詰み
これは別にラウム王子に言われたからではない。それに、おそらくだけどラウム王子はもう僕をラルクルウッド・ゲーと戦わせる気は無いだろう。
なにせ対ラルクルウッド・ゲー部隊が皆死んでしまったのだ。
兎にも角にも今は移動だ。
僕はラルクルウッド・ゲーを倒す方法を考えながら、戦場の方角へ歩き出した。
「なんだと!?ネシテルの居た街が壊滅!?」
まずいことになった。父上に私が戦場に出られる許可を頂いて、私の屋敷に戻れはこれだ。
ボロボロの伝令兵の顔は悲観にあふれている。
「で、ネシテルは何処だ?」
「それが…。」
伝令兵は俯いて黙ってしまった。まぁここにネシテルが居ない時点で代替の察しはついていた。
私が離れれば何らかの不運が起こる事は予測していた。しかしネシテルも二重に祝福を受けている。
日に日に不運が強くなっている傾向がある事は解ってはいたが、ここまでとは。
しかし対蟲部隊がほぼ全滅だと?!帰って来たのは伝令一人だと?!あり得ない!!!!
ここはバルマンドリアだぞ!バルマンドリアの王都のすぐ隣の大都市が壊滅だと!!!
あそこは商業の中心地で、一日に動いている金と商品の量なら、王都にも並ぶ大都市だ。
このバルマンドリアだけでなく、大陸のあらゆる商品があそこにはある。
無論そこの警備が弱いわけがないのだ。警備兵だけでも900人は居るはずだ。
くそっっ!!
認識が甘かった。計算も失敗した。
あの少年は危険すぎた。あの大都市に祝福を受けた人間は何人居たと思っているんだ。
それをたったの半日で壊滅だと。
父上に戦場に降りる許可を得た手前、ここで放り出すわけにも行かなくなってしまった。
対蟲部隊も居なくてどうやってラルクルウッド・ゲーと戦えば良いのだ。
なるほど。あの不運は何処までも人を巻き込むという事か。
奥の手になりえた少年は、私の奥を燃やしてしまったわけだ。
「詰んだな。」




