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道中

 とうとうパーティの日が来た。言われていた通り、家に迎えが来たが、なんと詩乃さん本人が迎えに来た。てっきり東華院の使用人の人が来て、詩乃さんとはパーティ会場で会うのだと思っていたのだけど。

 そして俺は詩乃さんにエスコートされ、以前も乗せて貰った高級車に乗ってパーティ会場まで向かっている。


 ……しかし、この車乗り心地が最高だ。シートはふかふか、振動は無く気を抜いたら寝てしまいそうである。家にあるソファーの座り心地も良いのだが、このシートはその上を行く。


 次第にうつら、うつらとしてしまう。実は昨日、パーティの事を考えすぎて寝付けなかったのだ。

 そんな俺を見かねたのか、詩乃さんが声を掛けてくれる。


「琥珀君、会場に着くまで寝ていても良いよ」

「えっでも」

「大体、パーティの本番で、眠そうな顔をして出るより、ここで少し寝ていた方がいいよ。それに会場のホテルに着くまで少し時間あるし」

「う~ん、じゃあお言葉に甘えて……」


 俺はそう言い、座席に身体を預けて眠りに入る。


「……本当はお話したかったけどね」


 俺の意識がなくなる時、かすかにそう聞こえた様な気がした。





 …………何か柔らかい物がある。そこに手を置いてさすってみた。


「うんっ!」


 さすると音がした。でもスベスベとして触り心地は良かったので、今度は揉んでみる。


「やっ! うぅ……、やん!」


 またしても音が聞こえてくる。手に帰ってくる感触はブニブニとして柔らかく、それでいてしっかりとした弾力を感じる。


 しかし、これは何だろうか? スベスベでブニブニ、そして良い匂いがする。


 ……ぺろり。


「わひゃあ!」


 試しに舐めてみたら、今度は大きな音がした……。

 ……その音を聞いて、段々と意識が戻ってくると身体を起こし目を開ける。

 俺は目が擦りながら、今の状況を思い出す。


 そうだ、今は詩乃さんに誘われたパーティに行く途中だ、で少し時間があるから寝ていたと……。

 あれ? 俺、今身体を起こしたよな……、あ~詩乃さんに寄りかかっていたのか……。

 悪いことをしたな、謝っておこう。


 俺がそう考え、少し寝ぼけた顔を詩乃さんに向けると、そこには顔を真っ赤にして、こちらに目を向けようとしない詩乃さんがいた。


「詩乃さん、ごめん寄りかかってた?」

「いや、うん。大丈夫だよ」


 大丈夫……?


 詩乃さんは真っ赤な顔で汗を流しながら、目を明後日の方向へ向け、返事をする。

 大丈夫そうに見えないが……。


「えっと、ごめん。寄りかかって重かったかな? なんか大丈夫そうに見えないんだけど……」


 たぶん肩に寄りかかってたんだよな? 肩が重かったから、汗をかいてるのか? でもそんなこと言えないからこの態度なのかも……、悪い事したな。


「いや、本当に大丈夫。太ももに幸せがあっただけだから!」


 詩乃さんは焦りながら言ってくる。


「ふともも? 幸せ?」

「深く考えなくても良いから!」


 何の事かと考えようとしたら、止められた。

 ……何故だろう?


「そっ、そんなことより、もう少しで会場のホテルに着くよ!」

「あ、そうなんだ」


 詩乃さんの言葉通り、少ししてからパーティが開かれるホテルに着いた。

 ホテルに着いたら、俺はパーティ用の服が置かれているという部屋に案内された。


「一応、ヘアメイクの人とかも呼んでるから着替えが終わったら、(うち)の使用人に声を掛けてね、ドアの外に居るから」


 じゃあ、私も着替えがあるから、と言って詩乃さんが部屋から出て行った。

 部屋の中を見ると、おそらく装飾品が入っているだろう箱と、赤いドレスが置かれていた、先ず俺はドレスを手に取って見てみた。


 ……短い。


 手に取ったドレスは、裾が短く、だいたい膝上ぐらいだろうか、足がしっかりと出るタイプのドレスである。しかも足だけでは無く、肩もしっかりと出るタイプで全体的に露出が多いドレスだった。


 ……派手じゃ無いヤツって言ったのに! スーツで良いって言ったのに!


 ……いや、しっかりと役目を果たすと決めたじゃないか、こんな少しドレスがアレだったからって落ち込んでられない。俺は手に取ったドレスに着替えてみる。


 ……自分で言うが似合っている。俺は容姿が良いから大体の服は似合うのだが、鏡を見るとこの赤いドレスは、俺の魅力を十二分に引き出しており、このドレスを選んだ詩乃さんの目が間違っていない事を表していた。


 着たいかどうかは別としてだがな!


 まぁ俺は細身だし、毛も無いし、肩も足も出すことは別に良いんだが……。しかしこの服、他の男が着たらどうなるんだ?


 改めて、この世界の衣料事情に戦慄を抱く。男女同じデザインの服を着ることが普通ならば、このドレスのような服を毛深くて、ムキムキの男が着ることもあるのだ。


 見たくな……いや、むしろ見たい。どんな事態になるのか見てみたい、大惨事であろう。

 しかし、それがこの世界では普通のことなのだ。


 このパーティにいるかな? 少しパーティが楽しみになってきた。


 さてと後は、この箱かな? 多分、指輪とかネックレスとかの装飾品だと思うけど。


 俺は置かれている箱を手に取り開けてみた。


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