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名前のない楽園
\ ジワタネホ /
陽炎にのまれた照り返る太陽の砂浜は、どこまでも続いているようだった。
幸いなことにそれほど暑くはなく、穏やかな波打ち際ということもあってむしろ心持ち涼しさを得ている。
ただ、空の青いことと、潮の匂い、乾いた風、波と足音以外には何もない。
なぜこんなところにいるんだったか。
自分は死んだのか。そうすると死因はなんだったか。
思い出せないし、あまり重要ではないようだった。
さてすると、ここは天国かはたまた地獄か。
見るだに穏やかな風景は、想像していた天国とは少々異なる。
とはいえ地獄というにはあまりに平和的だ。
安寧、あるいは堕落か衰退のような、まるで現世の集団自殺じゃないか。
ただ、行き着く涯がここなら、まあいくらかマシなのだろう。
歩くこと以外に何もない。名前さえ剥奪した、まさしく楽園だ。
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