第270話 山菜
「ミズキ先輩! ユーさん!」
「あー、ミユキだー。おっはよー。」
「おはよう、ミユキ。」
「お早う御座います。 朝の散歩ですよね? ミユキも一緒に行きます。」
「いいよー。散歩は参加することに意義があるって言うからねー。」
「いや、それ、散歩じゃなくて、オリンピックだよ。」
「あっれー? そうだっけー?」
「ミズキ先輩、結構適当なこと言いますよね?」
「良いんだよー、今日からそういうことにしちゃえば良いんだからー。」
ミズキとミユキ、元気組が揃うと一気に散歩がワチャワチャになってくる。
甲板を2周して散歩が終わった。
部屋に戻ってシャワーで汗を流して食堂へ向かう。
「おはようございます、ユーさん。」
「お、シオリ、おはよう。食堂で朝食? 珍しいね。」
「そうですか?そんなこともないですよ?」
「なんかシオリはいつも朝食テイクアウトして工房で食べてるイメージだからさ。」
「あ、はい、今日もそうですよ? 今作ってもらってるんです。」
「あぁ、なるほど。そういうことか。」
「はい、おまたせしました、イチゴバナナジャムトースト、ゆで卵とミニサラダね。」
ジュンさんが持ち帰り用のトレーに乗せた朝食セットを持って厨房から出てきた。
相変わらず、同じメニューの朝食をテイクアウトしてシオリが食堂を出て行った。
「ジュンさん、おはようございます。」
「あらユーさん、おはようございます。 今朝は早いですね。」
「さっきまでミズキ、ミユキと一緒に甲板を散歩してたんですよ。」
「あら、そうだったんですか。それじゃ、もうすぐ2人も来ますね。 で、ユーさんは何にします? そうですね、おススメは山菜そばと稲荷ずしセットか、味噌きしめんとかやくご飯セットかしら。」
「おっと、その山菜そばっていい感じですね、それお願いします。」
「はい、わかりました。今準備しますね。」
ジュンさんが厨房に入るとすぐにミズキとミユキが入ってきた。
「あれ? また2人一緒だったの?」
「違うよー、食堂の前でたまたま一緒になっただけだよー。」
「はい、山菜そばセット、お待たせしました。 あら、ミズキちゃん、ミユキちゃんおはよう。」
「ジュンさんおっはよー。」
「おはようございます、ジュンさん。」
「ミズキちゃん、ミユキちゃん、今朝は何にするの? 昨日盛りだくさんだったから、シリアルだったらシンプルにバナナとベリー、パンケーキだったらメープルシロップ、ブルーベリーとカリカリベーコンを少しだけ盛り付ける、とかかしら?」
「シンプル良いねー、わたしシリアルお願いしまーす。」
「ミユキもそのパンケーキセットが良いです。あ、やっぱり卵、サニーサイドアップもつけてほしいです。」
「はい、わかりました。すぐ作りますね。」
ズルズル・・
「ユーさーん、その山菜ってー、苦くないのー?」
「その苦みが旨いんだよ。 そうだな、大人の味って感じ?」
「ミユキは春の味ってイメージですね。」
「あぁ、確かに春の山菜って多いよね。」
「えー、春の山菜も苦いよー?」
「ミズキもいつか、これが美味しいって思う日が来るんだよ。 ほら、お酒とかビールとかだって、子供のころは苦いし美味しくないけど、大人になったら、めっちゃ旨いと思うでしょ?」
「えー、お酒もビールも飲まないもーん。」
「ユーさん、ミユキたち、まだ未成年ですよ?」
「あ・・そっか。説明がダメダメだったな・・。 あ、そうだ、ほら、ワサビ。小さい頃はワサビ辛くてダメだったけど、だんだん、あのピリってするのが良くなるでしょ? そんな感じだよ。」
「あー、それはちょっとわかるかもー。 コーヒーとかもそーだよねー。 小さい頃はブラックコーヒーなんて絶対飲まなかったもんねー。」
「あ、そうそうそんな感じだよ。この苦み。」
「ふーん、じゃー、今度食べてみようかなー。わたしももう大人だしー。」
「おう、喰ってみ、喰ってみ。」
「まぁまぁ、朝から賑やかですね。毎日こんな風だと良いですね。 はい、ミズキちゃんのシリアルとミユキちゃんのパンケーキね。」
ジュンさんが厨房から元気娘達の朝食を持って出てきた。
「でもねー、やっぱり朝は苦い山菜じゃなくってー、シリアルだよねー。 いっただきまーす。」
「頂きます。」
元気娘達も食べ始めると静かになるんだよな。
「じゃ、オレはお先に失礼するよ。」
部屋に戻って、ゲームの続き、とも思ったけど、流石に昨日も結構早い時間から寝落ちして、そのまましっかり朝まで寝てたんで、あまり眠気はないな。
朝の甲板散歩だけじゃ、ボリューム足りないんで、艦内巡回でもしてくるか。
機関室、倉庫と回ってから工房に入った。
「シオリお疲れさん。」
「ユーさん、どうかしました?」
「いや、なにもないよ、巡回。 どう、工房は?」
「大分片付いてきました。ただ、片付けるだけじゃなくて、今度また同じように艦が振り回された時でも、工房がぐちゃぐちゃにならないように、少し改装もしてるんです。」
「だね、これからはもっと厳しい感じになるかもだしね。 とりあえず、食堂も普通に稼動出来るようになったし、工房も戻ったなら、ほぼ元通りって感じだね。」




