表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
役立たず鑑定士を追放した配信サークル、崩壊する 〜レアドロップ逆転の俺と黒髪の最強少女〜  作者: モコナッツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/22

黒曜


 女はダンジョンの岩壁にもたれかかるように、足を引きずりながら近づいてくる。


 片足はややおかしな方向に曲がっており、岩壁に肩を押し付けながら、やっと立っている状態だった。


 

 右肩の服は肉ごと裂け、白い服が鮮血に染まっていた。

 踏み出すたびに、肩からコポッと血があふれ、床に落ちる。


 一瞬、呆気に取られた。


「助けて……」


 先程と同じ言葉を、うわ言のように呟いた。目の焦点が合っていない。


 思わず駆け寄ろうとしたが、立ち上がる瞬間に凛に腕を掴まれた。


「凛、お前な」


「私が行きます」


 言うが早いか、凛は駆け出し、今にもふらついて倒れそうな女を抱きかかえた。凛に一拍遅れて、俺も駆け寄る。


 女の目は虚ろなまま、全身が震えていた。このまま死んでもおかしくない。


「大丈夫……ではないですよね」


 凛が状態を確認しながら、ハイポーションの蓋を歯で開けた。


「これを」


 ゆっくりと口元に運ぶ。


 が、口に含んだ瞬間に、女がむせ返って吐き出した。吐き出した液体には血が混じっている。内臓もやられているらしい。


「ゆっくりでいいので、一口ずつ飲んでください」


 飲みやすいように胸と肘で頭を支えながら、ほんの一口ずつ飲ませる。ゆっくりと時間をかけて三本目のハイポーションを飲み終わったところで、女は完全に意識を失った。


「凛」


「大丈夫。気を失ってるだけです」


 凛は動揺を見せないまま、女を抱えて岩壁の隅に運んだ。ただ、女を下ろした後に長く深い息を吐いた。


「ひどい出血です。今のうちに応急処置をするので、私の袋取ってもらえますか」


 袋を手渡すと、中から金属製の伸縮警棒と簡易的な救急箱を取り出した。俺を治療した時と同じく、迷いのない手つきだった。


「今から添え木と傷口の縫合をします。服を脱がすので、神谷さんは周囲を警戒していてください。一応言っておきますけど、もし振り向いたら分かりますよね?」


 凛の目がギラッと光った。


「ま、任せろ」


 一瞬放たれた殺気にビビったが、流石にこの状況でふざける気にはならない。使えそうな道具だけリュックから抜いて、そそくさと場を離れた。


 鑑定を発動して、周囲を警戒する。


 ……正直、意外だった。


 もっと乾いた奴かと思っていたが。

 何だか少し誇らしかった。


 だから。


 こいつの相手は、俺一人で十分だ。


 ……来る。


《鑑定結果》

【レアモンスター】

 黒曜石のゴーレムオブシディアン・ゴーレム


 静かに息を吐く。俺はただ、こいつを淡々と処理する。そして、暇だったと凛に言ってやる。そう決めた。


 オオオオゥ……


 ゴーレムが静かに雄叫びをあげた。

 いや、単純にコアが震えて出た音だろうか。


 通路の奥で、黒い塊がゆっくりと形を成した。


 ――黒曜石のゴーレム。


 二メートルほどの巨体。細身で継ぎ目のない黒曜の身体。さっきのリザードよりもさらに硬そうだ。


 それにしても……あの黒い球体は何だ。黒光りする黒い数珠を襷掛けで担いでいる。いや、身体を中心に回っている。


 どういう仕組みかは分からんが、あれがゴーレムを守っているのか。


 まあいい。先手必勝だ。


 風付与札を柄に貼り付ける。出し惜しみはなしだ。今日の俺は昨日までと違う。楽勝だと、信じて行け。


 ダンッ!


 思い切り地を蹴った。左から距離を詰める。


 巨体がこちらに向く前に、最短で仕留める。


 シーカーズ時代から、俺が未知の相手に取る戦法は一つ。相手が手の内を晒す前に最大火力で不意打ちを叩き込み、短期決戦に持ち込むことだ。


 胸元のコアに一撃入れて、それで終わりだ。


 十メートル……五メートル……三、二、一、そこ!


 コアまであと十センチ。ナイフが届く、その瞬間。


 ガキン!


 黒い球体がコアを守るように割り込み、ナイフの峰を弾いた。


 こいつ、想定より反応が早い。


「……が、あっ……!」


 そう思ったと同時に、みぞおちに衝撃が走る。

 別の球体の一つが分かれ、俺の腹を深く抉り込んだ。


 苦しい。

 痛い。

 息ができない。


 ダメだと分かっていても、膝をつく。


 ――ヒュッ


 刹那、視界の外で風を切る音がした。膝をついた瞬間、今度はゴーレムが俺の横っ面を蹴り飛ばした。


 ガアンッ!


 首から上がなくなるような衝撃に、踏ん張りも利かず吹っ飛ばされる。


 そのまま通路の端の石材に頭から突っ込んだ。


「ゲホッ! ゲホッ! ……くそ!」


 完全に死んだと思った。頭から生温かい血が流れる。頭がガンガンして、膝も震える。


 それがどうした。


 まだ生きている。

 まだ動ける。


 ここに来るまでの、指輪、種、スキル結晶。

 そいつらのおかげで、まだ戦える。


 ……なるほど。俺も少しはマシになってるらしい。


『心配しなくても、食らったら分かりますよ』


 凛の言ってたことは、こういうことか。

 全く。敵わないな、相棒には。


 その瞬間、ナイフに付与した風の加護が切れた。いよいよもって、後がないみたいだ。


 身体はまだ動く。相手のやり口が分かった以上、二度と同じ手は食わない。


 せっかく相棒が人助けしてるんだ。

 俺も良いところを見せないとな。


 ゴーレムを守る球体が、不規則に周囲を漂い始めた。どうやら今度は向こうから来てくれるらしい。


 俺は鼻を親指で押さえて、溜まった血を飛ばした。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ