第六十ニ話 因縁
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第62話を投稿させていただきました。
ついに始まる魔王対ルベル、アランの戦い。
勝者は誰なのか…。
是非お楽しみください。
アランとルベルは魔王マーリンとグリートーネアと対峙していた。
「ようやくこの時が来た。なぁ魔王!」
アランは双剣を背中から抜くとマーリンを睨みつける。
「ようやく俺の故郷を蹂躙してくれた事への復讐ができるぜ!」
アランは瞬時にマーリンの背後に回り込む。
「神速 閃光双乱舞!」
目にも留まらぬ速さでマーリンへ斬りかかる。
「危険な盾」
背後に展開されたバリア。アランはフルスウィングでバリアを破ろうと試みる。しかし
「がぁっ!」
アランは吐血して倒れる。
「ブラッディインパクト!」
すぐにルベルが動くもグリートーネアが剣でルベルの攻撃を受け止める。
「あなたの相手は私。マーリン様には手を出させない。」
「へっ。そんなに俺達が怖いかよ…。」
アランは剣を地面に突き刺し体を支えながら笑みを浮かべる。
「一人一人相手にしてねぇと勝てなそうだから、部下をルベルの足止めに使ってんのか?あぁ?どうなんだよ、魔王!」
「貴様!マーリン様へ向かって!」
グリートーネアが切っ先をアランへ向ける。
「まさか。お前たちなど私一人で十分だ。」
マーリンはアランの挑発にあえて乗ることにする。
「グリートーネア、下がっていろ。私がどれほど恐ろしいかその身をもって味わえ。」
「しかし…。」
「私が信用できないか?」
「いえ…。すいません。」
グリートーネアは三人から少し離れたところへ移動する。
「さあ掛かってこい!常闇の円卓騎士!神速の円卓騎士!」
マーリンの魔力が一気に膨れ上がる。
「良くやった。これで邪魔がいなくなった。」
ルベルはアランのお陰でグリートーネアを退け、マーリンと一対二で戦えることに勝機を見出していた。
「これも俺の計画の内だ!」
「強がるな。弱く見えるぞ。」
「黙れ!吸血鬼!」
「いくぞ!」
「あぁ!」
ルベルの合図にアランは大きな声で応え、マーリンへ向けて同時に飛び出す。アランは二振りの神器に、ルベルは一振りの神器に最大出力の魔力を乗せる。
「光龍十字斬!」
「毒血羅刹!」
「虚空の盾。」
二人の攻撃は何もない虚空にて止められてしまう。
「くっ!」
「チッ!」
アランとルベルはすぐさまマーリンから飛び退き
「バリアが厄介だな。」
「俺がバリアを無力化する。そこをお前が叩け。いいな?」
ルベルの言葉にアランは
「あぁ。しくじるなよ!」
と返す。それに対しルベルも頷く。
「お前もな。」
そして、マーリンへルベルが上空から迫る。
「ブラッディレイン!」
「無駄だ。虚空の盾。」
「腐血。」
その時目に見えないバリアがガラスのように砕けるのが見えた。
「何故?」
マーリンが驚きのあまり、ルベルに集中してしまうと
「余所見してんなよ!」
アランが間合いへ入り、双剣が淡い青色に光り輝く。
「神速 双彗星!」
振り上げた双剣を勢い良く振り下ろす。
「っ!」
焦ったマーリンはバリアを展開するも不完全な状態で、アランの双剣がそのバリアを叩き割り、マーリンの両腕を斬り落とす。
「ぐぁっ!」
「マーリン様!」
危険を感じたグリートーネアが飛び出してくる。
「アラン!魔王を仕留めろ!」
ルベルが叫び、迫るグリートーネアへ向けて
「ブラッディショット!」
グリートーネアの腹部へ強烈な蹴りを炸裂させてから、顔に血を付着させ
「腐血。」
ルベルの血液はグリートーネアの顔を腐敗させ崩れさせる。
「邪魔をするな!」
グリートーネアはすぐに顔を修復し、ルベルへ斬り掛かる。
「闇隠れ。」
その時、ルベルは影へ姿を消す。
「どこに!」
上空から現れたルベルはグリートーネアの頭部へ赤黒い魔力を纏った踵を振り落とす。
「クリムゾンストライク!」
その衝撃は地面をも砕き、グリートーネアは地中へ沈み込ませられる。アランはマーリンの両腕を斬り落とすとすぐに次の攻撃態勢に移る。
「光龍螺旋昇!」
回転しながらマーリンを複数回斬りつける。
「くっ…。回復が…間に合わな…。」
「神速 閃光双乱舞!」
アランは止めることなく斬り刻む。マーリンは倒れ魔力が変化する。
「あ…?」
それに違和感を覚えたアランはルベルの方へ目を向ける。
「何だよ…。テメェ…。」
そこにはルベルの胸を素手で貫いたグリートーネアの姿があった。
「どうした?神速。」
「お前は誰だ!」
「私は魔王マーリンだ。」
「何でテメェが…。」
「魂の転写。私は自身の魂にマーリンの持ち得る術式をすべてを刻み込み、その上でアヴァロンの魔女である彼女に魂を乗り換えた。つまり今の私は魔王と魔術師マーリン、そして今手に入れた魔女グリートーネアの力を有しているのだ。」
マーリンはルベルの胸から腕を引き抜くと蹴り倒す。
「ルベル!」
「余所見か?」
今まで以上に強力な魔力を纏ったマーリンがアランの隣にいつの間にか移動していた。
「神速…!」
「鈍い。」
マーリンは腕を振るうとアランは胸が切り裂かれ、大量の鮮血を溢しうつ伏せに倒れる。
「留めといこうか。」
マーリンは留めを刺す前に、グリートーネアの姿をマーリンの姿に変えてから
「やはり、この見た目が馴染む。神速。貴様の故郷の者どもと同様、貴様も生贄に捧げてやる。」
その時だった。マーリンの腕が斬り落とされる。
「何者だ?」
「主の命により貴様を殺す者だ。」
そこにはエデン、ワールド、ヘル、エターナル、キューブが立ちはだかる。
「なるほど。奴は一人でタルタロスに勝つつもりなのか。自惚れも甚だしいな。」
マーリンはニヤリと不敵な笑みを浮かべ
「影塚星影が死ぬのも時間の問題だ。先に貴様らを殺して、神速と常闇の亡骸とともに死ぬ間際の奴に見せてやろう。」
「主は負けない。」
ワールドの言葉に眉間にシワを寄せるマーリンは
「そうか。ずいぶんと生意気な口を利くものだな。」
「今は貴様の洗脳など受けていないからな。」
ワールドは時を止めマーリンへ殴り掛かる。
「私にそんなものは通用しないぞ。」
止まった時の中でもマーリンは声を発し、ワールドの拳を躱す。
「混沌の風。」
突風がワールドとその背後にいたエデン達を襲う。五人はその風を浴びると、一瞬で体中がひび割れ血飛沫が吹き上がる。
「来い、ルベル、暁彦。」
膝を付いたまま、キューブはルベルと暁彦の複製体を召喚する。
「吸血鬼と人間でどうにかできると思っているのか?」
マーリンは迫る二人を一瞥してから
「地獄の雨。」
黒い雨が降り注ぎ、雨粒に触れた箇所が砕けて崩壊していく。複製体はすぐに崩壊し、ワールド達も体が崩れ始める。
「時間は…稼いだぞ…。」
崩壊していくエデンの声に、マーリンの背後から
「助かる。」
と声が聞こえる。マーリンが振り返ると、ルベルの魔力が一気に膨れ上がる。
「やはり脳も潰さなくては駄目だったか。」
「闇隠れ。」
「どんなに姿を消そうとも、貴様の魔力で居場所など感知出来る。」
マーリンは剣を握り、魔力を剣に乗せ振り払う。魔力は斬撃と変わり、ルベルへ向けて飛んでくる。
「宵闇 毒牙 人魔の間 毒血斬!」
魔力の斬撃をルベルは神器で斬り落とし、マーリンの懐へ迫り、刀を振るう。マーリンは胸を裂かれるが、すぐに再生する。
「忘れたか?私はグリートーネアの力も有しているのだぞ。」
ルベルはすぐに刀を引っ込めて、マーリンへ切っ先を突き付ける。
「諦めろ。貴様では私に勝てん。」
マーリンはルベルの刀を剣で弾くと、掌をルベルに向ける。
「さらばだ。」
「やらせる…かよ…!」
重症のアランが血を流しながらもマーリンの腕を斬る。
「まだ動けたか。寝てたほうが幸せだったろうに。」
「ルベル!ヤれ!」
アランは最後の力を振り絞るように、一閃する。
「閃光斬!」
マーリンは肩の付け根から右半身を斬り落とされる。ルベルはマーリンの胸に腕を突き刺す。そして
「腐血!」
マーリンの体は内側から腐って崩れていく。マーリンは血溜まりとなり、アランとルベルは倒れる。
「これで倒した気になっているのか?」
しかし、マーリンは体が再生しルベルとアランに迫る。
「腐血で完全に細胞を破壊した…。それでも再生するか…。」
「私の能力は不変だ。例え細胞を破壊しようと、この体は元の状態に戻る。何をしても無駄なのだ。」
マーリンは一息おいてから
「切り裂く狂乱。」
無数の斬撃がルベルとアランを襲い、二人の体からは鮮血が溢れ、倒れている地面は彼らの血で紅く染まっていく。マーリンは彼らの亡骸を星影の元へ持っていこうとしたその時だった。タルタロスの魔力が消滅した。
「死んだか…。お前の敵は私が討とう。」
そしてマーリンは星影とタルタロスが戦っていた場所へ向かい始める。
皆さん、いかがだったでしょうか。
魔王マーリンの魂の転写により更に力を得た魔王はアランとルベルを倒し、そして憎き星影へ向けて動き出す。
第二次異世界大戦はここからどのように動いていくのか。
次回第六十三話 裏切り者




