番外会話短編ネタ
これでマリンの話は終わります。
明日はお休みして、また明後日に別キャラで更新します。
◇ ◇ ◇
呼び方
◇ ◇ ◇
とりあえず、こんなに遅くなった時間に訓練場に向かっても仕方がない。
とりあえずでも良いからこの世界のことを教えてあげる。
そう言って部屋へと戻ろうとするマリンに付いて行っていると、
「……そういえばわたしは、あなたのことを何と呼べば良いの?」
振り返ること無く、マリンがそう訊ねてきた。
「何、って言われても……そりゃ、リフィアって呼んでくれた方が周りには怪しまれないが……」
「それはわたし的には勘弁なんだけど」
「ですよね~」
返事をしながらも、初日に出会ったオドオドとした態度が取れただけでもこの提案には価値があったな、と何となく思う。
「あなたのようなその辺の男を、リフィアさんのような素晴らしい名前で呼びたくない」
「じゃあ……リフィアと俺、どちらにも対応しているあだ名か……」
「あだ名……えっ、リフィアさんをあだ名で……?」
「いや、俺をだけど」
「実質リフィアさん相手にじゃないっ! 無理無理っ!!」
足を止めて振り返り、両手を何故か上下に振って拒絶するマリン。
「じゃあどうするよ。さすがに俺の名前を呼んでたら、周りに聞かれた時に返事出来なくなるぞ」
「……………………男、って呼ぶ?」
「意味が分からん上に性別呼びっていうセンスの欠片もないことに今全俺が驚いてる」
どう考えても怪しまれること請け合いだ。
という訳で結局、俺を呼ぶ時は将来呼び捨てにする練習も兼ねて「リフィア」と呼び捨てで、リフィア自身のことを呼ぶ時は今まで通り“さん”付けということで結論が出た。
◇ ◇ ◇
問題
◇ ◇ ◇
「……ねえリフィア、今ふと気付いたことがあるんだけど」
部屋に戻って、ベッドに寝転んだり座ったりしながらこの世界の話をしてもらっていた時、ふとマリンが口を開いた。
「なに?」
「……トイレ、どうしてるの?」
「普通にしてるけど」
「っ!」
俺の返事を聞いて、ダンッ! と足を鳴らせて力強くマリンが立ち上がった。
その姿を寝転びながら見上げる。
「な、なんでっ!?」
「いやなんでって……生理現象だから」
「じゃなくて! 普通戸惑ったりするでしょ!? あなた男性だよねっ!?」
「そうだけど……今は自分の身体みたいなところがあるせいか、本当に何も思わないんだって」
入って初日の時は戸惑ったものだが、一度切羽詰まった時に駆け込んでからは、もうどうでも良くなった。
ちなみにだけど、その時トイレの場所を教えてくれたのはマリンだったりする。
「なんだったら、マリンに裸を見せることも出来るけど?」
「えぇっ!?」
元々リフィアが同性に裸を見られることに抵抗がないのか、本当に平気で出来るのが分かる。
お風呂の時に全く恥じらいが無く、また誰かの裸を見ても興奮しなかったことからも、それは間違いない。
「そ、れは……」
「どう? 見る? さすがに触られたりとか色々されたりとかは抵抗あるっぽいけど」
こちらが触ることすらも抵抗がありそうな感じがしたし、となれば触られるのもイヤだろう。
これもお風呂の時になんとなく確認したことだ。
「そ、それなら…………………………………………さ……わらない!」
「すっげぇ悩んだね」
「悩んだけど! でもわたしはリフィアの中身が好きなだけだからっ! 外見じゃないからっ!」
の割には結構怪しい。
……もう少し突っ込んだら目覚めそうな気配がするが……いや、俺の身体である内は目覚めさせても嫌悪感が起きることしかされなさそうだし、どうにかして二人の絡みが見れる状態になれたら目覚めさせよう。