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スタジオ登場

『さあっお待ちかね! 厳しい試練を乗り越えた輝く王子様達の登場です!』


 只今撮影中。予定では順番にスタジオに出て、全員が出た後に各人の詳細なVTRを流す予定らしい。自分の登場を待っている間、先程絡んできた雰囲気イケメンさんが俺を睨んできたので、俺はニッコリと微笑み返す。


 取り敢えずバカにしておこうと思っての行動……もとい、先の諍いで起こった関係の悪化を少しでも改善しようと思っての行動だったが、相手には不評だったようで舌打ちが返ってきた。全く……好意に唾を吐く行為は慎んで欲しいものだ。


「ハハッ、良い性格をしていると思っていたが、やはり思った通りだったな」


 俺と雰囲気イケメンのやり取りを見ていたのか、王様を自称している人から声を掛けられた。


「えと、何の事かな?」

「今さっきのやり取りの事だ。アレだけ盛大に煽っておいてしらばっくれる事もなかろう?」

「そんな……煽るだなんて……。俺はただ、さっきの諍いは水に流して本選では正々堂々と戦おうって、そう思って笑い掛けただけだし」

「……嘘つけ」


 俺が太陽王にそう言葉を返すとあらぬ所から攻撃された。まぁ今更誰とは言わない。


「日比谷副会長、別に嘘なんかじゃないですよ」

「フン、俺の事を貴様の言葉通り受け取るバカだと思わない事だ」

「……フム、貴様らは顔見知りの様だな?」

「違う」

「名前だけなら……」

「いや、どう考えても知り合いだろうに……」


 俺と副会長の返答に太陽王が呆れた表情を浮かべる。


「まぁ良い。時に日比谷よ一つ賭けをしないか?」

「しない」

「なるほど……即答か……。決断力があるのは好ましいが短慮なのはマイナスだぞ」

「貴様にマイナスの評価を受けるほど落ちぶれてはいない」

「クククッ、やはりプライドが高いな。余の見立て通りだ。良し! では話は余が貴様を破ってから、改めてするとしよう」


 太陽王のその言葉に副会長は眉をピクリと動かす。


「もしかして俺に勝てると思っているのか?」

「当然の事を聞くな。愚か者」

「……度し難い勘違いだ。これだから井の中の蛙は……」


 副会長は溜め息と共に言葉を吐き出す。そんな副会長の反応を見て太陽王は面白そうに笑っている。


「でも副会長が別の人に負けたり、太陽王が先に負けたりしたらその話は無くなるのか?」

「俺は負けん」

「余は負けん」

「あっそうですか……」


 俺のささやかな疑問はノータイムで答えが返ってきた。


「しかし秦野よ。余を王と呼ぶとはわかっているな」

「あっ、つい……」

「わかっている……僅かといえど言葉を交わしたのだ。余の偉大さを知って知らず出てしまったのであろう? 仕方の無いことだ。」

「はぁ……」

「王と言えば余。余と言えば王だからな」


 内心、馬鹿にしています。とは口が裂けても言えない。


『ではお次はこの方! 大注目の男子です! 王座太陽君!!』


「おっと、ようやく余の出番か。ではな」


 太陽王は自分が主役だと言わんばかりの態度でスタジオに出て行った。


「まったく、類は友を呼ぶとは言うが、貴様の周りには頭のネジが飛んでいる奴が集まる性質でもあるのか?」

「いや、さっきの太陽王はどう考えてもアンタに興味津々だったし」

「…………」


 なんか言えよ。


 その後、副会長もスタジオに出て行き。残ったのは俺一人になった。スタジオに出て行った人は司会者からマイクを向けられ、喋っているが愛想の欠片も感じられない返答をしている人も多い。彼らのおかげで俺が少し愛想良く返答したら好印象を得られるのでもっと無愛想に言って欲しい。司会者から聞かれる質問は前もってアンケートされていた内容なのでそう難しい物では無い。本戦への意気込みや趣味、好きな食べ物、そして好きな言葉などだ。ちょっと笑顔を振りまくぐらいでお茶の間を味方に出来るのだったら安い物である。


『さあっ! いよいよ最後の王子様です! 皆様お待ちかね、予選では他者を蹂躙した天使の登場です』


 俺の出番が来たようだが、蹂躙した天使ってなんだ!? 天使だけで良いだろ! 後で江藤さんにクレーム入れてやる! と思いながら、しかしそれを全く感じさせない笑顔を作りスタジオにでる。そして俺がスタジオに出た瞬間、観覧席から歓声が響く。この番組が非常に注目を集めている証拠だろう。俺はあざと過ぎ無いように適度に笑顔を振りまきながら指定された位置まで進んでいく。


「どうもよくお出でくださいました! いやー凄い人気ですね!」

「そ、そうですね。こんなに応援してくれる人がいるなんてびっくりしました」

「いやいや、もっと居てますよ! 秦野さん巷では『私の天使』って呼ばれてるんですよ」

「だから声を大にして言えるもんね『私の天使』って」

「うるさいわ!」

「アハハ、何というか恐れ多いですね」

「いや~! 可愛いね!」

「そうなんですよ。事前のアンケートとの内容も凄い可愛いですよ」

「何、早く聞かせて!」

「えー例えば! 好きな言葉……『平和』!」

「ピュアすぎるでしょ!」

「ホントにね」


 スタジオは観覧席のお客さんも含めて大盛り上がりである。だがすいません。本当の好きな言葉は不労所得です。


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不労所得は誰もが好きだからしゃあない
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