挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

17/57

至急、胃薬を求む。

「クオンちゃん!トワちゃん!
貴方達に可愛い可愛い義弟が出来るわよ!」
「「……………………はい??」」


一難去ってまた一難とはこういうことを言うんだと思う。

神様、最近ちょっと私の心穏やかな日々が少なくなっているような気がします。
あんまり欲張らないので、取り敢えず穏やかに過ごせる一週間を下さい。


ことの始まりは一時間前に遡る。

この日は、久しぶりに静かな朝を迎えられた。
何故ならハルト様にどうしても外せない用事が出来たからである。
普段なら、既に温室でハルト様とトークタイムだ。

彼が私の家に通い始めて、気付けば最初の出会いから一ヶ月が経つ。

あの戸惑った頃が懐かしいくらいに今では温室にハルト様が一緒にいることが日常化している。

薬を調合している姿をじっと見てきて、気になって目線を器具からハルト様に移すと物凄く嬉しそうに微笑むのだ。

その後に「な、何を見ている!調合を続けろ!」と顔を赤くして言うハルト様が謎すぎる。

怒っているのか?と思えば、またじっと見てくるし。そのまま放っておいたらおいたで、また構えって言うし。

構ってちゃんすぎるだろうハルト様。


(いくら私が珍しい令嬢だからって、毎日観察する必要性は無いと思うんだよね。)


多分だけど、ハルト様は薬の調合など令嬢らしくない私が珍しくて観察の為に来ているのだと思う。

気になることはとことん追求するって気持ちは分からなくもないので、取り敢えずハルト様が納得するまで好きにさせておこうという結論に至った。


「ハルト様から聞く王宮の話も意外と面白いし、案外楽しいんだぶふぅ?!」
「トトー!ユマ様がトトのこと呼んでるー!大事なお話があるんだってー!」
「レ、レイン…脇腹に突っ込むのは命の危機感じるから駄目ね…。後、伝言ありがとう…」
「?うん!分かったー!」


ハルト様がいないからか、今日は朝からレインの機嫌が非常に良かった。
勿論、リリィとハヤテもだ。

レインは楽しい時や嬉しい時、飛び付いて抱き付く癖がある。
それがかなりの威力なのだ。


ニコニコと嬉しそうなレインの頭を撫で、手を繋いでお母様の待つ部屋に向かう。

先程、レインが言った「ユマ様」とは私のお母様の名前だ。
ちなみにお父様がエイエル・アトリエス。
名前も性格も格好良いぽちゃメン様である。


「レイン、お母様の言っていた大事な話の内容が何かとか聞いた?」
「えっとね!何か家族が増えるのよ!って言われた!」
「え……そ、それって…まさか…」
「トトお顔が青色だよー何でー?」


レインが笑顔で言った言葉に思考が停止した。

家族が増えるって…そういうことか?そういうことなのか?!
いや、でも犬か猫を飼うのかもしれないし!
私の家族皆、動物好きだから可能性はあるよね?ね?!

全力で犬か猫だと自分に言い聞かせ、お母様の部屋の扉を叩き開くと中には今にも抱き付こうとスタンバっている兄がいた。
無言で一度、扉を閉めると中からトワー!という大声で私の名前を呼ぶ兄の声が聞こえた。

意を決してまた扉を開けると案の定、抱き付いてくるお兄様。


「久しぶりに朝からトワとゆっくり話せるよ!
今まで毎日毎日毎日毎日、あのチビ王子にトワを独占されていたからね!
あぁ~久しぶりのトワの匂いだ~…」
「お兄様、流石に気持ち悪いですわ…」
「これは愛だよ!トワ!」
「非常に鳥肌な愛ですわ、お兄様」


レイン達と同様、お兄様も王子に対抗している一人である。

衝撃の婚約発表が原因で立ったまま気絶した数分後、目覚めた瞬間に滝かと思う程の涙を流していた兄に頭を抱えたのはまだ新しい記憶だ。


「さて、二人揃ったことですし発表いたしますわね」


ふふふっと可愛らしい笑みを浮かべた母はそれはもう大きな爆弾を私達に投下した。

そして、冒頭のセリフへと戻る。


(もう笑うしかあるまいよ…。)


私の義弟は、ヤンデレというこれまた厄介な性格をした悪役令嬢トワの義弟であり、第二の攻略対象男子でもある。

本格的に胃薬を作ろうと思う私だった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ