呪い
「っっ!!」
目を覚ました僕は飛び退いて後ずさった。
すぐ近くに二ルクスの先生が居たからだ。
「さっきはごめんなさい。もう何もしないから安心して。」
信用できるわけがない。ついさっき騙されたばかりなのだ。
僕ら木造の建物の中にいるようだ。彼女は出口側に近い所に座っている。部屋の大きさはかなり狭い。
「ほら、あなたが寝ている間何もしなかったでしょう?」
はっとして体中を触ってみる。特に目立った事はされていないようだ。
ほんの少しだけ警戒を解く。
外の風が強いのか、轟々と音が聞こえてくる。
「あなたの呪いの性質上仕方なかったのよ。」
「その呪いってなんです?」
船の中で二ルクスにも一度言われたが、よくわからない。誰かから呪われるような事をした記憶は無い。
「やっぱり知らなかったのね。今どき呪いにかかっている人なんて居ないものね。」
風の音がどんどんと大きくなっている。
「なにか心辺りは無い?誰かに恨みを買ったとか、よく分からない物に触ったとか、ね?」
「無い。」
そういえばここは何処なのだろうか。
「じゃあ誰かから魔法を掛けられたりは?」
「!!」
「アタリみたいね。」
もっと早くに聞いておくべきだったような気がする事を聞いておく。
「ここは何処です?」
「あぁ、まだ山の中よ。さっきの雪雪崩の近くね。」
「どうやって助かったんです?」
「それをさっきから説明しようとしてるのよ。」
建物はきしみ始めている。隙間風も入ってきた。
「あなたにかかっている呪いは健康に関する呪いね。それもとびきり上級のやつ。」
「魔法を受けた事は認めるけど、それは健康についてじゃ無い。まして呪いでも無かった。」
「魔法、呪い、祝福、全部同じような物よ?根源はいっしょだし、みんな目に見えないでしょ?」
祝福。祝福も含まれるのか。
「それで、その呪いはきっと、あなたが(健康であれば有るほど不幸に見舞われる)呪いね。ここしばらく観察を続けたのだから確かよ。」
納得した。それで沢山の事が説明がつく。
「あの雪崩は多分あなたの不幸が原因だから、あなたを不健康、つまり今回は気絶ね。にすればきっとなんとかなると思ったのよ。」
するとこの小屋に避難できたという訳か。なるほど筋は通っている。少しは信用できるかもしれない。まぁかなり危ない事には変わりないが。
「それでえっと…さっきまでのあなたの最大の不幸は自分を攻撃してきた怖いやつと同じ建物にいることだったんだけれど…」
何か悪い予感がしてきた。
「私といることの不幸度合いが、今の説明を聞いて低くなったっぽいから、また何か来るかもね。」




