貴方とずっと。
気持ちを落ち着かせてから彼と向き合うと、最初はきょとんとしていた表情を優しい笑みへと変えたサロット君。
それはタロットの記憶の中で見ていたままで、彼らは持っている雰囲気がとても似ていた。
「ふふっ、変だよね。お姉さんとは初めて会う筈なのに凄く安心するんだ」
「お願いサロット君、力を貸して欲しい…私はどうしてもタロットを助けたい。このままじゃ、彼は闇と一体化しちゃう…!」
「大丈夫だよ。俺の大事な弟だもん。絶対に助け出すよ…だからまずはタロを起こさなくちゃね」
サロット君がタロットの頭を撫でるとだんだんと深緑色の髪が元の桜色の髪へと変わっていく。
目を覚ましたタロットはサロット君のふわりふわりと優しく撫でる手を掴む。
目に涙を浮かべ、彼に抱き着いた彼は今までの苦しさや寂しさを埋めるかの様にサロット君の名前を呼んでいた。
「サロ…俺のせいで、本当にごめん…っ、ごめんな!…っ本当にごめん…!!」
「何でタロが謝るの?俺はタロが生きてくれて凄く嬉しいのに。俺はお前が大大大好きなんだよ?
それに、タロが俺をずっとお前の中で生かしてくれたじゃないか」
「っ、救えなかったら意味がない…!!」
「タロは俺を救ってくれたよ。俺をずっと記憶に残してくれたお陰でまたこうやってタロと会えたんだ。俺は幸せだよ」
サロット君の言葉は不思議だ。
胸にすとんと入って来て、とても温かい。
タロットもその言葉に動かされ、侵食されていた体の一部から闇が剥がれ落ちていた。
彼の気持ちが闇を制御し始めている。
「俺はこれからもタロの中で生き続けるよ。だから、今度はタロはタロとして生きて」
「サロ…」
「ふふっ、ずっと言ってるだろ?俺はタロの髪色が大好きなんだ。俺と同じ色っていうのも捨てがたいけど…やっぱりタロはその色が一番だよ!ね!お姉さん!!」
「うん、私も綺麗なタロットの髪が大好きだよ。ううん…貴方の全部が大好き」
「!!……本当、何なんだよ。サロもトワも…っ、馬鹿だよ…大馬鹿だ…」
そう言って微笑んだタロットの体から完全に闇が剥がれ落ちた。
もう大丈夫、彼は闇に勝った。
タロットを再び抱き締めたサロットに続いて私も彼を抱き締める。
お、おい…と慌てるタロットが可愛くて、サロットと目を合わせて笑ってしまった。
「もういつでも闇から出られるよ。タロ、苦しい時も辛い時も楽しい時も幸せな時も俺はタロといるからね。それを忘れないで」
「あぁ、忘れない…絶対に忘れない。ありがとうサロ」
光に包まれた時、それがサロット君の魔力だと思った。
サロット君が闇の魔力の対である光の魔力を持っていたからタロットの記憶の中でこうして繋がれた。
彼らが兄弟として光と闇の魔力を持っていたのは必然だったのかもしれない。
兄弟を繋ぐ魔力、なんて美しい魔力だろうか。
「最後にお姉さんの名前を教えてくれるかい?」
「トワ。トワ・アトリエスだよ」
「トワか…素敵な名前だね。タロをよろしくトワお姉さん!!」
眩しい光の中でサロット君は笑って消えていった。その最後の最後に、彼がタロットの耳元で何かを囁いているのが見えた。
それを言われたタロットは焦った後にとても幸せそうに笑っていた。
(ふふっ、明日は涙で目が腫れちゃうな…。)
どんどん流れてくる涙。
けれど、それは悲しいものじゃない。
「またいつか何処かで会おうね!大好きだよ!タロット!トワお姉さん!!」
「絶対だ!今度こそ約束だサロ!!」
「うん!約束!!」
彼らはまた新しい「約束」を作った。
それは新しい「希望」となる。
「繋がり」は途切れる事はないのだ。
闇を抜けて、次に広がったのは綺麗な青空と私の大切な人達の姿だった。




