22.研いできた牙
「いやーボコボコだったね!」
南先輩はあっけらかんとした表情で笑う。
第二マップは0-10で圧敗だったが、私たちに暗い雰囲気は一切なかった。
他の先輩らもそれに同調するように口を開く。
「あそこまでボコられたら逆に気持ち良いまであるよ。ルインズシティが第三マップになったときは焦ったけど、順番はランダムだから仕方ないし」
『第一マップ取れたのが大きかった! みんなよく頑張ったよ~』
第二マップのトロピカルジャングルを大差で落としたのは、私たちにとって想定内の出来事だった。
スナイパー有利のマップで神原先輩に勝てるわけがない。
だからこそ、ここまで割り切って練習してきたのだ。
「ほんと、ここまでみんなよく耐えてくれました」
私は不敵に笑う。
はやる気持ちが抑えられなくて、自然と口角が上がってしまう。
「いよいよですね!」
一番待ち望んでいたのは宮本さんだろう。
この日、この時のために、私たちはずっと練習を重ねてきたのだ。
「やっとお披露目できる。ここまで長かったなぁー」
琴崎先輩もそう言いながら背筋を伸ばす。
そう。これまでのすべてのゲームは、このマップのための布石だ。
『あーどきどきしてきた! めっちゃ楽しみ!』
わくわくが止まらない。
早くゲームが始まって欲しい。
そう思っていない人はここにはいないだろう。
そして、モニターはキャラクター選択画面へと移り変わる。
ここで使うキャラクターを各々が選択したら最終ゲームスタートだ。
「さぁ、攻めましょう」
私が宮本さんに目を向けると、分かってるよと言わんばかりに頷き返してくれる。
研いできた牙を見せる時がやってきた。
<宮本歩 選択キャラクター スパイラビット>
最強の盾から、最強の矛へ。
神奈川県の覇者を決める最終試合が始まった。




