8 物理的秩序
8 物理的秩序
エントゥロピ
統合性や包括性を有するもの
物理的秩序の種類
物理的秩序の形成
物理的秩序の特徴
《 エントゥロピ 》
熱力学第二法則は、大まかには、「エントゥロピは増大する」ということを表明しています。そして、この法則のゆえ、物理的な秩序は自然には失われてゆきます。物事は、自然には、時間の経過とともに、バラバラに分解してゆくのです。物事は、自然には、拡散し、均質化して、混沌の状態になります。情報――身体感覚や思考などの観念――もそうです。情報も失われます。(ちなみに、事物が無秩序になる方向が、時間の流れる方向です)。
ここで、エントゥロピは、エナァジ、つまり、熱や物質の、乱雑さを表わします。より分かりやすく言えば、乱雑さの強さではなく、乱雑さの量を表わします。
簡単に言えば、エントゥロピは乱雑さの量です。
たとえば、Aの箱にリンゴが3個はいりていて、Bの箱にリンゴが5個はいりているとします。すると合計では8個になります。
ここで、リンゴが乱雑さを表わしているとすれば、Aの箱の乱雑さの量は3で、Bの箱は5です。そして、AとBを合わせし全体の乱雑さの量は、足して8になります。
こういう風に、エントゥロピつまり乱雑さの量は、リンゴの個数のように加算ができる、と定義されています。
ちなみに、加算ができる物理量は、一般に、示量性の物理量と呼ばれます。体積・質量・長さ・時間などが該当します。エントゥロピもそうです。
他方、示量性の物理量とは別に、強さを表わす物理量があり、これは示強性の物理量と呼ばれます。温度や圧力などが該当します。
さらに、長さ・時間・質量・温度などは具体的な物理量ですが、エントゥロピは計算により求められる物理量です。
そして、物品の温度が上昇すると、その物品のエントゥロピは増加しますが、それは何故かと言えば、その物品を構成する無数の物質群の運動エナァジが増加して、それらの物質の状態の不確定さが増えるためである、と言われます。
つまり、乱雑さという言葉は、不確定さ・不確実性・不規則性などとも言い換えることができます。さらに、秩序の減少・情報の喪失などとも言えます。
そして、この宇宙のほとんどの物理過程では、乱雑さが増えて、物理的秩序や情報が減りてゆきます。それで、一般に、エントゥロピは増大する、と言われます。これが、熱力学第二法則の大意です。
こういう次第で、この宇宙では、物理的な秩序は自然には失われてゆくのです。そして、高度な物理的秩序が自然に形成されることはありません。もしも熱力学第二法則が適用されるなら、物理的秩序は、時間の経過とともにバラバラに分解してゆくのが、自然です。
ところが、生物にては、エナァジは消費はしても、熱が外部に排出されるので、その分、エントゥロピの生成は低減します。エントゥロは、増えるばかりの量で、減ることはありませんが、生物にては、増える速度が低下するのです。そして、そのエントゥロピ生成速度の低減に起因する何らかの効果によりて、部分的には秩序が生産される、らしいです。(しかし、ここの部分は、エナァジの消費(熱の発生)と細胞の動きのあいだのミシン リンクでありて、今はまだこの世の七不思議の一つです)。
《 統合性や包括性を有するもの 》
統合性と包括性を有するものは物理的秩序です。
そして、この宇宙では、量子だけが、1個の物理的な実体としての統合性・包括性を有します。なので量子は物理的秩序です。量子(物質)は、その存在そのものが物理的秩序を体現しています。
ちなみに、量子の本性は物質作用群です。なので、物質作用群(の働き)が、物理的秩序の源です。物質作用群は、片時も休むことなく自発的に動作しつづけて、物質という物理的秩序を維持しつづけています。
以下のものが量子です。これらは、全て、1個の統合的で包括的な存在であるという点で、そのまま物理的秩序です。
A) 素粒子
B) 原子
C) アイオン
D) 分子
E) 基
F) 高分子
G) 結晶 (結晶性の固体)
H) 無定形の固体 (非晶質の固体)
I) (無生物の)物質意識 (仮定。巨大かつダイナミクかつ極めて特異な量子)
J) (生体の)意識 (仮定。巨大かつダイナミクかつ極めて特異な量子)
《 物理的秩序の種類 》
物理的秩序には、大きく、3種類のものがある、と思われます。
1) 微視的かつダイナミクな物理的秩序――純正な物理的秩序――
2) 巨大かつ静的な物理的秩序――非純正の(見掛けじょうの)物理的秩序――
3) 巨大かつダイナミクな物理的秩序――新種の巨大な物理的秩序――
................
1) 微視的かつダイナミクな物理的秩序――純正な物理的秩序――
物質(量子)の正体は、物質作用群です。そして、物質作用群は、微視的かつダイナミクです。また、物質作用群は、それ自体が物理的秩序でありて、かつ、物理的秩序の源です。なので、微視的かつダイナミクな物質作用群は、純正な物理的秩序と位置づけられます。物質作用群のダイナミクな働き(プロセス)は、純正な物理的秩序です。
1-1) 純正な物理的秩序は、物理的な統合性を有する。(なぜなら1個の量子だからである)。
1-2) 純正な物理的秩序は、1個の量子である。(なぜなら物理的な統合性を有するからである)。(1個の量子は必ず純正な物理的秩序である)。
1-3) 純正な物理的秩序は、1個の量子(= 物質作用群)であるゆえ、その形態的な大きさは問わなく、内的にはダイナミクである。
1-4) 純正な物理的秩序は、1個の量子であるゆえ、その形態的な大きさは問わなく、内的には微視的である。(巨視的な物理法則は適用されない)。
1-5) 形態的な大きさは問わなく、物質の1個の結晶は、1個の量子を形成しているという点で、1個の純正な物理的秩序である。
1-6) 形態的な大きさは問わなく、物質の1個の無定形(非晶質)の塊(固体)も、1個の量子を形成しているという点で、1個の純正な物理的秩序である。
2) 巨大かつ静的な物理的秩序――(見掛けじょうの)非純正の物理的秩序――
形態的な大きさは問わなく、そして、形態的に整然と規則的に並びているか否かも問わなく、もしも、無数の物質群により、見掛けじょう、物理的秩序が形成されているとして、しかし、もしもそれが1個の量子を形成していなければ、それは純正な物理的秩序ではなく、比喩的な意味での秩序です。そこに本当にあるのは、無数の物質群により構成されし、1個のまとまりし物質の集合体です。
こういう、1個の物質の集合体として形成される秩序は、見掛けじょうの、比喩的な秩序でありて、巨大かつ静的な物理的秩序と位置づけられます。
人間により作られしものは、全て、巨大かつ静的な物理的秩序です。形態的に整然と並びていれば、秩序に見えやすいだけです。
そして、その形態的な大きさは問わなく、巨大かつ静的な物理的秩序は、すべて、実際には、形態的な痕跡です。たとえば、物質の粒子や波動も、内的には純正な物理的秩序であるにせよ、外的には、形態的な痕跡です。
さらに、巨大かつ静的な物理的秩序は、熱力学第二法則ゆえに、バラバラになりやすく、崩壊しやすいです。
熱力学第二法則は、大まかには、「エントゥロピは増大する」ということを表明しています。そして、この法則ゆえに、物理的な秩序は自然に失われてゆきます。物事は、自然には、時間の経過とともに、バラバラに分解してゆくのです。物事は、自然には、拡散し、均質化して、混沌の状態になります。情報――身体感覚や思考などの観念――もそうです。情報も失われます。(ちなみに、事物が無秩序になる方向が、時間の流れる方向です)。
2-1) 非純正の物理的秩序は、物理的な統合性を有さない。(なぜなら1個の量子ではないからである)。
2-2) 非純正の物理的秩序は、物質の集合体であり、1個の量子(物質)ではない。(なぜなら統合性を有さないからである)。
2-3) 非純正の物理的秩序は、比喩的な意味での秩序でしかない。
2-4) 非純正の物理的秩序は、熱力学第二法則ゆえに、崩壊しやすい。
3) 巨大かつダイナミクな物理的秩序――新種の巨大な物理的秩序――
そして、物理的秩序は、もう一つ想定できます。それは、オートポイエシスの物理的システムとしての巨大かつダイナミクな物理的秩序です。
たとえば、細胞・組織・器官などの生体の動きはオートポイエシスに該当しますが、素粒子・原子・分子などと比較するなら、きわめて巨大です。
そして、この物理的秩序には、他にも、各種の物質の結晶化の過程・熱帯低気圧・台風・ハリケイン・地球・内部で熱が発生している惑星や衛星・太陽・恒星などが該当する、と思われます。ただし、熱帯低気圧以降は、オートポイエシスと見なすほどではないかも知れません。それらは、物理的な原因だけで説明されるかも知れません。
たとえば、生体は、無数の物質(量子)で構成されており、そして、それらの物質群は、物理的(化学的)に強くは結合していず、それぞれ別べつの物質に留まりています。生体の造りや、生体を構成する物質群の動きは、極めて複雑かつ高度ですが、生体は、根本的には、物質の集合体です。
しかし、生体の、時間の経過のうちでの全体的な動きは、見掛けじょう、辻褄が合いているよう――統合性・包括性・協調性を帯びているよう――見えます。そして、恐らく、実際にも、その通り、と思われます。
そして、この観点で、1個の生体は、1個の巨大で統合的・包括的・協調的なプロセスです。そして、動きが統合されているという点で、1個の生体は、1個の巨大かつダイナミクな物理的秩序とみなせます。
しかし、構成要素の無数の物質群が別べつの物質に留まりていて、1個の物質的な量子に昇格していないという点と、また、生体内部の物理的な質が微視的か否かは不明であるという点で、生体で体現される物理的秩序は、純正な物理的秩序(= 微視的かつダイナミクな物理的秩序)には分類できません。(しかし、もしかすると、生体で体現される物理的秩序は、純正な物理的秩序の巨大な拡張版とは言えるかも知れません)。
このため、むしろ、生体の物理的秩序は、純正な物理的秩序――微視的かつダイナミクな物理的秩序――とは別の秩序とするのが望ましいです。それが、「巨大かつダイナミクな物理的秩序」です。
3-1) 新種の巨大な物理的秩序は、物理的な統合性と包括性を有する。(なぜなら、生体の動きのような、無数の物質で形成されて、かつ、辻褄が合いていて、かつ、統一されし巨大な動きは、物理的な統合性と包括性ぬきでは形成されえないからである)。
ただし、生体の動きに物理的な統合性と包括性が具わりているか否かには、異論の余地があります。プロウグラムされているだけの可能性があります。
しかし、プロウグラムされていることは有りえません。もっとも、プロウグラムされし動きのように見える動きが生じやすい物質的なパタァンは無数の物質群により形成されている、と思われます。物質群の動きがプロウグラムされているというのと、生じやすい動きのパタァンが物質群により形成されているというのは、丸きり異なります。
3-2) 新種の巨大な物理的秩序は、その形態的な大きさは問わなく、1個の量子ないし量子のようなもの、である。(なぜなら、物理的な統合性と包括性は、量子にしか具わらないからである)。
3-3) 新種の巨大な物理的秩序は、1個の量子であるゆえ、その形態的な大きさは問わなく、内的にはダイナミクである。
3-4) 新種の巨大な物理的秩序は、1個の量子であるゆえ、その形態的な大きさは問わなく、内的には微視的である。(巨視的な物理法則は適用されない)。
ところで、また、「巨大かつダイナミクな物理的秩序」を体現する生体は、もしもそれが特異な量子のようなものになりているなら、あたらしい種類の物質(量子)、物質の進化の新しい形、と見なせると、思われます。
《 物理的秩序の形成 》
1) 物質の動きは、この物理世界の秩序の形成と維持に該当する。
2) 自然に形成される物理的秩序には限界がある。
3) 物理的秩序の形成には、複数(無数)の構成要素にわたる広域性・統合性・包括性が関係している。
4) 高度な物理的秩序の自然形成は不思議であり不条理である。
5) 自己集合。
6) 自己組織化。
7) 物理的秩序形成の根本原因は、エントゥロピ生成速度の減少である。
8) エントゥロピ生成速度の減少による物理的秩序形成効果は、観念的な働きをはたす物質作用群にのみ働く。
9) 物理的秩序としての知性(意識)は、非生物の物質にも発生しうる。
................
1) 物質の動きは、この物理世界の物理的秩序の形成と維持に該当する。
この宇宙は、巨視的には、(意識(知性)を除外して)、完全に三人称の客体の世界です。そして、三人称の客体である物質は、なんらかの基本相互作用に受動的に巻きこまれて、初めて、外的に動くことができます。
そして、物質がなんらかの基本相互作用に受動的に巻きこまれると、物質側の応答として、物質の状態は様ざまな面で変化しますが、その変化は、この宇宙での微視的なレヴェルでの物理法則に厳密に従いています。そして、そのようにして、この物理世界の秩序は維持されます。
(ちなみに、基本相互作用という外因的な影響を受けないあいだの物質の状態の維持も、秩序の維持に該当します。そして、そのあいだも、物質からは、基本相互作用の原因となるゲイジ粒子が放射され、かつ、熱も放射されています)。
つまり、物質の状態が厳密に変化するということは、この物理世界の秩序が維持されて、この宇宙が存続しつづけられることを、意味します。
さらに、より大きな素粒子・より大きな原子・より大きく複雑な分子や高分子の形成も、より高度な秩序の形成に該当します。(より大きく高度な秩序の形成は、創発と言えます)。
2) 自然に形成される物理的秩序には限界がある。
ただし、ごく自然に形成される物理的秩序には限界があろうと思われます。植物や動物により合成される化学物質の多くは、自然には決して生じません。また、人間により人為的に合成される化学物質も、人間により条件が慎重に整えられしうえでなければ、決して合成されえません。
どの程度の化学物質ならごく自然に形成されるのか、つまり、どの程度の物理的秩序なら自然に形成されるかは、興味ぶかい問いです。
なぜなら、この宇宙は、エントゥロピは増大するという熱力学第二法則に支配されており、事物は時間の経過とともに乱雑になるのが自然だからです。事物が乱雑になる方向が、時間の流れる方向です。そして、高度な物理的秩序が、熱力学第二法則を物ともしない何らかの原因・効果・根拠・メカニズム・枠組・要因・原動力などなしに、自然に形をなすことは、有りえないからです。
ところで、自然界では、ほかにも(高度な)物理的秩序が自然に形成されます。様ざまな物質の結晶や、海底の熱水噴出口のあたりで形成されると推測される複雑な化学物質などです。海底の熱水噴出口のあたりは、原初の生物の発生の有望な候補地のひとつと考えられています。
3) 物理的秩序の形成には、複数(無数)の構成要素にわたる広域性・統合性・包括性が関係している。
そして、物理的秩序は、一般に、1個の物質(量子)では形成できません。物理的秩序は、複数の量子が協調しながら外的に動かないことには、決して形成できないのです。つまり、物理的な秩序の形成には、じつは、複数の構成要素のかかわる広域性・統合性・包括性という要因が関係しているのです。
これは、言わば、計画・設計・調達・通信・輸送・組立などの、生産管理のことがらです。ただし、物理的秩序の形成におき、計画が立てられることはない、と思われます。時間を要することを、記憶力のない物質が計画(演算)することは、不可能です。物質におき、生産管理と具体的な動き――言わば、オートポイエシス――は瞬間毎に即座に完了し、時間を要する動きは、結果的に、それらの積分により成就される、と思われます。なので、物理的秩序の形成におき為される生産管理は、設計から輸送まで、と思われます。
4) 高度な物理的秩序の自然形成は不思議であり不条理である。
なので、それらの物理的秩序が自然に形成されるというのは、とても不思議なことであり、ある意味、不条理です。理由は次のとおりです。
a) この宇宙は、エントゥロピは増大するという熱力学第二法則に支配されており、事物は時間の経過とともに乱雑になるのが自然である。(事物が乱雑になる方向が、時間の流れる方向である)。そして、高度な物理的秩序が、熱力学第二法則を物ともしない何らかの原因・効果・根拠・メカニズム・枠組・要因・原動力などなしに、自然に形をなすことは、有りえない。
b) 物質は、巨視的には、三人称をとる客体であり、徹底的に受動的であり、なんらかの基本相互作用に受動的に巻きこまれないかぎり、外的に動くことは決してできない。
c) 三人称をとる客体にすぎない複数(無数)の物質群が、その全体で広域性・統合性や包括性を獲得することは、なんらかの原因・効果・根拠・メカニズム・枠組・要因・原動力などのないかぎり、ありえない。
d) 三人称をとる客体にすぎない複数(無数)の物質群が、物理的秩序の形成にむけて、協調しながら、能動的に動くことは、なんらかの原因・効果・根拠・メカニズム・枠組・要因・原動力などのないかぎり、ありえない。
なので、結晶や複雑な化学物質の自然形成には、それを可能とする何らかの要因や原動力がかならず働きている、と強く推測されます。さもなくば、それらは自然には決して形成されないはずです。
5) 自己集合。
物理的な秩序の形成には、おおきく分けて、A) 自己集合とB) 自己組織化の二つがあるそうです。
次のことが、自己集合の特徴と言われます。
自己集合は、準静的過程。系は、閉鎖系でなく、開放系。しかし、場所は、ほんの僅かな熱の流れしか生じていない、実質、熱力学的な平衡状態にあるとみなせる、静的な環境。(ただし、僅かでありても、熱の排出により、エントゥロピ生成速度は減少していると、思われる)。構成要素の量子群は、ごく近くに存在する――事実上、ほぼ接触している――。このため、物質群(量子群)の帯びている物理的な(化学的な)性質が、秩序形成の支配的な原因となる。物質の結合は必要だが、化学反応のような緊密な結合は必ずしも必要でなく、単なる固化(相の変化)による結合で構わない。もっとも、物質が化学結合することは構わない。環境が攪拌されることはなく、秩序の形成が穏やかに進行するので、物質群の性質や環境条件におうじ、さまざまな結晶や物質が形成される。
ちなみに、結晶化は、試験管・ビーカァ・フラスク・化学反応装置などのなかでのような集合的でランダムな秩序形成――化学反応――でなく、静的な環境にての、言わば、一つ一つが手作りの秩序形成、と言えます。
また、微生物や細胞の内部での物質の動き――部品の製造や新陳代謝の遂行――も、一つ一つが手作りと、言えます。生体内での手作りの化学反応は、静的な環境で進行する結晶化に似ています。秩序形成のための広い領域での通信や、秩序形成の素材となる物質の現場までの輸送も、手作りのようなものかも知れません。
6) 自己組織化。
また、次のことが、自己組織化の特徴と言われます。
自己組織化による秩序は、熱力学的に非平衡の状態にある、つまり、物理現象としてダイナミクに動いている、開放系におき形成される。せまい空間には限定されない。このため、広域的な秩序が形成されうる。構成要素の量子の、化学合成のような結合(量子の変換)は、発生しても構わないが、必要ではない。系は、ダイナミクに動いていて、かつ、開放系なので、外部とのあいだでエナァジと物質の交流がある。このため、系の内部で熱とエントゥロピが発生しても、それらは外部に排出されて、系の全体としてはエントゥロピの生成が減少している状態がある程度は定常的に維持される。散逸構造は、このような系で形成される。そして、自己組織化は、散逸構造で発生する。
7) 物理的秩序形成の根本原因は、エントゥロピ生成速度の減少である。
こういう次第で、物理的秩序形成の根本原因は、エントゥロピ生成速度の減少と、推測されます。不思議なことですが、エントゥロピ生成速度の減少には、物理的秩序を形成する効果があるのかも、知れません。
8) エントゥロピ生成速度の減少による物理的秩序形成効果は、観念的な働きをはたす物質作用群にのみ働く。
ただし、エントゥロピ生成速度の減少は、巨視的な世界での物理事象です。そして、巨視的な世界は、完全に三人称の客体(物質)の世界でありて、物質は、巨視的なレヴェルでは、完全に不活性です。(物質は、なんらかの力学的相互作用や基本相互作用に受動的に巻きこまれて、はじめて、外的に動くことができます)。
そして、物理的秩序は複数(無数)の構成要素で形成されるものであるゆえ、その形成に、広域性・統合性・包括性が欠かせません。
しかるに、エントゥロピ生成速度の減少は、巨視的なレヴェルの世界での物理事象であるゆえ、その事象そのものに広域性・統合性・包括性の具わることは、ありません。(この宇宙では、統合性(と包括性)を有するものは、量子だけです)。
そして、(複数(無数)の構成要素で形成されるものである)物理的秩序の形成には、具体的には、観念的な働きが欠かせません。それは、以下のとおりです。
A) 全体的な状態・状況についての包括的な観測(情報収集・観念的(非物質的)な物理事象)
B) 項目Aの観測にもとづく、次の瞬間の全体的な物理的秩序の包括的な設計(演算・思考・観念的(非物質的)な物理事象)
C) 項目Bの設計にもとづく――影響される――、構成要素の物質群の統合的・協調的・能動的な動き(物質的な物理事象)
項目AとBが観念的な働きです。なにかにより(自発的・主体的・能動的に)項目Aの観測と項目Bの設計が為されないかぎり、広域的なものである物理的秩序は、根本的に形成されえないです。
項目Cは、観念的な働きではなく、物質的な事象ですが、物理的秩序が現実に形成されるためには、物質的な動きが必要であり、これも欠かせません。(しかし、この項目Cに関しては、基本相互作用のあたりに深刻な問題が予想されます。物理的秩序の形成は、既知の巨視的な物理法則の枠組のうちでは果たされていぬ可能性があります。(または、それは、前向きに考えるなら、物理学の視野を広げることのできる重要なイシューかも知れません))。
つまり、広域性・統合性・包括性は、具体的には、項目AとBの観念的な事象と、項目Cの物質的な事象を、意味しています。
さらに、別言すれば、項目AとBの観念的な働きは、知的な働き(知性の働き)と言えます。つまり、複数(無数)の構成要素で形成されるものである物理的秩序の形成に、知性の働きは欠かせません。(これは否定のできない必然です)。
(ちなみに、知性が意識に該当すると思われます。意識とは、簡単には、知性のことなりきです。意識が知性を体現するのです。「意識」は、むしろ、客観的な用語でありて、やや理解しづらいですが、「知性」なら分かりやすいです)。
そして、エントゥロピ生成速度の減少の物理事象そのものに、知性は具わりてはいないです。エントゥロピ生成速度の減少は、完全に三人称の客体(物質)の世界である巨視的な世界での物理事象です。そのようなものに知性の具わることは、ありえません。
このため、観測と設計の事象が、エントゥロピ生成速度の減少の物理事象により果たされることは、ありえません。
このゆえ、エントゥロピ生成速度の減少の物理事象が、物質群を直接に操作して、物理的秩序を形成することは、根本的に不可能です。
ゆえに、エントゥロピ生成速度の減少と、物理的秩序の形成のあいだには、項目AとBの観念的な事象と項目Cの物質的な事象を果たすものが必ず存在する――または、発生する――、と強く推測されます。
そして、項目AとBの観念的な事象を果たすものが、知性(意識)です。
(ちなみに、さらに、思考には、その根拠となる情報が欠かせません。思考が動作するには、その種が不可欠なのです。思考の種なしに思考が働くことは、ありえません。(このため、厳密な意味で、自由思考・自由意志はないのです。なぜなら、思考の動きは、かならず、外因的な思考の種により始動されるからです))。
このため、エントゥロピ生成速度の減少による、物理的秩序形成効果は、構成要素の物質群に働くのでなく、非物質的なものに働くと、思われます。エントゥロピ生成速度の減少の物理事象は、非物質的なものに働きて、それにより(非物質的な)物理的秩序を形成する、と予想されます。
そして、形成される(非物質的な)物理的秩序が知性(意識)と思われます。
さらに、形成される知性(意識)の素材である非物質的なものとは、物質の正体である物質作用群のうちの、観念的な働きをはたす作用群と、思われます。それらは次のとおりです。(詳細は別記してあります)。
i) 測定作用 (観念的な働きである情報収集を果たす。測定機器のような)
ii) 演算作用 (観念的な働きである設計や思考を果たす。コムピュータァのような)
ちょうど、項目iの測定作用は、項目Aの観測に対応します。そして、項目iiの演算作用は、項目Bの設計に対応します。なので、項目Aの観測の作用は、iの測定作用の物質作用から形成されて、項目Bの設計の作用は、iiの演算作用の物質作用から形成される、と思われます。
さらに、iの測定作用と、iiの演算作用は、どちらも、観念――値・デイタ・情報・思考の観念――を扱う物質作用です。言わば、観念的(非物質的)な物質作用です。このため、これらの物質作用は、化学結合などの、それらを担う構成要素の物質群の緊密な結合なしに、1個の大きな(非物質的な)物理的秩序として一つに融合されうるのだろうと、推測されます。
9) 物理的秩序としての知性(意識)は、非生物の物質にも発生しうる。
物理的秩序の形成に、それ自身がダイナミクな物理的秩序である知性(意識)の働きは欠かせません。そして、知性は、普通には、人間や動物にのみ具わりている、と考えられています。
しかし、ここまでの話は、物理的秩序の形成に関するものであり、特に生物に限定されてはおりません。
このため、エントゥロピ生成速度が減少しているところであれば、無生物の物質群や場所であろうと、知性(意識)は発生しうる、と強く予想されます。それは、言わば、物質知性(物質意識)です。
たとえば、各種の物質の結晶化のプロセスにては、エントゥロピ生成速度が減少していると推測されますが、そこには必ず物質知性が発生していると、思われます。
生物の生きている知性(意識)と、無生物の物質知性(物質意識)のあいだに、本質的な違いはないのです。なぜなら、どちらの知性も、ごく物理的な原因により形成される(観念的な働きをはたす)物理的秩序だからです。
なので、物質知性は、むしろ、この宇宙という物理世界にありふれているのかも、知れません。その働きが、普通には、ほぼ検知できないだけなのです。
そして、生物の発生もあります。原初の生物の発生は、根本的には、特殊な自然環境におき、エントゥロピ生成速度の減少により、先験的に発生する物質知性の働きにより齎されつ、と、つよく推測されます。原初の生物であろうと、その物質的な体はきわめて高度な物理的秩序です。そういうものが、熱力学第二法則を物ともせずに形成されつとすれば、そこには、必ず、きちんとせし根拠や原因が働きしはずです。それが、物質知性の働きと、予想されます。(エントゥロピは増大するという熱力学第二法則の厚い壁ゆえ、きちんとせし根拠や原因なしに、高度な物理的秩序が自然に形成されることは、ありえないのです)。
そして、海底の熱水の噴出口のあたりが、その特殊な自然環境の有望な候補と思われます。
《 物理的秩序の特徴 》
(高度な)物理的秩序には次のような特徴(ないし要件)がある、と思われます。
................
1) 物理的秩序は、複数(無数)の構成要素で形成される。
2) (時間の経過のうちでの)、(動的な)物理的秩序(の形成や運用)は、全体として辻褄が合いている。
3) 物理的秩序は、特殊な例外を除外して、かならず外因的に形成される。
4) 物質的な物理的秩序の形成には、構成要素群の外的かつ正確な動きが必要である。
5) 巨視的または大きな物理的秩序は、時間の経過のなかで自然に崩壊する。
6) 物理的秩序の形成には、全体にわたる広域性・統合性・包括性が欠かせない。
7) 物理的秩序の形成には、知性(の働き)が欠かせない。
................
1) 物理的秩序は、複数(無数)の構成要素で形成される
物理的秩序は、複数(無数)の構成要素で形成されます。その構成要素は、例外はありますが、一般に、物質的な実体(量子)です。例外とは、観念的な実体です。観念的な実体は、物質作用群のなかの、観念的な働きをはたす作用群――測定作用・演算作用――です。物質的な実体も、観念的な実体も、エナァジにより体現されます。
そして、なんらかの条件さえ満たされるなら、観念的な実体によりても物理的秩序は形成されうると、予想されます。
2) (時間の経過のうちでの)、(動的な)物理的秩序(の形成や運用)は、全体として統合されていて辻褄が合いている
これはうまくは説明できません。物理的秩序とはそういうものと言う他はありません。
3) 物理的秩序は、特殊な例外を除外して、かならず外因的に形成される
物理的秩序は、無数の構成要素(物質・量子)から形成されますが、しかし、物質が集まりしだけでは、それは物質の集合体にすぎません。そして、物質の集合体は、みずから外的に動くことできず、大きなものである物理的秩序をじぶんで自発的・主体的・能動的に形成することは決してできません。
なので、もしも無数の物質から1個の物理的秩序が形成されるなら、それは、必ず、なんらかの巨視的な物理法則――たとえば、基本相互作用――にしたがうメカニズムにより外因的に形成される必要があります。
それでも、例外があると思われます。
細胞・組織・器官・生物などの生体の動きは、高度かつダイナミクな物理的秩序の形成に当たります。そして、それは、自発的・主体的・能動的に為されるものゆえ、オートポイエシス――自己制作・じぶん自身の高度な物理的秩序の自発的・主体的・能動的な生産――にも該当します。
つまり、生体の動きという物理的秩序の形成が例外であり、それは内因的に果たされるです。
4) 物質的な物理的秩序の形成には、構成要素群の外的かつ正確な動きが必要である
その実体としての大きさは問わなく、物質的な物理的秩序の形成には、構成要素群の、空間移動や自転などの外的な動きが必要です。しかも、それらの動きは正確でなくてはなりません。
そして、物質の外的な動きは、ふつう、基本相互作用により受動的齎されますが、しかし、物理的秩序は、無数の物質からなる1個の集合体のなかにて内因的に形成されるゆえ、基本相互作用を始めとする既知の巨視的な物理法則が、物理的秩序の形成での物質の動きにおいても、そのまま有効であるか否かは、必ずしも明言できません。物理的秩序形成の現場においてのみ有効である未知の物理法則が働きていることも、考ええます。なのでこれは慎重に判断されるべきです。
5) 巨視的または大きな物理的秩序は、時間の経過のなかで自然に崩壊する
高度な物理的秩序は、エントゥロピは増大するという熱力学第二法則のゆえ、時間の経過とともに必ず自然に崩壊します。
逆に言えば、高度な物理的秩序は自然には決して形成されえません。もしも何らかの高度な物理的秩序が形成されるなら、そこには必ず何らかの物理的な要因――原因・効果・根拠・メカニズム・枠組・原動力など――が働かなくてはなりません。
そして、各種の物質の結晶の形成過程や、生体の形成とその運用は、高度かつ動的な物理的秩序と思われます。これらの秩序は、その形成を可能とする何らかの物理的要因の働かないかぎり、決して形成されないと、推測されます。
そして、その物理的な要因は、現在の物理学にはまだ知られていない、と思われます。
6) 物理的秩序の形成には、全体にわたる広域性・統合性・包括性が欠かせない。
物理的秩序は、複数(無数)の構成要素から形成されるゆえ、形成の全体に、整合性のとれし統合的な影響をあたえ、制御することのできる、1個の大きな広域性・統合性・包括性が欠かせません。(これは避けることのできぬ必然です)。
7) 物理的秩序の形成には、知性(の働き)が欠かせない。
そして、物理的秩序の形成の根拠ないし原因である1個の大きな広域性・統合性・包括性とは、具体的には、以下のものです。
A) 全体的な状態・状況についての包括的な観測(情報収集・観念的(非物質的)な物理事象)
B) 項目Aの観測にもとづく、次の瞬間の全体的な物理的秩序の包括的な設計(演算・思考・観念的(非物質的)な物理事象)
C) 項目Bの設計にもとづく――影響される――、構成要素の物質群の統合的・協調的・能動的な動き(物質的な物理事象)
項目AとBが観念的な働きです。なにかにより(自発的・主体的・能動的に)項目Aの観測と項目Bの設計が為されないかぎり、広域的なものである物理的秩序は、根本的に形成されえないです。
項目Cは、観念的な働きではなく、物質的な事象ですが、物理的秩序が現実に形成されるためには、物質的な動きが必要であり、これも欠かせません。(しかし、この項目Cに関しては、基本相互作用のあたりに深刻な問題が予想されます。物理的秩序の形成は、既知の巨視的な物理法則の枠組のうちでは果たされていぬ可能性があります。(または、それは、前向きに考えるなら、物理学の視野を広げることのできる重要なイシューかも知れません))。
つまり、広域性・統合性・包括性は、具体的には、項目AとBの観念的な事象と、項目Cの物質的な事象を、意味しています。
さらに、別言すれば、項目AとBの観念的な働きは、知的な働き(知性の働き)と言えます。つまり、複数(無数)の構成要素で形成されるものである物理的秩序の形成に、知性の働きは欠かせません。(これは否定のできない必然です)。
(ちなみに、知性が意識に該当すると思われます。意識とは、簡単には、知性のことなりきです。意識が知性を体現するのです。「意識」は、むしろ、客観的な用語でありて、やや理解しづらいですが、「知性」なら分かりやすいです)。




