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飯が美味すぎて、気づけば世界を支配していた。 ~無限魔力の料理人、物流と教育で最強国家を作る~  作者: 慈架太子


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69:教育都市

 育成。


 朝。


 鐘が鳴る。


 クルザード中央学区。


 石造りの校舎。


 朝日。


 大量の子供達。


 人間。


 獣人。


 エルフ。


 ドワーフ。


 混ざっている。


 以前なら。


 ありえない光景だった。


「走るなー!」


「転ぶぞ!」


 教師達が声を飛ばす。


 子供達は笑う。


 元気だ。


 痩せていない。


 咳も少ない。


 それだけで。


 この都市の異常さがわかる。


 校舎前。


 クルザードが静かに立っていた。


 隣。


 マチルダ。


「……増えたわね」


「ああ」


「来月には三千を超える」


 学生数。


 三千。


 辺境国家では異常だった。


 普通。


 教育は金持ちだけ。


 貴族だけ。


 識字率は低い。


 数字も扱えない。


 だから。


 支配される。


 でも。


 ここでは違う。


 全員教える。


 それが国家戦略だった。


 教室。


「はい、今日は割合をやります」


 黒板。


 数字。


 パン。


 水。


 物流量。


 全部実用。


 マチルダは“生きるための計算”を教える。


「輸送ゴーレム一台で小麦を何袋運べるか」


「それを五日で回した場合の総量は?」


 子供達が考える。


 暗記じゃない。


 理解。


 それが強い。


 別教室。


 衛生授業。


 ジェシカが薬草を並べている。


「これは毒」


「これは薬」


「混ぜるな危険」


 子供達が真剣に聞く。


「手を洗わないと?」


「病気!」


「よし」


 簡単。


 でも。


 国家を変える。


 病気が減る。


 死亡率が下がる。


 人口が増える。


 労働力が残る。


 つまり。


 教育は戦力だった。


 校舎裏。


 職業訓練区。


 木工。


 鍛冶。


 農業。


 調理。


 水路整備。


 全部ある。


 ガルドが若いドワーフへ怒鳴る。


「叩き方が甘ぇ!」


「鉄は音で聞け!」


 火花。


 鉄。


 汗。


 若者達が食らいつく。


 以前。


 職人技術は秘匿された。


 家系独占。


 門外不出。


 でも。


 クルザードは違う。


 教える。


 量産する。


 人材を増やす。


 その方が強いから。


 農業区。


 獣人達が土を耕す。


 横では。


 教師が説明。


「水路角度を変えると流速が変わる」


「流速が変わると土が死ぬ」


 ただ耕すだけじゃない。


 理由を教える。


 理解させる。


 だから。


 改善速度が速い。


 昼。


 巨大食堂。


 学生達。


 長机。


 味噌汁。


 焼き魚。


 干物。


 パン。


 肉。


 湯気。


「いただきます!」


 声が響く。


 旅商人が驚く。


「……学校で肉出るのか?」


「しかも温けぇ」


 普通。


 辺境では。


 子供は働く。


 飢える。


 死ぬ。


 でも。


 ここでは違う。


 食う。


 学ぶ。


 育つ。


 つまり。


 未来が増える。


 ティグリスが食堂を見る。


「……すごい数だな」


 本当に多い。


 そして。


 誰も怯えていない。


 安心感。


 居場所。


 それが都市にある。


 午後。


 魔法訓練区。


 ドロテアが授業している。


「火は制御」


「威力じゃない」


 小さな火球。


 水。


 風。


 土。


 基礎。


 安全。


 全部叩き込む。


 クルザードはそれを静かに見る。


 彼自身。


 最初は制御不能だった。


 魔力無限。


 暴走。


 情報過多。


 だからこそ。


 育成の重要性を知っている。


 力だけでは壊れる。


 制御が必要。


 つまり。


 教育。


 夕方。


 図書区。


 本棚。


 紙。


 インク。


 人。


 大量。


 マチルダが資料を整理している。


「本当に増えたわね」


「写本速度が追いつかない」


 横。


 エルフ達が筆を走らせる。


 農業。


 薬学。


 建築。


 水路。


 衛生。


 全部記録。


 知識共有。


 つまり。


 技術継承速度が異常に速い。


 旧国家では。


 知識は権力だった。


 でも。


 ここでは。


 知識はインフラ。


 配るほど強くなる。


 それをクルザードは理解していた。


 中央広場。


 夜。


 魔導灯。


 子供達がまだ本を読んでいる。


 獣人少女。


 ドワーフ少年。


 人間の孤児。


 全部一緒。


「読めた!」


「ほんとか!?」


 笑う。


 それを見ていた冒険者が呟く。


「……この国、変だよな」


「普通、孤児なんて捨てられるぞ」


「ここじゃ教師だ」


 本当にそうだった。


 元孤児。


 今は教師補助。


 農業助手。


 水路管理。


 鍛冶見習い。


 全部増えている。


 つまり。


 人材循環が始まっている。


 それが国家を強くする。


 会議室。


 夜。


 資料。


 人口推移。


 識字率。


 技術者数。


 農地効率。


 全部並ぶ。


 マチルダが報告する。


「識字率、周辺国家の四倍超え」


「鍛冶師育成速度は六倍」


「水路管理技術者も増加」


 ヴァレリアが苦笑する。


「これ、もう勝負にならないわね」


 実際。


 そうだった。


 軍事力ではない。


 人材。


 それが最強だった。


 教育された人間。


 衛生観念。


 数字。


 物流。


 技術。


 全部扱える。


 しかも。


 大量。


 だから。


 都市が壊れない。


 人口爆発しても。


 回る。


 クルザードが静かに言う。


「国家は人だ」


「建物じゃない」


 全員黙る。


 本質だった。


 強い壁。


 強い軍。


 それだけじゃ維持できない。


 人。


 育った人。


 それが必要。


 だから。


 彼は教育を止めない。


 夜更け。


 校舎。


 最後の灯り。


 一人の少年が本を読む。


 元孤児。


 昔は字も知らなかった。


 今。


 計算している。


 夢を語っている。


「……俺、橋作りたい」


 教師が笑う。


「作れ」


「ここならできる」


 外。


 都市の灯り。


 宿場町。


 物流。


 市場。


 全部繋がっている。


 そして。


 その中心。


 教育。


 育成。


 人材。


 辺境国家クルザード。


 もう。


 ただ強いだけではない。


 “育つ国家”になっていた。







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