第117話 必殺流氷割り?
「ユーさん、この流氷、武蔵がコースを変えれば避けられますが、流氷対策を試してみたいので、このまま直進しても良いですか?」
シオリが聞いてきた。
「例の対策を試すんだよね、うん、やってみようよ。」
「了解。艦底電磁バリアを鋭角に艦前方へ展開。艦を前方流氷へ正面から突入。」
シオリが流氷対応を準備する。
メインモニターに映る大きな流氷がどんどんこちらへ向かってくる。
大丈夫だとはわかってるけど、怖いな、これは。
流氷はどんどん大きくなって、モニターいっぱいに流氷が映しだされている。
『まもなく流氷と接触します。』
ガガガガガガバリバリバリ・・
物凄い大きな音と振動がして、モニター上の流氷、というか白く光る壁が裂けて、その中央を進んで行く。進んでいく、というより、白く光る壁に包まれてく感じ?
バリバリバリッ
白い壁にトンネルの出口が現れたかのように、壁の間から大海原が見えた。
そのまま両側の壁もなくなって、これで無事に流氷を割って進んだってことだね。
「シオリ、成功だね。」
「はい、艦に損傷がなくて、速度も落ちませんでした。流氷割りは大丈夫ですね。」
「さて、流氷対策、必殺流氷割りも成功したことだし、ご飯にしようか。みんなで食堂行こうよ。」
「えー、その『必殺流氷割り』って、なんか表現がオッサンっぽいよー。 ユーさん、オッサンぽいー。」
「オッサンって、オレはキミ達と5歳しか離れてない離れてないってば。」
「は年齢の問題じゃなくて、内容の問題だよ、やっぱユーさんはオッサンだな。」
「あー、なんでレイナまでそんなこと言うかな、じゃ、もう必殺流氷割りって言わないよ、もう。」
皆でケラケラ笑いながら食堂へ向かった。
食堂には『自由の女神』チームの3人が居た。
「お疲れ様です。みなさん、仲が良いですね。」
宮本さんがニコっと微笑みながら声をかけてきた。
「そんなことないですよ。今だって、オレなんかオッサンだって、皆にいじめられてるところなんですよ。」
「艦長がオッサンって、私達よりも若いですよね? 小笠原艦長って。」
杉本さんがオレたちの方を向いた。
「そうですか? オレは今23ですけどって、女性に年齢聞いちゃダメですよね。」
「いいえ、別に、私達防大の同期で皆同い年なんですよ。任官して2年目なんで24ですよ。」
杉本さんが『自由の女神』チームの方を指さしながら言った。
「え、ユーさんの方が若いのにオッサン臭いんだー。」
「やっぱり歳じゃなくて中身の問題だな。」
「だーかーらー。オッサン言うなって、オレもセンスないのは自覚してんだから、これでも一応、もう!」
「ほら、やっぱり仲が良い。」
宮本さんがケラケラ笑ってる。
「あらあら楽しそうですね。今夜もみなさんが揃ってるので、中華料理をパーティー風にして出しましょうか。 料理は本格中華じゃなく、食堂の中華メニューですけどね、フフフ。」
賛成! 全員一致で中華料理パーティーの開催が決まった。
女子チームがワイワイと盛り上がり始めたところに配膳ロボを従えたジュンさんが戻ってきた。
「さ、始めましょう。まずは前菜3品。本当はクラゲが出したいですけど、クラゲはストックがないので、代わりに味付けメンマで我慢してくださいね。味付けメンマ、チャーシュー、棒々鶏の3品です。」
大皿に綺麗に盛られた3品がテーブルに置かれて、中華パーティーの始まりだ。
「スープはトマトの玉子の中華スープにしましたよ。」
これはいつものランチで出てくるスープカップに入って出てきた。
「次は肉シリーズ、鶏肉とカシューナッツの炒め、チンジャオロースですよ。」
これも大皿に盛られてて、美味そうだ。
「お次はシーフードでエビチリ、ホタテとイカの塩炒め。」
もうテーブルの上が料理の皿でいっぱいになってきてる。
「野菜も食べましょうね、八宝菜。そしてご飯ものは海鮮レタスチャーハン、これでパーティーメニュー完成です。もちろん食後のデザートは後で持ってきますよ。」
確かにランチメニュー出てくる料理だけど、こうやって盛り付けるだけでも、なんだかワクワクしてくるよね。
女子チームは相変わらずの盛り上がりで、食堂が華やかで賑やかなパーティー会場になってる。 昔のオレだったら、こんなキャピキャピした場所には縁も無かったんだけど、今は普通に輪の中に居て、一緒に騒いでるんだから、オレのリア充っぷりったら、ものすごいよね。
姉さん、事件です・・・ってもういいか。
「さて、そろそろデザートですね。杏仁豆腐、ごま団子、マンゴープリンを作ってみましたよ。」
「うわぁー。美味しそー。」
デザートは別腹、女子チームが更に熱気を増した。
でも、オレはあまり甘いものは得意ではないので、杏仁豆腐とマンゴープリンを一口づつ、ごま団子を1個だけ食べて、大盛り上がり中の食堂を出て、部屋に戻った。
うん、皆でワイワイするのも楽しいけど、やっぱりこうして一人で部屋に居るのも好きなんだよ、オレ、そういう性格だもんな。
後は、睡魔が来るまでベッドでゴロゴロしながらゲームしてようっと。




