチが多いのか、鎖骨に視線を多く感じた。

 そして胸、正直あまり意味がわからないのだが、会った女性はここも見ることが多かった。別にさらけ出している訳でもないし、女性の様に膨らんでいる訳でもないのだが……、やはり胸には筆舌にしがたい魅力が備わっているのだろうか? 疑問である。


 次の相手は三人組らしい、珍しいことに男性がいる……。

 というか、なんだか見たことがある人がいる様な気がする、……というかよく知っている人だった。


「やあ、楽しんでくれていますか? 西華宮さん」

「こんにちは、東華院さん。素敵なパーティですね、楽しませて頂いてます」


 そう、柚香さんとおそらくそのご両親だったのだ。

 詩乃さんが小声で、柚香のご両親だよと教えてくれる

 一緒に居る柚香さんは咲紀さんに挨拶をしている所だった。柚香さんの服は純白のドレスでよく似合っていた。

 しかし、珍しい事に柚香さんのご両親は仲睦まじい様子である。正直ここまで仲が良い夫婦は見たことが無かった。

 実際に挨拶が終わった後、柚香さんのお母さんは旦那さんの腰に手を回し、引き寄せてぴったりとくっついている。旦那さんの方も奥さんの腰に手を回し楽しそうにしている。


 ……ここだけ別世界だな。


 俺が興味深く観察をしていると、俺の事が紹介されたので挨拶をする。

 すると、もう俺のことを知っていたのか親しげに話しかけられた。


「初めまして、西華宮 柚木(ゆずき)です、こっちは夫の久慈(くじ)宜しくお願いしますね」


 そう言うと、柚香さんの母親である柚木さんは、すらりとした指をこちらに差し出してくる。

 俺はその手を取り、握手をすると隣から、別の手が伸びて来る。旦那さんの久慈さんである。


「宜しく、西華宮 久慈(くじ)です。君のことは柚香から良く聞いているよ」


 久慈さんはそう言って、フフッと微笑み言葉を続ける。


「だからかな正直、初対面という気がしないよ」


 その言葉を聞くと少し後ろに居た、柚香さんが慌てたように声を掛けてくる。


「おっ、お父さん! 何言ってるの!」

「何って、高校に入ってから柚香が毎日、琥珀君、琥珀君と話をするから、もう長い知り合いの様に感じていると言っているだけなんだが……」

「そんなこと言わなくていいよ~」


 柚香さんは顔を赤くして、涙ぐんでいる。……ちょっとそそられる。

 しかし、柚香さんのお父さんは、出来た人らしい、立ち振る舞いも、奥さんと柚香さんの接し方も感心させられるばかりである。外見もダンディで、優しげな眼差し、身体から発せられる高貴なオーラに包容力が合わさってスゴイ魅力である。


 しかし、それだから余計にというか、前世の記憶がある俺には違和感を持ってしまう。


 詩乃さんのお父さん、久慈さんの服装だが、紫のロングドレスを着ていることにだ。この世界ではおかしくないのだが、これだけダンディな人だから余計に違和感を持ってしまう。


 と言うか、違和感しか感じない……。なんというか前世で言うと、大柄な男の人がピンクのフリフリの服を着てスーパーで買い物をしている位の違和感だ。


 しかし、西華宮の夫婦は仲が良いみたいだし、親子関係も良好そうだな珍しい……。咲紀さんもどことなく羨ましそうな感じが出ている。そう言えば、柚香さんには弟が居るって聞いていたけど、今日は来ていないかな? やっぱり縁談関係で来ないのかな?


 大人達は大人達で話をしているので、柚香さんに聞いてみる。


「柚香さん、今日は弟さんは来ていないの?」

「弟ですか? 弟は少し引っ込み思案であまりこういった場には来ないんです」


 すると、詩乃さんも口を挟んでくる。


「私も口を聞いたことあまり無いんだよ」


 一応、柚香の幼なじみなのに……、と悲しそうに言う。

 すると、柚香さんは苦笑しながら言う。


「弟は家族以外の女性が怖いらしいので、もしかしたら琥珀君は仲良く出来るかも知れませんね」


 ……どこの家庭も色々問題があるみたいだ。


 その後、柚香さん達と別れた後も、色々な人に挨拶をしながらパーティの時間は過ぎていき、俺は無事に役目を終える事が出来た。


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― 新着の感想 ―
このパーティ、映像化したら酷い絵面になるな。 でもアニメーターも悪ノリして女より気合い入れて男のドレス描き込みそう
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