第十八話 ロン君大病する
私が仕事から帰ると、女房が
「ロン君が大変じゃ」と言うので、どうしたのか聞いて見ると
「ロンがいきなり大声で狂ったように鳴いて、腰砕けのようになって、フラフラで歩けなくなった」と言うので、ロンの様子を見て
「これはもう駄目なんじゃないか」と思った。
直ぐに病院に連れて行かなければならない。
今まで広島の病院にしか連れて行った事が無いので、そこにしようかと思ったが、今度はどうも何回か通院しなければ治らないだろうと考え、陸回りで行ける呉にすることにした。
電話してみると
「連れて来い」と言うので、直ぐに行く準備をしたら、女房が
「心配だから私も行く」と言うので、一緒に車で連れて行った。ロンは嫌がって道中ずっと鳴き通しだった。女房が
「ロン君疲れるけんもう止めんさい、そんなに鳴くと喉がかれるよ」と声をかけると、益々鳴き声が大きくなった。
病院では体重を測り肛門に体温計をさして測り、口の中へ綿棒を入れて唾液を採取した。
そして血液検査もした。
先生は中年の男性だった。
「この子は14歳にしては歯がしっかりしてますね」と言われた。体重は6,5kgぐらいあったので
「肥えすぎだから痩せさせなさい」と言われた。
どういった病気かはっきりと言わずに、2種類の粉薬を出された。粉薬をどうやって飲ませれば良いか判らないので
「錠剤は無いのですか?」と聞くと
「この医院では漢方薬しか扱っていないので、粉薬しか有りません」と言われた。
看護師さんが薬の飲ませ方を教えてくれた
水で溶いて小さな針の付いていない注射器で、飲ませて見せてくれた。
医者代は2万円で
「明日も連れて来るように」と言われた。次の日の朝薬を飲ませようとしたが、口から水が漏れ出て上手く飲ませられなかった。
また呉迄陸回りで連れて行った
「上手く飲ませられない」と伝えると
「それならチュールで団子にして飲ませてみたら」と言うので買って帰った。
医者代は1万2千円かかった。
「3日後にまた連れて来るように」と言われた。
翌日、二種類の薬を混ぜてチュールで丸めて、ケーキ用の小さなフォークの柄の部分に乗せて、口に入れてみたが上手くいかなかった。金物を口の中へ突っ込むのは、怪我をさせる恐れがあるのでやめにした。顔を上に向かせて上から落とし込むようにしたら、何とか飲ませる事が出来た。
薬を飲ませ始めて二~三日したら、病状が少し落ち着いたようだった。
三日後に連れて行った、また体重測定、体温測定と口の中の唾液を綿棒で採取して調べていた。
唾液を調べるだけで病気が判るのは、大したものだと感心した。
また
「肥えすぎだから、痩せさせなさい」と言われた。ロンは体格が良いのででこれくらいでよいのではと思ったが、先生からしつこく言われるので、可哀想だが餌を少なめにすることにした。そして
「水は水道水ではなく(にしきのおいしい水)を飲ませなさい」と言われた。
「餌は何処のものを食べさせているか」と聞くので、メーカー名を言って
「尿路結石対応の物です」と言うと
「そんな添加物が入ったメーカーの物は駄目だ、うちで取り扱っている物を食べさせなさい」と言われたが、値段が今食べさせている物より2倍以上高い物だった。
「結石が怖いので変えません」と言うと
「それなら不純物を滅菌する薬を買って、今食べさせている餌に、小さじ一杯かけて食べさせなさい」と白い粉薬を買わされた。二週間分の薬をもらって1万7千円位払って帰った。
帰りにスーパーで(にしきのおいしい水)を買った。
毎日無理矢理口を開けて飲ませるので、大変だった。
ある時私が下手をして、右手の人差し指が口の中にあるのに、ロンが口を閉じた為、牙で爪を噛まれて怪我をした、この爪が治るのに半年以上かかった。
それから二週間に一度ぐらいのペースで通院した。最初は脳の方の病気だけだと思ったが、脊髄や腸等、5~6種類病気を言われ、それを順番に治さなければいけないから、長くかかると言う事だった。看護師さんに
「この子は屋外に出しているのか」と問われ
「そうだ」と言うと
「外に出してはいけない、室内で飼いなさい」と言われた。
通院する度に
「肥えすぎだ、病院の餌を買いなさい(にしきのおいしい水)を飲ませているか」と言われた。
結局完治する迄に七ヶ月位かかった。一~二週間に1万2千円~2万円掛かったので、随分の出費になった。
ロンは体重が、1kgぐらい減って5,5kgになった。




