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こちとら命懸けてねぇんだわ。  作者: もち。
西の国とのつきあい方
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そんなわけで少々祭壇から北側に進んだところにある広場にテントを張り、クッション出してリラックスモード全開にして転がりながら鑑定をすることにした。

大体何があっても横になっていれば怪我することもなかろうという理由からだ。

ころころしながらお互いの柳緑色のその目を鑑定したなら、脳の奥からぶわりと情報が湧き上がってくるような感覚がした。

これまで鑑定をしても、こんな感覚にはならなかったが……つまり、情報量が多いのだろうか。

チカチカと瞬く視界に吐き気を催すが、湧き上がる情報は途切れずに叩きつけられていく。

魔力操作の仕方。龍脈への添わせ方。視点の浮上の仕方。加護の効率的な広げ方。

知りたいことは確かにガンガン入っては来るが、速い。ペースが速い。ちょっと落ち着け。

別にこちとらそんな頭の良い天才肌とかではないので、情報を精査する時間くらい与えて欲しい。


「……うぅ、ぷ。きもちわるい」

「無慈悲すぎぃ……」

一通りの情報が弾き出されたなら残るのは情報過多による脳の疲労と気持ち悪さで、お互い口元を抑えつつ仰向けに姿勢を変えながら深呼吸した。

いや、転がっててよかった。こういう展開にも慣れてきたなと感じるが、それがまたむかつくことこの上ない。

「あー……でも何となく解った……気がする」

「でも結局、場所をリンクしてその情景を見るには相当魔力と集中力いるよねぇ……」

龍脈に魔力乗せて移動したあげく加護を撒いた所のみ視認可能とか。クソですわ。

「まー……魔力鍛えるついでにちと試してみて、それでも見つかんねぇならやっぱ地道に足で探すっきゃねぇか」

「もしくは相手のアクション待ちな」

「待ちの場合、神殿先に済ませられるかねぇ?また何かあっても嫌だがよ」

「それな。……面倒くっさ」

心の底から零れ出た愚痴である。許せ。

というか、そもそも私達を誘拐してどうしたいのか。そこが解らん。あの汚い鱗の正体も解らん。

これを解らんまま放置して後からもっと面倒なことになったらと思うと、放置するという手は取れないのが難点だ。


「じゃあ次は家族会議か……」

はぁ、と。絞り出すような重い息を吐き出しながら億劫にそう呟く海の言葉に頷きを返す。

「テレワークみたいで急に仕事感出るよね」

「お前テレワークしたことねぇくせに」

言うなよ。そう言う事。気分だよ気分。

スマホを取り出して、充電チェック。

「俺の方が充電ある感じ?じゃ俺ので掛けるわ」

「あいよ。お願い」

とりあえず家に居そうな母にコールする模様。

画面をタップしてスピーカーに切り替えたなら呼び出し音が何度か繰り返され、プ、と音が途切れたなら、

『もしもしー』

気の抜けた母の声が電話越しに聞こえて来た。

ちょっと声聞くのも久しぶりに感じるな。ホームシック加速するなこれ。やばい。

「はいはい俺等ですお元気?」

『オレオレ詐欺みたいねそれ』

「家族しか繋がらねぇのに詐欺れるかよ」

「それな」

『んふふ、冗談よー。それで、スキルの話だったわね』

事前にメッセージでやりとりをしているだけあって話が速くて大変ありがたい。

そもそもが、スキルをインストールしたところで変容とはあまり関係がないという事も解ったのなら、自衛手段を増やしていくのは目下必要だろう。

「それそれ。ついでに発展形スキルも何か増えてねぇかなって思って」

スタンとか森出る時死ぬほど連打したし、新しい発展形が出来てたら最高なんじゃないだろうか。

あと何だかんだでスメルレスもしょっちゅう使っているし、クリエイト系も水と火はしょっちゅう使うので期待大。

あと結界な。ほぼ毎日使っていればこれもいい加減何かしらの発展が見込めたりしないだろうか。

「あと留守の間に何かインストールしてる?時々なんかもぞっとするのもしかしてそっちで何かしてる?」

『ええー、してないわよそんなに。えっとねぇ……クリーンが発展してたからそれでしょ?それから、結界も。んでもって、薬魔コンプリートしたのとー』

「待って!待って!薬魔コンプリートって何!南15kmと北20km攻略したってこと!?」

いきなり情報多くない?あとクリーン発展したら何ができんの?もしかして生物にも掛けられるようになったとかそんなことがあるの?

結界のランクアップは是非とも教えて置いてくれよ。メッセージぶっこむだけでもいいから。日々よもやま話を送って来ているくせ何故にそう言う大事なことを放置するのかなこの人は。

『したわよー。結界を発展させたら範囲が広くなるじゃない?あとはトンネルみたいにつなげてこう、ずずいっと』

「じゃない?じゃねぇんだわ。知らねぇんだわ」

『縦横比も選べるのよ!トンネルみたいな結界作れちゃうの。でもしらたまが居るからお泊りはできないし、日帰り範囲しかいけてないのよねぇ』

すげぇ便利になってるの教えておいてよ!

『だからショッピングもコンプリートしたわよー。百均やっぱり便利よねぇ。ポーションの容器に困ってたのよー』

作り過ぎでは。消費間に合わないんだからそろそろ自重すべきでは。

『そう言えばショッピングコンプリートしたら今度は大型複合店が現れたわ。どうしようか迷ってるのよねぇ』

自宅すげぇ楽しいことになってない?やりたい放題では?

「あ、少なくともレベルポイント1500は残しておいてくださいお願いします」

『いきなり敬語ウケるー』

ウケてんじゃねぇわ。あと割とガンガンインストールしてやがる。なんてこった。

「そういや親父は?」

不意に、海がそう訊ねた。

『畑にいるわよー』

「不参加かよ。かわいい子供達が出張先から連絡入れてるっつーのに」

それな。全く持ってそれな。

『電話来てるの知らないからー』

「教えてあげてよぉぉっ!」

無慈悲かよぉ!

アンタほんとそういうところだからな!


ぎゃーぎゃー言いながらも現状把握することに努めた結果、クリーンの発展形はチョイス・クリーンとやらで、生物には相変わらず掛けられないが、視界範囲内の任意対象に一気に掛けることができるそうだ。ただ、消費魔力が20と元来の20倍なわけで、余程こまごまとしたものをクリーンするなら面倒がなくていいだろうが、そうでもないなら一つ一つクリーンした方が魔力は節約できるだろう。

食器洗いや洗濯に便利だと言っていた。なによりです。

結界の発展形はカスタム結界という何だか自由度の高そうなお名前であらっしゃる。

普通に縦横比を考慮せずに張れば四畳半の結界が張れるそうです。……何、その半って。四畳じゃだめなんですか?は?微妙なお部屋サイズなのマジなんなの。畳四枚半連ねたような結界を張って繋げてトンネル作って南と北を攻略したらしい。消費魔力は倍の100であるそうだが、母の魔力がポーション作りで相当やばいことになっているらしく往復余裕とかぬかしてやがった。

……こわぁ。

残るはスタンの発展形。こちらもカスタムスタン。

なんか、エリアスタンの発生ポイントを任意で選べるらしいです、よ?自分中心にしかできなかったこれが、あいつ軸にエリアスタンえーいってできるそうです。

……いや、それ昨日欲しかったわー。マジ教えておいてほしかったわー。しかもエリアも結界と同じく広がっているらしくこちらは半径7mに広がっている。直径14mで任意ポイントに中心点置けるって相当有能では……?可能性が広がる。消費魔力は一回70。成る程そこそこ。

あとはショッピングが全開放されているという事はガソリンの給油はできるわけだ。

法律上ガソリンの携行缶での持ち運びは許されていないが、ここは異世界だし多少は許されるだろうか。応相談。

あとはサイクルショップも解放されているなら帰ったらチャリを買おう。そうしよう。とは言え、結局800kmもチャリで移動しろよとか言われたら泣くけど。号泣するけど。

そういうの想定してないんでホントやめて下さい。

走れそうな所は車で、駄目そうなところはチャリで、みたいに使い分けできればいいと思う。


「あ、そういや龍の眼鑑定したら使い方解るのでお知らせ。でも情報量多くて気持ち悪くなるから転がってやってね」

『えー。気持ち悪いの?それしなきゃだめ?』

「不測の事態に対応するなら必要だと思う。と言うか、これなかったら多分積んでたんだよねぇ」

『……また何かあったの?』

電話から聞こえる声がワントーン下がった。

そう言えば昨日の出来事を報告してないなぁ、と思ったなら何の脈絡もなく唐突にスキルの話を持ち出したことになるな?と。

「昨日神殿行こうとしたら海が誘拐されたんだよねぇ」

「人生初誘拐。海くんびっくり」

『はぁあぁぁぁぁ!?うちの子に何してんのよどこの馬鹿よ!』

キィィンとスピーカーがハウリングを起こす程の大声量での怒髪天である。わかるー。

「そのどこかの馬鹿の正体が解らんので未だにひっぱたけていない。故に、スキルで少々自衛手段を増やそうと思った次第ですん」

「あとできれば、もし他人巻き込んでもその人込みで何とかできるようなスキルほしいんだけど。流石に自分より体格のいい野郎を抱えて移動はできねぇし」

『何でかい声だしてんだ外まで聞こえたぞ。って、電話?あれ?空?海?』

「あ、親父だー。おかえりー」

「おかえりー」

『おー、ただいまー。電話してんなら呼んでくれりゃいいだろうがよ』

『それどころじゃないわ!うちの子の安全のためにスキルインストールしなくちゃ』

『ええ……何……』

凄い戸惑った声で親父が置き去りにされている件について。

話題に乗り遅れるとそうなるよね……。

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