永遠の存在。〜リオネ視点〜
「うわっ!ちょ、おい!急に人を咥えるな!!」
「キュイー!!」
「グルル…」
窓ガラスを割って乱入して来た神鳥サリファとグドゥガ、そしてグドゥガに襟元を咥えられるヴァン様。…大丈夫なのでしょうか。
最初は彼らに危害を加えられる前に避難しようとしました。
ですが、ヴァン様は逃げずに何故か彼らをじっと見詰め出しました。
彼らの瞳を見てヴァン様はとても驚いたようなご様子だったのです。
そう…それはまるで、彼らと話している様でした。
動物が話すなんて妖精界でしかあり得ないのに、ヴァン様は確かに彼らの言葉を理解し、私達の前で会話をしています。
目の前の光景に驚いている私と同様、ミケ様とウルネロも避難する事を忘れていました。
「ねぇ…気のせいかな。あの動物二匹、もう少し小さくなかった?神鳥サリファとグドゥガが小さい訳無いんだけどさ…何でだろ…」
「その意見には同意なのだ魔術師。我も何故か見覚えがあるのだあの二匹には」
「!」
やっぱり、と思いました。
私も彼らを見た時に何故か懐かしく感じ、酷く泣きたくなりました。
無意識に私は足を一歩一歩踏み出し、彼らに近付いて行ったのです。
彼らは私を、私の大切な人のいる場所に連れて行ってくれると思いました。
この寂しい思いが私にはもう耐えられない。
あの温かさを私はまた取り戻したい…顔も名前も分からないけれど、私に温かさをくれたあの方を思い出したかった。
私が求めている記憶は本当に大切なものなのだと強く思います。
さっきまで何を忘れたのかも分からなかった。
ですが、彼らを見た瞬間に私は自分が忘れているのは大切な人の存在だと確信出来たのです。
だから…私は行きます。
グドゥガは咥えていたヴァン様を神鳥の背中に乗せ、私達の方を一瞥してきました。
「ヴァン様!私も連れて行って下さい!!」
「!…あぁ、お前らも行くだろ?」
「「勿論!!」」
ミケ様とウルネロも同時に返事をしました。
二人も確信しているのでしょう。
この神鳥とグドゥガについて行けば、失った「何か」を取り戻せると。
後ろで先生方が慌てているのが見えましたが、この機会を逃してはいけないと断言出来ます。
少し屈んだ神鳥の背中に私は乗り、そしてグドゥガの背中にはミケ様とウルネロが乗りました。
「キュイィィィ!!!」
「アオォォォン!!!」
彼らは大きな鳴き声を出すと、神鳥は空へ、グドゥガは森の中へ一気に走り出しました。
私とヴァン様は必死に神鳥の背中の毛にしがみつく。
神鳥の飛行速度は鳥類最強だと言われています。
そんな鳥に今、私達は乗っているのです。
(彼らもきっと必死なんですね…っ。)
探し求めているものに対して、彼らも私達も早く見付けたくてどうしようもない。
森の中を駆け抜けるグドゥガも速度を全く落としません。
「トワに何があったんだ?!無事なのか?!」
「キュー!!」
「…は?闇魔法?光魔法?っ、最悪だろそれ!」
前に座るヴァン様から聞こえた名前に心臓がドキッとしました。
「トワ」
その響きがあまりにも懐かしくて。
その人が私の求めている人なのでしょうか。
(温かい…。)
「トワ」と小さく呟いてみると、胸が温かくなった。間違いない…その人が私の記憶。
会いたい。今すぐに。
「キュイ!!」
「っ、あれか?!」
それは森の中。
数人の人がいる中で、一際目立つとても綺麗な銀色を見付けた。
「…っ、」
流れ落ちる涙を今は止められそうにありません。




