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27.今日という過程

「県予選で解説してたヨーコ・マクドナルドさんって人いたじゃん。あの人、全国大会の解説オファー来なかったらしいよ」


『あー、Fワード連発してたからね……。注意されてもやめなかったし』


「それで面白いのがさ、自分のチャンネルで解説のオファー来なかった件について抗議動画出してるの。『アニマルBOMB! 運営、聞け』ってタイトルのやつ。クソほどブチギレてて笑っちゃったよ」


 部室では琴崎先輩とココ助先輩が楽しく談笑している。

 先日のインターハイ県予選で優勝したことで、この部屋も正式に部室となっていた。


「あー重かった!」


 南先輩が両手に紙袋を抱えて、わざとらしくアピールしながら部屋に入ってくる。

 一体なんの紙袋だろうか。


「真知子なにそれ」


「私たち宛のファンレターとからしいよ。職員室に行ったら押し付けられちゃった。ココ助の分は事務所に郵送するってさ」


「マジで⁉」


 琴崎先輩は椅子の音を立てて立ち上がり、紙袋の中身を改める。


「プレゼントも入ってるじゃん! このホットアイマスクは真知子宛か。これも真知子宛で、これも真知子宛……。真知子ばっかりじゃん! やっぱ乳なのか⁉ 男ってクソだ!」


 もとよりココ助先輩の所属するチームとして注目を浴びていたところに、私の過去のスキャンダル発覚で炎上。

 そこから県大会を優勝したことで大注目を浴びた私たちは、ネット上でファンがつくようになっていた。


 それでも、この量のファンレターやプレゼントが届くほどの人気になるとは予想していなかったので驚きだ。

 茶髪巨乳ギャルの南先輩の人気が止まることを知らない。


「いうても私のファンはおじさんが圧倒的に多いからね。イソスタのフォロワー爆増したけど、ほとんどが三十代以降の男性ってアナリティクスにあったし」


『逆に宮本さんは若い子のファンが多いよね。その女の子からの手紙って宮本さん宛でしょ?』


「キャー! 嬉しいです! みつきちゃん9歳からのお手紙めっちゃ可愛くないですか⁉」


「待って、ほんとに私宛の手紙やプレゼントないの?」


 みんなでファンレターやプレゼントを仕分けてわちゃわちゃするのは中々楽しい。

 大体は南先輩宛のものばかりなので持って帰るのが大変そうだ。


「あ、これあかちゃんのじゃない?」


 南先輩が私に手渡したのは、なかなか重厚感のある個包装された小さい箱だった。

 付いているカードを見ると「神原白乃より」と書いてある。


「横浜女子の神原さんからじゃん! 何入ってんだろ? 早く開けてよ!」


 私は南先輩に急かされるまま包装を解くと、驚くほど豪華なアクセサリーケースが姿を現した。

 何かのブランド品だろうか。


「ティ〇ァニーのアクセじゃん!! しかもネックレス!」

『ティ〇ァニー⁉』


 ティ〇ァニーであるという事実より周囲の声の大きさに驚きながら、私は恐る恐るケースを開ける。そこには∞の形を模したリングを通したネックレスが入っていた。

 琴崎先輩がケースからひらりと落ちた商品カードを読み上げる。


「なになに? ∞シリーズは『永久の愛』や『途切れることのない絆』をテーマにしたアクセサリーです。……え、重くない?」


「これガチなやつ?」


『あ、愛の形は人それぞれだから……』


「あかちゃんが望むなら私は何も言わないよ?」


「ちょっと⁉ そっとされるのが一番きついですよ!」


 みんなはもうこのアクセサリーに触れる気はないようで、また黙々とした仕分け作業に入ってしまった。


――え、これどうすればいいの?


 私は激重アクセを手に思考停止するが、とりあえずケースに仕舞って見えないところに置いておく。

 そうしている間に仕分けも終わったようで、私たちはいつものようにパソコンを起動した。


「さー練習練習!」


「てか聞いてくださいよ。最近なんか下手になったていうか、撃ち合いが弱くなったような気がして……」


「そういう時期かもね。敵のよくいる場所とか覚えて警戒心が芽生えてきたから、良くも悪くも思い切りがなくなってきたんでしょ。プレイ見てたら分かるよ」


「宮本は今までわけわかんない突っ込み方してたしね。むしろそれが良かったまであるし」


「そんな言うほどですか⁉」


『県予選の動画見返してみると良く分かると思うよ。特に決勝の三マップ目の攻めとか。見返し配信で笑っちゃったもん』


 みんなであーでもないこーでもないと遠慮なく意見をぶつけ合う光景に、私は心の中が満たされるような気持ちになる。


――私一人じゃ何もできなかった。


 けれど、きっとそれはみんなも同じなのだろう。

 まったく違う価値観、能力、背景を持った人たちで集まって、一つのチームとして混ざり合う。

 だからこそ爆破系FPSゲームは面白いのだと思う。


「え゛っ⁉ 神原先輩から通話かかってきたんですけど……」

「やばぁ! 早く出てよ、スピーカーで!!」


 私たちはともに支え合いながら、今日という過程を目いっぱい楽しんでいる。

最後までお読みいただきありがとうございました!


スポ根系の作品って最近だと敬遠されがちなんですけど、僕はやっぱりこういう向上心に満ち溢れた物語のほうが好きで好きでたまらんです。


苦しみながらも努力が結実し、成長の殻を破る瞬間っていうのはスポ根系の物語で最高の見せ場ですよね!


あと……章の文字数も長くて読みにくかったかと思います。ガチすみません!

投稿終わってから「これ、長くねぇか?」ってなってました。

今後は一章を2000~3000文字に収められるように努力いたします。


もしよろしければ「いいね」

また、率直な「評価」や「感想」などをいただけますと幸いです。

続編や次回作の糧とさせていただきます!


タイミングがあれば世界大会代表選出編、全国大会編、世界大会編などもあれば書いてみたいです。

ありがとうございました!

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