#47 最終話・夜明け
ズタボロの体で帰還した白瀬は瞬く間に指揮権を掌握、そこに「連合」の応援も加わり、
一大勢力となって街を狩人たちから取り戻していく。
その過程で多くの争いがあったが、それはここで語るべき事ではない。
ともかく、白瀬は獅子吼を追い詰めた。
無数の狩人化した群衆をかき分け、積み上げた官僚達の首の山の上に立つ獅子吼と向き合った。
「やあ、遅かったじゃあないか。白瀬。そろそろ来る頃だと思っていたぞ。
何か言いたげだな。言うが良い」
獅子吼は屍の山の上で斧を突き立て、白瀬は夜明けの赤い光を背に雷光警棒を突きつけている。
「なぜ待てなかった。こうなることは解っていたはずだ。わずか3日信じる事ができんほど、私は頼りなかったのか」
獅子吼は血にまみれた頬をぬぐい、その甘い匂いを大きく吸ってからため息と共に言葉を吐いた。
「いいや、お前が来るだろう事は信じていた。お前を待って、無血革命をしてもよかった。
だが、知っての通り我々は血に酔っていてな。それに、革命など結局殺すしかない。お前の考えは違うだろうが。
まあいい、我々は成すべき事を成した。我々の狩りは成就したのだ。
もとより狩人の国など、考えておらん。穢れのない王冠をくれてやる。
後は嫌われ者の幕引きだ。捕らえて見せろよ、警察官」
白瀬は苦々しい顔で獅子吼をにらむ。
侮られ、施されたのだ。それは獅子吼は白瀬を守るべきものとしか見ておらず、頼ることも腹を割ることもなかったということだ。
結局、白瀬は信頼を得るには時間が足りなすぎたのだ。
「……そうか。事ここに至ってはお前の策に乗るより他にない。
与えられた玉座であれ、それが私の義務を果たすことならば是非もない。
獅子吼竜也、お前を内乱罪で逮捕する」
そこからの戦いは、伝説と語られるべきものだった。
白瀬の雷は天を割り地を裂き。創世法は荒れ狂う。
それを獅子吼はただ己の肉体と積み上げた技術、そして集めに集めたアイテムで乗り切った。
人を超えた剣と、人の極地の斧。
それがぶつかり合った。
果たして結果は……
「俺の、負けか」
「私の勝ちだ」
獅子吼の手には手錠がかかっていた。白瀬が勝ったのだ。
血濡れの闇の騎士は敗北し、光の騎士が戴冠する。
それは夜明けにふさわしく、輝かしくもどこか虚しい結末だった。
■
ああ、それからどうなったって?
どうにもなんねえよ……白瀬は結局いろいろあって内閣入りして身内で政治を立て直した。
まあ、庶民は減税やらでずいぶん助かったけどな。
血盟は解体、生き残りは未だにダンジョンの中に潜伏してるとか、あるいはさらに奥に行って異世界や宇宙へ逃げたとか。
同盟と連合や他の退魔師組織は結局、退魔師組合ってデカい組織の一セクションになった。
退魔特例法で特別公務員になってな。
結局、悪い奴らはみんなこの世から退場、住みやすくなってめでたしめでたしだ。
みんな元鞘にあっけなく戻って、世は事もなしってなもんだな。
そのために大勢死んだし、大勢人生狂ったけどな。俺もめちゃくちゃ忙しかった。
でも、時代の荒波ってな、そういうもんだろ。
今回も、なんとか乗り切った。これからも続く。
それで、この話は終わりだ。今の所はな。
またいつか、どこかで出会ったら、話の続きをさせてくれよ。




