間話 第六寵姫 戦姫ペンテシレイア
長い戦だった。
長命種同士。
同じ「火と鉄の民」同士。
ただ生まれた部族が違うだけ。
ただ生まれた国が違うだけ。
それでも譲れないもののために、多くの血が流れた。
彼女は戦場で、鬼神のごとき強さを発揮していた。
いくつもの傷を負いながら、決して倒れることのないその姿は、見るものすべてを惹きつけた。
彼女を見た戦士は、負けると分かっていても彼女に挑まざるを得なかった。
あるとき、彼女に強敵が立ち塞がる。
数多討ち取ってきた戦士たちと比べ、特段屈強には見えない。
勇ましさよりも怯えを感じる。
それでもその男は国のために、家族のために自分に立ち向かうと吠えた。
日が昇り沈んで、もう一度昇るまでの時間。
二人は戦い続けた。
ぶつかり合う剣と剣は、言葉以上に多くのことを伝え合った。
お互いがいつか帰りたい故郷のこと。
愛する家族のこと。
ともに戦う仲間のこと。
彼女の最後の一撃が、男の胸を貫くころ、彼女は恋をしていた。
彼女の腕の中で冷たくなっていく、その男に恋をしていたのだ。
彼女はもう、剣を振ることはできなかった。
この好機を逃すまいと、敵の戦士が剣で彼女の身体を貫く。
死ぬことよりも、結ばれることの無かった、この気持ちを悲しく思った。
次に目を覚ましたとき、自身の生涯よりも長く続いていた戦が終わっていた。
終わらせた者の瞳は金色に輝いていた。
金色の瞳の者は少し寂しそうに「ついてこい」と言った。
彼女はもう一度だけ剣を握ろうと決めた。
明日の19話は、また2日にかけての前後編となります。
少し冗長になるかもしれず、切り取ろうか悩みましたが、今後に必要な内容であると考え、掲載します。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです。




