6 とりあえず、主要人物の紹介もかねてみようか
講義は、城内の一室、我が家の貴賓室のような場所で行われたわけで。
贅沢に空間を使用して配置されたイスは、ゆったりとしたベロアのもの、特製の小さな机は手触りも細工も一級品、その右隣りには大理石の小さな机というか本とかの置き場?、逆側には繊細なガラスのグラスやら飲み物が鎮座していた。
うっわ~。
うっわ~。
うん、ひくくらい豪華。
殿下もご一緒ですもんね、わかります。
そして、男女比はプチハレム状態。
他ではお目にかかれない光景だわ。
ちなみに、配置としては、殿下のお席が一番先生方に近い位置、その後方に公爵家のセリーヌ様を中心として、左右に侯爵家のカトリーナ様、私、その他大勢的なノリで後ろに扇状?でした。
まぁ、人数少ないからそんなに説明する程のもんじゃないか。
そうそう、セリーヌ様は艶やかな黒髪をきちっと結い上げたスレンダー美人様です。知的な緑色の目が美しい、まさに淑女なお方で殿下のいとこ様でらっしゃいます。
カトリーナ様は赤味かがったこげ茶色の髪をいつも華やかに結ってらっしゃるお洒落美人様です。ぼんきゅぼん、色香に惑わされそうです。
非常に美形なお二人の後光が輝かしすぎて、他の方々がかす、ゴホゴホ、いえ、私の頭が残念過ぎるので、他の方々を覚えられなかっただけです、はい。
気をとりなおして、講義は、っと。
あ~、先生方と殿下のやり取りの下、進められるっと。
いや、ねぇ、殿下の頭の良さに脱帽なんですけれど、やっぱり、女子には発言権も質問権もないわけですね、了解。
ちょーっと、この辺り気になったんですけど、ダメですよねぇ。
あれ?
あぁ、聡明と名高いセリーヌ様もご質問なさりたいんじゃ?
あーっと、カトリーナ様はちょっと飽きてきてらっしゃいます?
う~ん、大変。
というか、せっかくの機会なのに、何、この置物にぎやかし要員な扱い。
殿下、本当に、徹底して眼中にないんですね、私たち。
とりあえず、両親にお伺いを立ててみた。
質問したいんだけど、していい?
-ダメ。女子はでしゃばるな。
だって、せっかくの機会なのにもったいないじゃない。
じゃ、家庭教師か本おくれ。
-それもダメ。抜け駆けしようと思われたくないもん。
もんって・・・。じゃあ、娘がストレスで倒れてもいいの?
-なら、帰ってきなさい。
う、それはちょっと。(せっかくの眼福が。)
-我慢なさい。
皆さんと一緒なら抜け駆けじゃないよね?
-お前はまた何をやらかす気だ!
大丈夫、何とかなりますわよ、お父様。オホホホホホッ。
という、手紙のやりとりをしてたら、季節の変わり目になってしまった。
よく耐えたわ、私。