判断は如何に。
タロットの償いは学園で共に魔法を学び、それを今度は自分自身の為に使う事。
これは彼が大切な自らの魔力を「悪」としてしか使っていなかったのをこれからは「善」として使って欲しいという願いを込めた。
彼のした事は確かに大事件に繋がった。
けれど、原因は犯罪を当たり前の様に行っている貴族達。私が彼の記憶で見た闇オークションだって取り締まりが厳しくなった今でも何処かで続いている。
諸悪の根元はなかなか無くならない。
(王宮の監視対象になるのは確か、か…。)
殺人を犯してなくても、やはり闇の魔力を悪用したのは罪になる。それはリュード達も同様で、何らかの処罰はされるだろう。
「タタ…ナナ…」
学園の保健室にてベッドに寝かせた二人の側を離れないタロットを見ながら考えを巡らす。
闇の気に当てられた二人は治癒魔法をして、何も心配は無くなった。
実は二人は人間と小人族のハーフで闇オークションに引き渡されそうになった時にタロットが助けたらしい。
異種族は闇オークションでは高値で売られ、誘拐なんかも頻繁にある。
拐われそうになった二人がタロットには昔の自分達に重なって見えたそうだ。
気付いたら助けていたと教えてくれた。
「…ん、あれ…タロット?」
「…どうして悲しそうなの?」
「!!ごめん…、本当にごめん…俺が間違ってた…!」
目を覚ました二人に頭を深く下げて謝る彼は闇の魔力の影響が薄れてきた様だ。
闇の魔力は「善」にも変えられるけれど、保持者の感情一つで簡単に邪悪な力にもなる。
さっきのタロットは闇の「悪」の力でタタとナナを見捨てるという行動を取っていた。
魔力が私達に及ぼすものの大きさが伝わる。
「次に無茶したら怒るから」
「うん、物凄い怒る。だから…」
「「闇に囚われちゃ駄目だよ」」
普段はあまり感情を表に出さない彼らの笑顔見て大丈夫そうだと安心した。
彼らもタロットがあの時、かなり無茶をして闇の魔力を使っていた事にかなりご立腹らしい。
小さな二人が頼もしく見える。
(あ…だんだん空気が澄んできたな…。)
今、保健室にいるのは私とタロットとタタとナナとリュードの五人だけ。
大事な話があるからと言って私達だけにして貰ったけれど、外の廊下にはハヤテとリリィがいる。
それに、気配を消して分からないけど…何となくレインもいる気がするんだよね。
本当に心配性な子達だ。
ちなみに、他の皆は学園の修理や王宮へと行っている。
リオネちゃん、ウルちゃん、ミケ君、ヴァン君はハヤテとリリィが壊した窓の修理や荒れた森の掃除係。ハヤテ達には後でどんな登場をしたのかきっちりと説明をして貰おう。
アロネットちゃんは体を取り戻して、数年ぶりに彼女自身として家族に会いに行っている。
ハルト様とランジェ様は王宮への報告係。
巷を騒がせていた裏組織の主犯達を見付けのだ。王様に報告次第、処罰が下されるだろう。
この保健室でタロット達と話したら私も彼らを王宮へ連れて行くつもりだ。
「闇が薄れてきた…トワに関する記憶も戻ったっぽいな。それにお前の見た目も元通りだぞ」
「まぁ!金髪に戻ったわ!!ふふっ、この色が凄く懐かしく感じる…」
「目の色も元通りだな」
リュードとタロットに言われて気付いた久しぶりの自分の色に嬉しくなった。
この五人でいると、記憶の無い間の事を思い出す。不安な中で彼らの存在はとても大きくて、今でもその思いは変わらない。
「さて…王宮に行く覚悟は出来た?」
「あぁ、俺達は覚悟を決めたさ」
「俺もだ」
「僕らも大丈夫だよ。だよね、ナナ」
「うん。勿論だよタタ」
その言葉を聞いていたトトがすぐに王宮へと繋がる扉を開いてくれた。そして、彼らに下された処罰は無期限の魔法使用禁止令と監視付きというものだった。
学園で魔法とは何かを学び、自らの魔力の意味を理解した時に禁止令の解除を検討するとの事。
二度と彼らの様な被害者を出さない様にする為にともう一度、徹底的に闇オークションや人身売買などの裏で貴族達が絡んでいる犯罪を洗い出すとも王様は言った。
「離しなさいよ!ちょっと!アンタ達みたいな奴らが私に触って良いと思ってるの?!」
「大人しくしていろ!暴れるな!!」
「はぁ?!只の兵士が私に指図するんじゃないわよ!!」
残る問題はこの方。
「アロネット・ナディア」を名乗っていた彼女。
本名はガルシア。
地下街に生まれ、偶然町に出掛けていたアロネットを見付けて家まで尾行したらしい。
王宮に来ても自分が主人公でアイツが偽物だ!と喚き散らす彼女に周りの人達は困惑している。
このまま帰したらアロネット・ナディアが危険だと判断した王様はガルシアを王宮が管理する施設へと移す事にした。
厳重に管理するのは彼女が闇の魔力保持者でもあるからで、危険性が高いとされた。
「さて、そろそろ学園に戻ろうか。ミケ達から早く戻って来てとの連絡が来てしまった」
「そうですわね。学園の修理も手伝いに行かなければですわ」
ハルト様に言われ、レインが開いてくれた扉に手を掛ける。
太陽が沈み、夕方に。
夕焼けでオレンジ色に染まる王宮内を背に私達は学園へと帰った。




