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猫イモウト  作者: 須羽ヴィオラ
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第六章 ネコモリサマ #5

 恩返しの三つの願い。


 そうだ、大事な事を忘れていた。

 翠を人間に戻して貰うために、ネコモリサマを探してたんだっけ。


 私はネコモリサマの方を向いて、正座のまま姿勢を正す。

「ネコモリサマ。ネコモリサマ。私の願いは、たった一つです。翠を人間に戻して

下さい。猫になった妹の翠を、元の人間に戻してやって下さい」

 へっ。

 ネコモリサマが、間の抜けた返事をする。

「すまんのう。願いの意味が、わからんかった。もう、一度言ってくれるか」

「何度だって言います。翠を元に戻して下さい。翠を人間に戻して下さい」

「えー!!! …と、それは…。最初の願いを無しにするって意味かの?」

「そうです。最初の願いを無しにして欲しいってことです!!」

「あらまあ、それは…」

「あらまあ、それは?」

「それは、ちと…」

「それは、ちと? まさか、出来ないんですか? ネコモリサマなのに?」

「いや、そんな事はないんじゃが…。なんか、他のお願いにならんかの?」

「他のお願いなんてありません。翠を戻してください。出来ないんですか?」


 私をはぐらかそうとしてるのか、ネコモリサマの答弁が段々と怪しくなる。

「ひょっとして、本当に翠を人間に戻せないですか」

「いや…、そんな事は…ない。…ぞよ」

 断言の言葉を吐きながら、視線はあらぬ方向を向いている。

「それなら、今すぐ…」

「それがの、それは…、ちと条件が要るんじゃ」


「条件?」

「そう。叶えてしまった願いの取り消しには、条件が要る」

「どんな?」


 えーと、それは。

 と言いながら、ネコモリサマが私の周りをソワソワと歩き始める。

 絶対、いまその条件てのを考えてるよね…。


「うほん。条件は決まった」

 とネコモリサマが改まった顔で私を見る。

「なんですか、条件って?」

 私の質問に対して、ネコモリサマがネヘヘと嫌な笑い顔を作る。

「それはの…、儂の隠れ家を見つける事じゃよ」

「隠れ家? 隠れ家って何ですか?」

「それを言ったら、探す意味が無くなるじゃろうが。これから、24時間以内に、

儂の隠れ家を探し出すこと。それが、最初の願いを取り消す条件じゃ」

「24時間以内。そんな…、大体、どこなんですが隠れ家って?」

「それを探すのが条件じゃよぉ」

「そんな…。全然、見当もつかない…。なにかヒントとかは?」

「ヒント…。そうじゃのう…。儂が、むかし住んでおった所に入り口がある」

「えぇっ!? それじゃ、ヒントにも何もなってないじゃないですか」

「フフフ。ちゃんとヒントになっておるんじゃよ。じゃーねー」

 そう言うと、ネコモリサマは前足を片方挙げて、バイバイの仕草をした。

 自信たっぷりにニヤついているその顔が憎たらしい。

 と、見る間にネコモリサマの姿がぼやけていく。

 私の周りの真っ白い世界の景色も霞んでいく。


 あっ、ちょっと待って!

 そう思って、右手をネコモリサマの方に差し出した。

 そこで、意識が無くなった。

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