永き地の脚
時刻は夜。王子は僕の寝ている蟲車に入って来た。今は前哨基地に向かって大陸を西に移動している。
その間僕はずっと寝かされたままだ。
「お主にはラルクルウッド・ゲーと戦ってもらう。」
何度逃げようと思ったか解らない。すぐ近くにはもらったブーメランも有るし、ここから飛び出してしまいたかった。
「ラルクルウッド・ゲーとはだが…。」
だが幌の隙間からみえる物々しい兵士達の数があまりにも多いのだ。左側だけでも百騎以上の蟲騎兵がいる。
「おい聞いておるのか。」
「!は、はい!」
「ラルクルウッド・ゲーのことだが、それはムカデの蟲だ。」
王子はいつの間にか厳かな全身鎧をまとっており、とても強そうだ。
「あぁ、ムカデとは胴体が21個あり、その全てに一対の脚をもつ蟲のことだ。」
もしかして僕はそれと一人で戦わされるのだろうか。
「本来のムカデはそこまで大きくは無い蟲なのだが…ラルクルウッド・ゲーは違う。たった一匹で街一つよりも大きいのだ。まさに災害。世の人々は畏怖を込めてそれをこう呼ぶのだ。ラルクルウッド・ゲーと。」
「そんな化け物とどうすれば戦えるのですか?」
「まぁ聞くが良い。策はまだ話せぬが無いわけでは無いのだ。お主は蟲狩りなのであろう?蟲を狩ることに臆してどうすのだ。」
そんな事を言われても怖いものは怖いのだ。街一つよりも大きいだって?全く勝てる気がしない。
「それともう一つだ。何も勝てとは言っておらんではないか。うまく戦ってくれと言っておるのだ。」
「うまく?!一人で!?」
「一人でなどとは言っておらん。あんな物と一人で戦える者はおらん。」




