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襲撃

 みのりさんの蹴り一発。ありえない程の勢いでコテージのドアが吹っ飛んでいった。なんと豪快な"おじゃまします"だろうか……。夜襲じゃ無くてもビビる。


 今回の襲撃参加者は俺を含めて四人、詩乃さんと柚香さんとみのりさんと俺である。舞澄さんと八千草さんは装置の護衛で居残りである。この役割が決まった時の舞澄さんの『お留守番ですわ~』となんとも悲しそうな声を出していたが致し方ない。真夜中という事で暗視スコープを詩乃さんと柚香さんが提供し、使い方を熟知している為の人選である。


 ……何で貴族のお嬢様女子高生がそんなもんの使い方を熟知しているのかと言う疑問は既に涌いてこない。貴族とはそう言う物だと思うことにしたのだ。


 ちなみにこのコテージに来るまでに仕掛けられていた罠の類いは詩乃さんと柚香が素早く解除してくれた為、ここまでスムーズにこれた。……女子高生とは一体?


「柚香!」

「うん!」


 俺が少し現実逃避している内に優秀な仲間が素早く行動を開始してくれている。入り口が開いたコテージに柚香さんが準備をしていた発煙手榴弾を投げ入れる。コテージに投げ入れられた手榴弾から直ぐに煙が出てコテージ内を覆い尽くす。そして素早く暗視スコープを外すとガスマスクに変えている。


「突入!」


 ここまで来たら後は制圧のみである。事前の取り決めで、俺とみのりさんは男性の捕獲、詩乃さんと柚香さんは宝石の奪取に向かうと決まった。その取り決め通りそれぞれに別れて行動する。


 装置はリビングに設置されているので、直ぐに見つかったが、やはりと言うか護衛の人がいるみたいである。そこに詩乃さん達はスタンロッドを手に躊躇なく突っ込んで行った。


「私達はこちらですね。コテージの作り自体はあまり変わりは無いようですし、わかりやすいですね。……とは言え」


 煙が蔓延している廊下のあちこちから音がし、注意を呼び掛ける声がする。扉を開けてから一分も立っていないと言うのに、流石、選ばれし乙女達である。


「では突撃します。出てきた女性達は私が押さえますので琥珀さんは、男性の捕縛をお願いします」

「わかった。数が多いけど大丈夫?」

「問題ありません」


 みのりさんはニッコリ笑って煙の先に突撃していった。……さて俺も行動しないといけないのだが……前はみのりさんが大立ち回りして、抜ける事が出来そうに無い。仕方がないので俺は裏から周り込むことにしよう。



 ◆◆◆◆


「日向さん日向さん! 襲撃です! どうしましょうどうしましょう!」

「あーもう、落ち着きんさい! 来るよ!」


 日向が共に警護していた相棒に注意を促す。そのすぐ後、煙の向こうから敵が襲って来た。襲撃者は二人、部屋の外からも激しい音が聞こえる事から、ここ以外も攻撃されているのだろう。


「っと!」


 鋭い打ち下ろしを日向は避け、襲撃者を掴もうとするが、それは相手も許してくれない。その一瞬のやり取りで日向は襲撃者が一筋縄ではいかない事がわかり、改めて気を引き締めたその瞬間


「ギャッ!」


 相棒の声が叫び声とバチンという大きな音が聞こえた。


「大丈夫!?」


 日向のその呼び掛けにも返事が返って来ない。日向の頬を汗が流れ落ちる。相棒が倒れた事で日向は一人で二人の手練れを相手にしなければいけない。


「これはきついなー」

「降伏も認めるよ」


 独り言の積もりで呟いた言葉に返事が返って来た。日向は話を続けるか少し悩んだ末、話をする事を選んだ。時間を掛ければ外で争っている仲間が駆けつけてくれるはずだからだ。冷静に考えれば敵側も自分の拠点を無防備にできない為、こちらの方が数が多い。ここに二人いるのだから部屋の外には一人か二人しかいないはずだ。少なくても二人は拠点で男子と宝石を守る必要があるのだから。


「いやー流石にそれはできゃあせんよ」

「えー。今ならうちの王様のブロマイドつけるよ」

「……いや、うん。それはそれで欲しいがっーー!?」


 直後、身を屈めた日向の頭のすぐ上を相手の獲物が通る。死角からの攻撃。会話で気を引きその隙をもう一人が攻撃する。煙の効果もあって効果は抜群だなと日向は冷や汗をかきながら冷静に分析する。


「うーん失敗しちゃった」

「手強い……」


 えげつない戦法を取ってくる相手だがその声はとても美しく優雅さを感じさせる程だ。


 バチン! と音が鳴る


 日向の意識が一瞬そちらに向いた。ハッと意識を戻すが既に相手の掌底が目の前に迫っていた。


「クッ!」


 間一髪その手を避け、逆に腕を取り間接を極めようとする。しかしそれは相手も許さないともう一方が攻撃を繰り出し、それを避けるため腕を離す。結果元の位置にお互いが戻る。しかし部屋に蔓延していた煙が段々と薄くなり、相手が見えるようになってきた。


「ふぅ」


 襲撃者はマスクをつけて手に警棒の様な物を持っている。バチンと言う音を出したのがあの武器だとすると恐らくスタンロッド、と日向は検討をつける。


 そして思う。もしかしてこの二人は何処かの特殊工作員か? と……

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