再認識8話
今日も無理せず、無事に一日を終えられたらいいですね。
無事に一日を終えられたら、悩みや心配を忘れてゆっくりお休みください。
お休みの時間なら、私の作品とともに明日への準備ができることを願っています。
読者の皆様の人生に、私の作品が大きな助けになることはできないかもしれませんが、
少しでも活力の源になれたら嬉しいです。
いつも作品を読んでくださって本当にありがとうございます。
大好きです、読者の皆様。
『カチャ』
『コツ、コツ』
『ドサッ』
「ふぅぅ……」
屋敷の専用ソファほど柔らかく快適ではない。
それでも、何もないよりは遥かにましな椅子へ身体を預けた。
元々、対外的な活動を好まない性格の俺にとって、
ここまでの出来事は想像を絶するほど過酷だった。
そのせいで、本来ならまだ余力が残っているはずの俺は、すでに疲労困憊だった。
「ご苦労だったな、親分」
「お世辞じゃないだろうな?」
疲れ切った声でそう返すと、アルドリックはぎこちない笑みを浮かべ、飲み物の入ったカップを差し出した。
「おっ」
香りで察するに、出発前に飲んだ果実茶だった。
ただ焼いただけの器。
だが何らかの技術が使われているのか、湯気がゆらゆらと立ち上っている。
「ずずっ……」
「命の恩人である親分に、わざわざお世辞なんて言うか? 俺はクビになったら行く当てもない身なんだぞ?」
その言葉の半分は冗談だと、俺はとっくに見抜いていた。
俺は茶を飲みながら、彼の言葉へ耳を傾ける。
「親分は領主様と奥方様の息子で、ポジウェル家の後継たる貴族だ。……それを抜きにしても、すごい人間だよ」
「ぶっ!」
アルドリックは時折こうして褒めてくる。
だが、こんな状況で聞くとは思っていなかった。
そのせいで、口に含んでいた茶を盛大に吹き出してしまう。
「ごほっ! ごほっ! うぅっ……!」
「大丈夫か、親分?」
「いきなり何言い出すんだ……!」
背をさすられたおかげで、咳はすぐに収まった。
「並の男でも耐え難い状況だった。まして、子供の親分には不可能に近い話だったはずだ」
「あ……」
そこでようやく、彼の言いたいことを理解した。
(確かに……普通のプレイヤーでも、今日みたいな狂ったイベントに遭遇したら失敗して当然だった)
「ソードマスターの騎士たちでも倒せなかった怪物を仕留め、その上で他人まで助ける。大したものだとしか言えん」
「そ、そうか?」
急に顔がむず痒くなる。
男という生き物は、女とは違う。
生まれた時から死ぬその瞬間まで、弱さを見せないよう徹底して教え込まれる。
社交性の乏しい男であっても、程度の差こそあれ、皆鎧を着込んで生きている。
それは俺も同じだった。
昔は女のように、気分の赴くまま生きてみたいと思ったこともある。
だが、その結果がどうなったのか――身体と、積み重なった時間が嫌というほど刻み込んでいた。
「その……」
「ん? 何か言いたいことでもあるのか?」
俺はアルドリックが言葉を続けるのを待った。
だが彼は、金魚のように口をぱくぱくと動かした後、結局口を閉ざしてしまう。
「何か言いたいことがあったんじゃないのか?」
「いや、大したことじゃない」
そう言って身体を背け、馬車の外へ向かうアルドリック。
その瞬間、小さな声で何かを呟いた。
「何だって?」
「いや、少し風に当たってくる」
「そうか」
「遠くへは行かん。安心しろ、親分」
「心配するわけないだろ。お前はソードマスターなんだから」
「ははっ! 違いない」
アルドリックは平気そうに振る舞いながら、馬車を出ていった。
「よっと……!」
茶のおかげで多少気力を取り戻した俺は、勢いよく立ち上がる。
『コツ、コツ』
「これはまた……」
慌てて確認した時には気づかなかった損傷が、あちこちに残っていた。
改造を終えたのはつい先日。
それなのに、二日も経たずここまでボロボロになるとは。
「重作業用に、特に頑丈な装甲を選んだというのに……」
戦闘用機体と違い、純粋な耐久性のみを追求した金属装甲。
ソードマスターですら、意識しなければ貫通が難しいはずの金属が、無惨な姿を晒している。
歪み、穴が開き、紙のように潰れた装甲を見ていた時――
その中に、妙に異質なものが混じっているのに気づいた。
「これは……何だ?」
しばらく見つめていると、何かを思い出しそうな感覚があった。
エーテルブレードで、確かに見た覚えがある。
『……ぐにっ』
「うわっ!?」
突如動いた細胞のような物体に驚き、俺は咄嗟に飛び退いた。
「……あれ?」
だが気のせいだったのか、破片はそれ以上動かない。
とはいえ、修復や整理を進める以上、ここへ放置しておくわけにもいかなかった。
(他人へ悪影響を及ぼすかもしれないしな)
青白い色をした破片。
どういうわけか俺は、それが先ほどの異形体と関係している気がしてならなかった。
「使うことはないと思っていたんだが……」
念のため、屋敷でガーリンドに用意させていた封印箱を取り出す。
そして工具用の挟みを使い、慎重に破片を取り外した。
『カチッ』
『ガコン』
「ふぅ……」
周囲のマナを集め、その力で封印を維持する箱へ破片を収める。
何事も起こらなかったことに、俺は安堵した。
ホラー映画なら、こういう時に限って破片や本体が襲いかかってくる。
だからこそ俺も警戒していた。
現実でそんな都合のいい展開が起きる確率など、百に一つもない。
それでも念には念を入れて慎重に行動した。
『ギィ……』
『ガチャ』
俺は封印箱を、馬車の隅に据え付けられた鉄製金庫の中へしまい込んだ。
愛する読者の皆様
ギムテンリュウからギムテンメイとなった不肖の作者です。
生業の都合により、当分の間、連載を中断させていただくことになりました。
10年以上、収入のない状態で小説に没頭してまいりました。
しかし、これ以上家族に負担をかけるわけにはいかないと思い、決断いたしました。
まずは身を立て直し、安定した生活に戻れるよう努めてまいります。
皆様もどうか健康で、楽しい日々をお過ごしください。
そしてまた、いつかお会いできる日が来ることを、心より願っております。




