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飯が美味すぎて、気づけば世界を支配していた。 ~無限魔力の料理人、物流と教育で最強国家を作る~  作者: 慈架太子


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41/43

41:病気減少

 死亡率低下。


 雪解けが、大地の底から確かに始まっていた。


 朝。

 村の外縁を網の目のように滑らかに走る主要水路の各所から、冷たく、そして澱みのない清らかな水音が小気味よく響き渡っていた。


 従来の不効率極まりない古い世界の常識の計算であればね、この「雪解けの季節」というものはね、すべての地方の民にとって最も過酷で最悪な地獄の時間だったからね。

 過酷な冬の冷気の暴走を前にしてね、ただじっと耐え忍ぶしかなかった者たちの肉体組織は完全に弱り果てて免疫低下のエラーを起こし。

 蔵の底に積まれていたずさんな保存食の絶対量は完全に尽き果てて機能停止し。

 泥や不純物が逆流して水路の水は茶色く濁り狂い。

 未熟な手際で負った戦士たちの古い傷口からは最悪の不純物が侵入して腐り。

 大気中には慢性的な激しい咳のバグが爆発的な勢いで広まり。

 体内の温度制御が壊れて高熱を出す民の数が分単位で膨れ上がる。

 そして――何の抵抗の手段も持たない小さな子供たちの命が、一瞬にしてゴミのように無残に死に絶えていく。

 それが、これまでの澱みきった世界の、あまりにも理不尽で残酷な毎年の「普通」の数式だったのだからね。


 だが――今年、クルザードの合理主義によって生まれ変わったこの一大交易都市の内部だけは、根本からすべてが違っていた。


 白壁の強固なインフラを誇る、新設されたばかりの診療所の内部。

 回復士のデニーゼは、手元にある分厚い健康管理の帳簿をめくる手を滑らかな動作でピタリと止め、その確定値の数字を前にして、驚愕のあまり小さく息を呑んだ。


「……信じられないわ。劇的な最低値を更新して、完全に減っているのよ……!」


 すぐ隣の作業台ではね、エルフの薬師ジェシカが一分の手戻りもない見事な職人の手際で、最高の乾燥薬草の水分を完璧に抜き去る実務をこなしていた。長い銀髪をしならせながら、知性溢れる目を向けて尋ねる。

「一体、何の成分の数値がそこまで綺麗に減少したって言うんだい、デニーゼ」


「この集落の全人員における、無駄な『死者の確定値のデータ』よ……!」


 彼女の放った声は極めて静かであった。しかし、その一言の裏に隠された現現実の質量はね、一国の歴史を根底からすべてひっくり返すほどに重く、凄まじいものさ。

 冬を越えた直後のこの不安定な時期。それはね、本来なら不潔な環境のせいで最も爆発的に人が死に絶える最悪の機能不全の瞬間だからね。

 それなのに、デニーゼの持つ手帳の数字には、これまでの世界の常識を木端微塵に叩き潰すような、最高の黒字の安全係数しか並んではいなかった。


『医療:冬季から現在にいたるまでの熱病の発症数:僅かに三件のみを計測』

『容態:体内の結合組織が破滅へ向かう、危険な重症個体:100%完全にゼロ』

『呼吸:大気の乾燥による慢性的な肺病の悪化兆候:一切の発生なし』

『内臓:ずさんな食事による激しい下痢のエラー反応:集落の全体から激減中』

『外傷:魔物との死闘で負った前線戦士たちの傷口の化膿:石鹸の効果により、ほぼ無しを確認』


 ジェシカの瞳の質が、その圧倒的な確定値を前にして、鋭くその知性の目を細めた。

「……異常ね。世界の計算から見ればね、これは一パーセントもあり得ないほどの圧倒的な異常の数値よ」

「普通じゃないわ。お前の真ん中にいるあの料理人の男がね、この場所で『普通じゃない最高効率のインフラ』を最初から完璧に組み立てて回しているからこその、厳然たる合理的な結果そのものね」


「ええ、完璧にその通りよ、ジェシカ! 怖いくらいにすべての歯車が一本の線で噛み合っているわ!」

 デニーゼは心からの晴れやかな笑顔を浮かべて苦笑を漏らした。


 衣服や肉体を常に最高値に無菌化する、あの最高の【石鹸】の量産。

 肉体疲労を200%完全に修復する、あのお風呂の【共同浴場】の稼働。

 有害な細菌の侵入を最初の一歩で完全に叩き潰す、あの清潔な地下水の【煮沸徹底の規律】。

 飲水と排水の混濁を一パーセントも許さずに切り離した、あの強固な【主要水路網】。

 何年先の維持にも耐えうる、あの麹や塩を用いた最高の【保存食のシステム】。

 全細胞の免疫スペックを最大値へと跳ね上げる、あの最高の【発酵食品】。

 一分の手戻りもない、徹底された【純白の塩の管理】。

 そして、大気の熱量の暴走を完全に無視して零度の冷気を閉じ込めた、あの最高の【冷却庫】。


 そのすべてのインフラの歯車がね、一分の澱みもなく一本の流れで完璧に同期して回り続けているからこそ、この場所に集まった何千人もの民たちの健康スペックはね、世界中どこを探しても絶対に一番強固に維持され尽くしているのさ。しかも――中央に立つクルザードの歩みの速度はね、ただの一秒もその足を止める気配すら見せてはいなかった。


 診療所の最も奥のセクションに指定された、静かなオフィスの真ん中。

 クルザードは背中の大きな荷袋を背負い直す風もなく、大きな木べらを傍らに置き、ガルドの加工した滑らかな木板の上に向けて、自らの小刀の先で新しい社会の構造数式を、ハキハキとした手際で正確に刻み込んでいた。


 集落の全域の人口の絶対数。

 倉庫の底に眠る食料の備蓄残量。

 民を脅かす無駄な病気の発症率の推移。

 働く者たちの細かな年齢の比率。

 一日の労働を最高速度でこなすための労働率のグラフ。

 そして、完全なるゼロを維持し続ける、死亡率の確定値データ。

 そのすべての因果関係の数字の並びがね、彼の頭脳の中に宿る合理主義の計算の通りに、一本の美しい直線を描いて美しく並び尽くされていた。


 すぐ真横でその図面を覗き込んでいたマティルデが、開いた口が塞がらないといった顔で呆れ果てた溜息を漏らした。

「……ちょっと、お前。一人の人間の本質的な疑問としてね、一から完璧に弾いて問い詰めさせてもらうけれどね。お前、本当にただの一介の元荷物持ちの『料理人』なの?」


「ああ。当然さ、マティルデ。俺はどこからどう見てもね、みんなの美味い飯を作るための、ただの気さくな料理人だよ。俺の判断に間違いはないよ」

 クルザードは口元に明るく快活な笑みを浮かべ、ハキハキと言い放った。中身のない無駄な軽口や見栄の誇示はただの一言も叩かない。ただ、自らの頭脳が弾き出した事実の正解を、よく通る声で堂々と告げる。


「でもね、お前のやっているその手の動きの工程はね、王都の最高級の官僚たちをも遥かに置き去りにして、完璧に一つの強大な『国家の統治運営』そのもののデザインじゃない!」


「飯を美味く作るための手順とね、社会全体の生産効率を最大値に維持するための人口管理はね、俺の合理主義の計算の前にあってはね、100%完全に全く同じ一本の因果関係の線として繋がっているからね。ただの、簡単な処理の工程さ」

 クルザードは木板の特定の数字の上に向けて、小刀の先でコトコトと滑らかな印を付けながら、ハキハキと言葉を続けた。


「第一の手順として、俺の作った最高の飯の効果によって、集落全体の『栄養不足のバグが完全に減少』するだろ?」

「第二の手順として、徹底された石鹸と水路の防壁によって、無駄な『病気の発症率が一瞬にして完全に減少』する」

「病気が減るからこそね、翌日からの農地の開墾を最高速度でこなせる、俺たちの『労働力の絶対数が極限まで著しく上昇』する」

「健康状態が最高値に維持されるからこそね、次の世代を担う強固な未来の核たる子供たちの『出生率の数値が爆発的に上昇』する」

「そして最後の仕上げとしてね、一パーセントの無駄な損失も出さずに、この最果ての地のすべての『人口の循環の流れが完璧に安定』するのさ。これが、強固な建国の数式さ」


 マティルデは、彼の一片の揺らぎもないその冷徹なまでの大局の看破を聞くや夕方、深く深く息を吐き出して、心底感服したような素晴らしい笑みを浮かべた。

「……本当に、非の打ち所がないほどに徹底された、最高の合理主義の答えね!」

「普通の未熟な領地の中央の領主様たちなんてものはね、自分の手元に流れ込んでくる不確実な金貨の絶対数、つまり『税金の利得』のことしか最初から一パーセントも見てはいないのよ?」


「民の命の維持を怠り、彼らに不効率に『死なれた段階においてね、そこから生み出されるはずだった明日の税金も技術の資産もすべて一瞬で完全に消去する』だろ。そんな非効率極まりない大損の流れを叩いているから、外の古い世界はいつまで経っても脆弱で弱いまま自滅するのさ」


 全くもって、彼の放った言葉の本質は厳然たる世界の真実そのものであった。

 人が理不尽に死に絶える。

 労働力の絶対数が途中で減少して機能停止する。

 耕す人間のいなくなった広大な畑が一瞬で内側から澱んで荒れ果てる。

 物資を安全に流し出すための物流のサプライラインが中央から完全に詰まって停止する。

 生存への恐怖から民の理性のシステムが崩壊し、治安の急激な悪化のバグが乱発する。

 そして――最終的にはね、国家という巨大な生き物の肉体そのものがね、ガリガリに痩せ細って一瞬で完全に止まって死ぬのさ。辺境の古い領地たちがね、いつまで経っても不条理な奪い合いの泥沼から抜け出せずに弱いままだった本当の理由の数値はね、最初からすべてその手前の『人的資源を使い潰す大損のバグ』を放置していたからなのだから。

 だが、クルザードの合理主義は最初からすべて逆のルートを通っていた。


 集まったすべての優秀な人間の命をね、最も正しい最高効率の手順で生かし、育てるのさ。

 だからこそ、この場所の人口の絶対数はね、外の地獄を完全に置き去りにして、爆発的な奔流を伴って前進を続けるのさ。


 日の傾き始めた昼過ぎ。

 大規模に新設されたばかりの共同食堂の内部は、午前中の過酷な開墾実務を完了させた何千人もの民たちの、最高の笑顔と笑い声によって激しく活気あふれていた。厨房の真ん中からは、嗅ぐだけで全細胞の胃袋が激しく鳴動するほどの、最高の白い湯気が盛大に立ち上り続けている。


 あの最高の魚節とオーク節の持つ潜在的な旨味を極限まで凝縮して抽出した、特製の濃厚出汁ベース。そこに熟成された最高の味噌の質量を一分の澱みもない手戻りのない手順で溶かし込んだ、熱々の特製味噌鍋。

 石窯の熱によって黄金色にフカフカに焼き上げられた、温かい最高の白い発酵パンの山。

 菌の蠢きを完璧に制御した、あの奇跡の発酵乳。

 そして、香木の煙を操り、最高の脱水管理によって仕上げられた、極上の燻製肉の全体。


 カウンターの前に一列になって順番に真っ直ぐ並んでいた子供たちの姿。

 かつて外の地獄から流入してきたばかりの一番最初の最悪な時期にはね、栄養失調のエラーによって顔色を土色に悪く濁らせ、骨の浮き出るほどに痩せ細っていたあの小さな子供たちの肉体組織。それが今や、クルの仕込んだ最高の飯の効果によって、全細胞の健康状態を最高値に修復し、その両頬には瑞々しい生命の赤みが美しくまとわれ、その瞳の奥には確固たる希望の輝きがギラギラと鋭く輝いていた。


「お代わりの配給ラインはここに完璧に用意してあるわよ! 早く持ってけ!」


「やったぁー! 今日はあの窯から出たばかりの、最高の温かい白パンの絶対量が多いぞ!」


「スープの中にね、あの噛み締めた瞬間に脳の全神経が蕩けて消えちゃう極上のオークの肉がね、信じられないほど大量に入っているぞ、嘘だろこれ!」


 最前線に立つ虎獣人のティグリスが、自慢の長槍を壁に立てかけながら、口元を大きく釣り上げて崖の上全体に響き渡るような最高の豪快な大笑いを炸裂させた。

「がははは! 見ておくれよ、クル! あいつら子供たちの命のスペック、前とは比べ物にならないほどによく貪り食って活発に駆動するようになったじゃないか!」

「新しくここの門を潜ってきたばかりの最初の頃はね、他者から略奪される恐怖のバグのせいに怯えてさ、一パーセントの他者への余裕すら持てずにね、大人しく隅っこに引きこもって震えていたっていうのによ!」


 子供たちが、手渡された最高の木椀を掲げながら、心からの温かい笑顔を爆発させて、再び楽しそうに広場の真ん中へと元気いっぱいに走っていった。

 その奇跡のような美しい調和の光景を少し離れた廊下の位置から見つめながら、大商人のヴァレリアが、手元の羽ペンを止めて、心底感服したような深い笑みを浮かべて小さく呟いた。


「……本当に、凄まじい光景ね。一人の大商人の冷徹な商業の計算として言わせてもらうけれどね、商業や富の流通の本質というものはね……。結局のところ、これほどまでに完璧に一分の手戻りもなく『人間の命が安全に生きる最高の場所』の真ん中へ向けてこそね、勝手に出力の最大値に達して集束して集まるものだからね」


 彼女の言う通り、それは完璧に計算され尽くした合理的な結果そのものであった。

 彼らの作ったこの最高の居場所の内部にはね、日を追うごとに外の世界から自らの意思で流入してくる、目の高い一流の商人たちの絶対数が爆発的な勢いで跳ね上がり続けていた。

 理由は、これ以上ないほどに単純明快、ここに集まったすべての民の命がね、一パーセントの不条理な歪みもなく『絶対に死なない強固な防壁(死なない村)』として、完璧に駆動を維持し続けているからだよ。

 民が死なないということはね、商人から見ればね、自らの物資を最高の対価で取引してくれるための広大な【経済市場マーケット】がね、ただの一分の一秒も中央から霧散して消え去ることがないという、何よりも強固で最強の信頼の資産そのものだからね。これまでの古い世界の常識ではね、辺境の土地の取引なんてものはね、いつ致死性の疫病のシステムが暴走するか分からず、不条理な飢餓や盗賊のノイズによって一瞬で物流が停止して機能不全に陥る、最高に不安定で大損を出すリスクだらけの不効率な戦場だったからだ。

 だが、クルザードの作ったこの場所は根本からすべてが違っていた。

 徹底して舗装された、強固な主要道路の開通。

 水流の能率を一定に制御する、最高の水路のインフラ。

 常温での無限の長期維持に耐えうる、最高の保存のライン。

 他者からの不条理な略奪を100%完全に遮断するための、最強の警備の陣形。

 全細胞の不純物を一瞬のもとに洗い流す、最高の石鹸による衛生の管理。

 そして何より――口にするすべての飯が、五感を直接震わせるほどに極上に美味いということ。

 すべての生活の循環が最高値で回っているからこそ、集まった何千人もの民の足の流れはね、外へ向けて一パーセントも流出(逃げ出さない)することなく、自らの意思でこの場所に強固に定住し、残るのさ。人が離れずに蓄積され続けるからこそ、技術の資産がこの場所に何倍にも膨れ上がって残る、だから商売として最高に儲かるのさ。すべては一本の美しい因果関係の線として繋がっていた。


 新しく舖装された強固な村の門の正面、雪解けの朝霧の向こう側の街道から、衣服の全体を泥と潮風でボロボロに崩れさせた、新しい「流民たちの荷馬車の列」の集団が姿を現した。

 その中に並んでいたのは、頑強な肉体を持つ獣人の一族、一般の人間の民、そして自らの手をガタガタと小刻みに震わせた、痩せ細った親子の姿。彼らの抱える荷物の絶対量は極めて少なく、その瞳の奥底に宿る光の質はね、これまでの過酷な飢餓の歴史の前に、完全に死滅しかけて悪く濁りきっていた。


 新しく門番の実務の役割の『振り分け』を任されたマルセルが、前線へと一歩踏み込み、自らの長剣をしならせて彼らの正面へと滑らかに立ちはだかった。

「俺たちの作った最高の居場所へ、ようこそ。第一の手順として、君たちのこの場所への正確な『出自のデータ』の流れを教えてくれ」


「……あ、あぁ。お願いです、戦士の旦那……。俺たちはね、遙か北の方角に位置する、あの不条理な重税に潰された『開拓村の生き残りの人間』です……」

「この過酷な冬の冷気の暴走の最中においてな……保存食の絶対量が完全に尽き果てて、すでに身内の仲間が『三十人以上』も無残に餓死して全滅しちまったんだ……!」

「守るべき小さな子供たちの命までもがな、寒さの中でゴミのように半分以上が死に絶えた……。声が掠れて、もう今日一日の命の予測すら一パーセントも立たねぇんだ……!」


男の放ったその掠れた絶叫の歓喜の悲鳴を聞いた瞬間、横で警備の主軸を担っていた虎獣人のティグリスが、自慢の奥歯をガリッと物凄い力で噛み締め、その黄色い瞳の奥に、激しい獰猛な怒りの殺気を孕んで直立した。

珍しいことだった。普段の彼女であればね、他国の未熟な連中の自滅の泣き言なんてものはね、一パーセントも関係のないただのノイズとして鼻で笑い飛ばすだけの冷徹な戦士であったというのにね。子供たちが理不尽に死に絶えたというその不効率な大損のFacts(事実)を前にして、彼女の戦士としての誇りが、激しく内側から震えていたのだ。


クルザードは背中の大きな荷袋を揺らすこともなく、ハキハキとしたよく通る明晰な足取りで彼らの正面へと静かに近付き、自らの明るい陽気な瞳を真っ直ぐに向けた。中身のない無駄な同情の言葉はただの一声も叩かない。気さくなトーンのまま、本質を告げる。


「君たちの抱えているそのこれからの肉体、明日から俺たちの指示通りの役割に沿って、一分の手戻りもなく最高効率の速度で『真面目に働ける』かい」


男は、その一片の揺らぎもない彼の佇まいを前にして、大慌てで顔を上げると、泥の中に膝をついて必死に声を張り上げた。

「……あぁ、働く! 働くともさ、旦那! どんな過酷な開墾の重労働であってもね、一分の一秒の手戻りもなく何でもやるさ! この全細胞の胃袋を満たす、最高の温かい飯が腹一杯に『食えるというならね』!」


クルザードは口元に明るく快活な笑みを浮かべ、一片の迷いもなく即答した。


「よし、方針は決まった。君たち生きた人的資源のすべてを無条件で完璧に『受け入れる』よ。当然の判断さ」

「直ちに、彼らの生活を支えるための『最高の住居の全体』を、今すぐ完璧に準備して開放してあげるんだ」

「全細胞の飢えを癒やすための『最高の美味い飯の配給ライン』もね、一分の遅延もなく今すぐ流してあげるよ」

「そして――君たちの肉体駆動の適性に見合う最高の『仕事の役割の振り分け』を、明日から現場へ最高速度で流してあげるからね」

「ただし、一番最初の最優先の絶対のルールとしてね、そこにいる小さな『子供たちの命の全体はね、先に一秒の遅延もなくデニーゼのいる最高の診療所へ』向けて、一気の搬送ラインを流すんだ。これが最も手戻りのない最高効率の判断さ」


 その一片の迷いもないハキハキとした声を合図にして、泥まみれだった流民の親の大人たちが、驚愕のあまりにその両目を丸くして完全にその場にカチリと硬直した。

「……え? ……えぇっ!? い、いいのですか、旦那……!? 俺たち浮浪者の連中を中に入れるだけでなく……利益を生まねぇ子供たちの命の修復の工程までね、最初からタダ同然で流してくれるって言うのか……!?」


「当然さ。君たち優秀な人的資源の命の全体をね、この入り口の門の前で不効率に『死なせて機能を喪失させる方がね、俺の合理主義から見ればよほど組織にとって莫大な資産の喪失(大損)だからね』」

クルザードは当然の事実を告げるように、ハキハキと言い放った。


マチルダが、その一片の歪みもない徹底された実利主義の解説を真横で耳にするなり、美しく口元を緩めて複雑な深い感嘆の苦笑を漏らした。

「……あははは! 本当にお前という男はね、他者の命を救い上げる最高の『人助けのプロセス』の全体までもをね、一パーセントの感傷を挟まずに完璧に『損得の計算の合理』だけで平然と言い放ってしまうのね、クル」


「当然さ、マティルデ。感情論の綺麗事だけでね、門の前に放置して大損を出す方がね、俺にとってはよほど不快な非効率だからね」


「あはは、そこが良いのよ! 結果的に弾き出されるその一手の駆動がね、外の世界のどの偽善者の法律よりも数百倍は圧倒的に優しくて強固だからね、本当にタチが悪くて最高に強いわよ、お前は!」


 彼女の言う通り、それは一分の非の打ち所もない厳然たる世界の真実そのものであった。

 外部からの爆発的な【人口流入の獲得】。

 それによって、翌日からの農地開発を一気の速度でこなせる【労働力の絶対数の増加】。

 市場の規模を最大値にまで広く拡張させるための【経済市場の拡大】。

 そして――いかなる不条理な略奪をも一撃のもとに完全に制圧するための【集落全体の防衛力の跳ね上がり】。

 すべての物事の繋ぎ目はね、最初から一本の美しい数式として完全に繋がって、手戻りなく最高効率の速度で回り続けているのさ。そして何より、この最果ての地の真ん中には『生存率の数値がどこよりも圧倒的に高い最高の楽園があるんだ』というその確固たる信頼の資産(噂)だけはね、世界中の優秀な人間を惹きつける、何よりも最強の覇権の強さに変わるのだから。


 日の傾き始めた夕方。

 新設されたばかりの白壁の診療所の内部においてはね、回復士のデニーゼが、クルザードの指示通りの完璧な治療の動線に沿って、先ほど搬入されてきたばかりの小さな子供の胸元に向けて、自らの両手のひらを滑らかにかざして最高の光の波動を流し込み続けていた。

 激しく喉を引き攣らせていた、慢性的な咳のバグ。

 体内の温度制御が壊れかけていた、軽い熱のエラー。

 そして、全細胞が悲鳴を上げていた、極限の栄養不足のダメージ。

 通常の古い世界の辺境の集落であればね、この3つのエラー反応が一斉に暴走したその瞬間にね、「あぁ、この子はもう手遅れだ、明日の朝には真っ白な死体に化けているだろうね」と、なす術もなく無残に絶滅の損失を受け入れるしかなかった絶望の戦況。

 だが――このクルの真ん中にある最高のインフラの前において、彼らの命の結合はね、100%完全に、そして劇的に救い出されて前進を完了させていった。


 第一の手順として、あの最高品質の【特製発酵乳ヨーグルト】を口から滑らかに流し込ませて、全細胞の消化器系の能率を最高値へと修復し。

 第二の手順として、あの魚節とオーク節の旨味を極限まで濃縮した、熱々の【最高の特製味噌スープ】を腹一杯に配給して、体内の温度の数値を一定の最高値に引き上げ。

 第三の手順として、あの最高の消臭草をブレンドした特製の泡の力を借りて、衣服や肉体を最高値に無菌化して綺麗に【身体を洗い流し】。

 第四の手順として、ガルドの量産した一分の湿気もない最高の【清潔な布の衣服】の全体を包み込ませ。

 第五の手順として、ジェシカの調合室から一瞬の遅延もなく届けられた、あの最高品質の栽培【薬草の成分】を全細胞の奥底へと浸透させ。

 そして最後の仕上げとしてね、魔導暖炉の熱によって室温を常に一定の最適値に維持し続けた、最高の【暖房の防壁】の真ん中でね、何の問題もなく安全に深い安息の眠りへと就かせてあげるのさ。

 ただそれだけの当たり前の合理の工夫を、一分の手戻りもなく完璧に重ね合わせておくだけでね、人間の命というものはね、一瞬にして見事なキレを取り戻して生き返るのさ。


 少女の命の駆動が完璧に安定し、穏やかな呼吸の対流を始めてスヤスヤと眠りに就いたその最初の瞬間。

横で見守っていた流民の母親の女性が、驚愕のあまりに両手で顔を覆い、砂浜の上に崩れ落ちるようにして大粒の涙を流して激しく声を上げて号泣した。

「あぁ……神様、本当に……本当にありがとうございます……! この子の命の流れはね、もう外の雪の中で完全に駄目になって死に絶えるのを待つしかないと、絶望のどん底に落ちていたのです……!」


デニーゼは、その母親の女性の肩を自らの温かい手のひらで滑らかに包み込みながら、口元に明るい快活な笑みを浮かべ、気さくなトーンのまま、ハキハキと言い放った。


「――泣き言を叩いている時間はね、一秒もないわよ、お母さん。安心して大丈夫よ、だって俺たちの作ったこの最高の居場所はね、世界中のどこよりも圧倒的に【一番人間が死ににくい最強の場所】だからね。ただのFacts(事実)さ」


 そのデニーゼの放った一片のブレもない最高の確信の言葉はね、日を追うごとに誰にも止めることのできない爆発的な波紋となって、集落全体の全域へと広く広く噂となって共有され尽くしていった。


 死ににくい村。

 どんな過酷な冬の雪の嵐が来ようとも、完璧な生存の予測が立つ村。

 子供たちの未来の核の命をね、一人の人的損失をも出すことなく、安全に最高値に育み続けることのできる最高の村。ただそれだけの圧倒的な『生きやすさと快適さ』の存在が、世界の地平の先からさらに多くの新しい命の流れを引き寄せ続けていた。


 夜。

 新設されたばかりの大規模な会議所の内部においては、クルザードはいつものように、手元にある木板の確定値の数字の並びを、その明るい陽気な瞳の奥で冷徹に静かに見つめ直していた。

 彼の脳内へ直接流れ込んでくる、眩いばかりの青白い文字の更新情報の全体。


『対象:都市全体の生命維持スペック。解析:【人口増加】の加速度:限界値を突破して進行中』

『状態:学校での初等教育、および高度な医療防壁の確立に伴い、【出生率安定】のプロセスを捕捉』

『効果:石鹸を用いた衛生管理、および冷蔵保存の完全同期を検知。【死亡率低下】を完全固着』

『特性:有害な雑菌による不純物の侵入を一瞬のもとに完全にシャットアウトする、【感染抑制成功】を計測』

『結論:手元にある資源の絶対量:これからの何千人もの大所帯を抱えても、無限の余剰を伴う【食料安定域到達】を完了』


 流れの全体が完全に繋がって理解できる。

 かつては情報の過負荷に脳を焼き切られそうになって顔をしかめたあの過剰なデータ。しかし、現在の彼の精密な頭脳はね、それらの膨大な因果関係のすべてを、状況の流れを決めるための最強の「生産の数式」として、完璧にマスターして使いこなしていた。頭痛はただの、駆動のための必要経費さ。


 最高腕のドワーフ鍛冶師ガルドが、自慢の特注の新酒の杯を豪快に煽りながら、崖の上全体に響き渡るような最高の豪快な大笑いを炸裂させた。

「がははは! 認めざるを得ねぇな、お前さん! 本当にどこをどうひっくり返して見つめ直してもよ、世界で一番最高に頭のおかしくてヤバい変な奴だぜ、小僧!」

「これほどの他国を圧倒する強硬な剣の強さを誇り」

「体内の魔力の残量にいたってはよ、海を一瞬で凍りつかせるほどの化け物級の質量を宿し」

「作る料理の格にいたってはな、王都の宮廷料理を一瞬でへし折るほどの極上の美味さを放ちながらよ!」

「なのに、お前が毎日毎日一分の一秒の手戻りもなく全集中してやってる仕事の工程がな、ただの『集落の便所掃除のインフラ整備』と『灰汁を混ぜるための石鹸作りの実務』なんだからな! 本気で最高に面白ぇぜ、オイ!」


 居合わせていたメンバー全員が一斉に、その徹底ぶりに対して盛大な笑声を上げた。クルザードもまた、大きな木べらを手に持ち直しながら、口元に不敵な笑みを浮かべ、気さくなトーンのまま、ハキハキと言い放った。


「――そこがね、組織の全体の戦力を維持する上ではね、最も重要な最大の『核の判断』だからね、ガルド」

「君の言う通りよ、便所を清潔に保ち、石鹸の防壁を民全員の手元へ流しておくだけでね、不条理な『病気の発症率の数値が根底から完全に減る』だろ?」

「病気が減るからこそね、不効率に戦線が崩壊することなく、明日からの防衛線を何倍にも強固に固めて動かせる『最高の兵士の頭数が勝手に増える』だろ?」

「高度な生産のラインを担う、君たち一流の『最高の職人の一族の命もね、一人の人的損失を出すことなく永久にこの場所に生きて残る』だろ?」

「そして、俺たちの作ったこの国の未来を何年先までも強固に支え続けるための、最高の『子供たちが何の問題もなく健康に育つ』からね」

「このすべての生活の循環が最高値で回っていることこそがね、世界のいかなる虚飾の法律や城壁よりも強固で最強に強い、『真の国家の強さ』そのものだからね。俺の計算に間違いはないよ」


ガルドはその一片の驕りもない完璧な合理主義の至言を聞くと、言葉を失って深く深く沈黙し、それから――その灰色の立派な髭を低く揺らして深く納得した。

「……あぁ。確かにな。お前の言う通りだわ、小僧」


 真に強固な最強の国家を動かすための、本当の覇権の強さというものはね、力任せに他者を破壊するあの理不尽な戦争の武力なんかでは最初からただの一片すらもないのさ。

「そこに集まったすべての民の命が、一パーセントの理不尽な損失もなく完璧に生き残れること」。

「冬の冷気の暴走や夏の熱量の変異を前にしても、一人の人的資源をも飢えや病気によって失うことなく完璧に人口の絶対数が増え続けること」。

「そして、蓄積された最高の技術と才能の資産がね、次の世代の子供たちへ向けて一分の澱みもなく完璧に継承されて残り続けること」。

その生活の循環の防壁が最高値で回っている最高の居場所こそがね、世界を内側から美しく塗り替えていくための、本当の最強の覇権の強さの本質なのだから。


 夜更けの完全な静寂が戻った集落の真ん中においては、雪解け水の微微な冷たい気流が主要水路の岸辺を通り抜けていた。しかし――彼らの新しく築き上げつつある最高の共同浴場の内部だけはね、世界の寒さを完全に置き去りにして、どこまでも暖かく、最高の熱気にあふれていた。


 石造りの防壁の隙間から立ち上る、純白の豊かな湯気。

 人間の心からの温かい笑顔と笑い声。

 空間全体を心地よく包み込む、最高の石鹸の高貴な香気の対流。

 最前線に立つ虎獣人のティグリスが、お風呂の真ん中に腰を下ろしながら、新しくこの村の戸籍へと入ってきたばかりの小さな子供たちの集団を、その分厚い手のひらで滑らかに包み込んで大喜びで泡だらけにして洗い流していた。


「こらこら、暴れてお湯の対流を不効率に乱すんじゃないよ、バカザル! 目の中に最高の泡の成分が侵入してエラーを起こしても知らないからね!」


「あははは! 捕まえてみなよ、ティグリスのお姉ちゃん! クルの作ったこの最高の石鹸の泡、ピカピカに滑って最高に面白いんだ!」


 子供たちの大声を上げて笑い転げる温かい笑い声が、浴場の四方へと響き渡る。

 かつては、ただの不潔な汚れにまみれ、理不尽な飢えの焦燥に怯え、冬を迎えるたびに無意味に病気で死に絶えていくだけだった、最悪の世界の澱み。

 そこへ今、この一介の荷物持ちの「判断」の手際によってね、人間として最も健全に、そして美しく生きるための『清潔という名の最高のインフラ』が完璧に開通し。

 明日への確実な生存の予測を担保するための『絶対的な安心という名の最強の防壁』が、完璧な流れを伴って美しく彼ら全員の心の中にインプットされ尽くしていた。

 戻れなくしたその一手の駆動の前にね、人間という生物の心はね、内側から完璧に劇的に変わり、明日へのさらなる最高の余剰の循環を自らの手で新しく作り出すための未来をね、真剣に思考し始める最高の資産へと変貌を遂げていくのさ。


 クルザードは厨房の真ん中に立ち、大きな木べらを滑らかに動かしながら、自らの手元から立ち上り、夜の帳に向けて真っ直ぐに真っ直ぐに昇り続けていく、あの純白の豊かな味噌鍋の湯気の行方を、その穏やかな瞳で静かに見つめていた。

 彼の瞳の奥では、これからの時代の発展のプロセスを祝福するようにして、無機質な世界の因果の響きが、脳内へと直接クリアな文字の更新として流れ込み続けていた。


『――個体名:クルザード。環境全体の最適化、および人的資源の維持効率が最高値を固着。システムレベルの上昇レベルアップを検知――』

『社会のすべてのインフラに、最高値の【国家基盤安定】・【人口維持成功】・【村発展補正】の全歯車が完全に同期――』

『結論:集落全体の文明のステージに、最高位の【生活文明段階上昇】が自動適用を完了――』


 クルザードは口元に世界全体の構造を美しく塗り替えるための、不敵で、公共の不条理を完全に置き去りにするための最高に陽気な微笑みを浮かべた。

 まだ、細かい調整に僅かな手戻りは残るものの。彼の肉体と能力のスペックはね、間違いなく、一分の狂いもなく最高の速度で強固に強くなり続けていた。

 ここはもう、ただ今日一日の生存に怯えて泥を啜るだけの、そんな一時的な流民の避難所の規模なんかでは最初からただの一パーセントも存在してはいないからね。

 集まったすべての民がね、自らの頭脳で明日への確実な未来の予測を掴み取り、新時代の偉大なる最強の建国の歴史の巨大な歯車をね、自らの手の意思で最高効率の速度で前進させ続けるための、世界で最も強固な最強の『国家の本質の真ん中』へと、完璧な速度で力強く、自由な活気の奔流を伴って美しく生まれ変わりつつあったのだから。


 美味しい飯。

 清潔な水。

 一分の手戻りもない、広大な畑の量産。

 民の脳を最適化する、高度な教育。

 全細胞の病気を防ぐための、最高の石鹸による衛生革命の完全なるシステム化。

 そして――今日完全に完成を遂げた、あの死亡率の数値を完全消去して人口の絶対数を無限に太く広げ続ける、最高の人的維持の防壁。

 この生活の循環の防壁が最高値で回っている最高の居場所はね、古いアルフェイドの都市国家の不条理な構造を完全に中央から呑み込み、明日への確実な生存の予測と共に、新時代の偉大なる最強の“国家の形”を、今, 完璧な速度で力強く、自由な活気の奔流を伴って美しく駆動させ、また一歩、確実に“国家”の本質の地平へと向けて近づいていくのであった。






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