閑話休題 麗しの乙女とその下僕たち
マニアン侯爵家次女 アリシア・カルタヘナ・マニアン。
彼女が側室候補として住まうことになったのは王宮の一室。
豪華でいて、シンプルにまとめられた調度品。
ネコ足の優美な脚線美の長椅子には、先程到着したばかりの乙女。
宝石のような目はふんわりとカーテンが揺れる窓越しに庭園へ向けられている。
長く豊かな金色の色彩は差し込んだ夕陽に艶を放ち、スリムで優雅なスタイルの体へと流れる。
長旅の疲れからか、少し物憂げな雰囲気が静かに場を満たしていた。
侍女たちはその光景にそっとため息を漏らす。
その空気を壊さないように。
声に出さずとも彼女らの想いはひとつだった。
ふと、侍女たちの様子に気づいたのか、そちらを向いた乙女はかわいらしく首をかしげ、口を開く。
「ミャーォ。」
あぁ、いつ見ても何てきれいな、リビアン(さま)!
「あぁ、かわいいリビアン、馬車に酔わなかった?不便はなかった?」
ゆっくりと近づき、その隣りに腰かけた、アリシアが優しくその頭をなでる。
「ミャァ。」
緑色の目を細め、アリシアの金髪よりも赤みがある柔らかな毛並みを上品にその手に押し付ける。
「リビアンさま、アリシア様も帰っていらっしゃいましたし、夕餉に致しましょう。」
「ミャ~ォ。」
「そうですわ。今宵は私めがアリシア様より添い寝を仰せつかっておりますので、お休みの前にマッサージはいかがでしょうか。」
「ミャァ。」
「そういう事ですので、アリシア様、夕餉の後はお一人の時間をお楽しみくださいませ。」
「え、ちょ、エリーさん?もう少し、触れ合せ
「リビアン様は長旅でお疲れなのですよ、アリシア様。では、参りましょうか。」
「ミャーォ。」
「そ、そんなぁ~。リビアン待って~。マッサージなら、私が~~」
あの子とは、マニアン侯爵家のお猫様、リビアン嬢のことでした。




