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022:中の人はレンゲ畑でひたすら蜜を吸ってました

 アンジュの強制労働……もとい努力の結果、エアリオのせいで瘴気に汚染されたエリアを一通り回復できた。


「でも、雑草どころか雑木すら全部炭化しちゃったし、こんな不毛な土地を牧場として使えるようになるのかなぁ……」


 俺が不安そうに眺めていると、クローが俺の肩の上に登ってきた。


『なあに、ここで大魔法使いの出番にゃりよ~?』


 そう言うとクローは『花よ花よ……以下略っ! グロー!!』と魔法を唱え、辺りがレンゲの花でいっぱいになった。


「おおすげえ! なるほど、根粒菌の窒素固定かぁ。考えたな!」


『君が何を言っているか分からないけど、レンゲを植えると土地が肥えるにゃりね』


 異世界でまさかレンゲ畑を見ることになるとはなぁ。

 でも、紫一色に染まった大地を見つめて感激している俺の横で、同じ髪色の少女がちょっと残念そうな表情になっていた。


「メリーザはレンゲ畑が嫌いなの?」


『いいえ! とても綺麗な光景だと思いますわ。……でも、本当は私(わたくし)も貴方様をお手伝いしたいのに、あそこでションボリしてるバカ以上に呪殺系スキルしか使えませんの……。お力になれず申し訳ありません』


「いやいや、その気持ちだけで十分だよ」


 俺は、シュンとなっているメリーザの頭をぽんぽんっと撫でた。

 でも、エアリオをしれっとバカ呼ばわりしたのはどうかと思うよ?


「さーて、残りをどうするかね~」


 まだ未開拓の荒れ地がぼちぼち残っているのだけど、さすがにもう一回エアリオにジェノサイドバーストを使ってくれとは言えないし、魔力が尽きてグッタリしているアンジュを再び鞭打って強制労働させるのは、いくらなんでも可哀想だ。


 そこで俺は、久しぶりにシステムコンソールのスキルウインドウを開いた。

 以前試した時はヒールが使えたのだから、きっと炎系で雑木を焼き払ったり、風系で草刈りも出来るはず。


 そんな期待を込めて、スキル一覧を属性別に表示してみた。



<火属性>

フレア

メテオ

神の炎

ファイアピラー



<風属性>

ウインドオブデス

ナイツオブウインド

風破滅殺陣

エアデストロイヤー



 えーっと、何だかスキル名がおかしくない?

 メラとかバギみたいな控えめな名前のスキル名が全く見当たらないんですけど……。


 特に『神の炎』なんて、備考欄に『危険! 消費HP9999、消費MP9999』とか書いてあるし、術者が死ぬトンデモ感が酷い。

 ウサギさん助けて死んだ後に、牧場の雑木を焼こうとして死のうものなら、今度こそ金髪の女神様に有無を言わさず強制送還されかねない。


「アンジュよーい」


『んぃ~~、もう何も出ないよぅ~~』


「いんや、ちょいとシステムコンソールを見てもらいたいだけだよ」


 かくかくしかじか。


『なるほどねぇ。でも、スキル名を見た感じ、ファイアピラーはショボそうじゃない? 管理者がデバッグ用に強スキルばっか並べたものの使い勝手がイマイチ悪くて、弱スキルを後から入れておいた感があるよ』


 言われてみれば確かに……。


 フレア、メテオ、と見るからに強そうなスキル名が並んでて、その後にファイア的なスキルがいきなり書かれているのだから、アンジュの言うことも一理ある。


「んじゃ久々の魔法スキル行くぜっ!」


 だが俺はひとつ大切なコトを忘れていた。


「ファイアピラー!」


 この転生システムを組んだヤツが、とんだクソ野郎だと言うコトを。



 ドガアアアアアアアアアアアアアアァァァァッッッッッ!!!



『うにゃにゃにゃっ!?』

 バシャーンッ!


 確かに名前の通り、火柱だった。

 ただ、その威力は想像を遥かに上回り、天を貫く程に高く吹き上がった。


 しかも、その衝撃に驚いたクローが飛び起きた拍子に近くの池へ転がり落ちてしまい、慌てて救出しようとしたリーリアまで池に落ちる二次災害が発生していた。


『おのれネブラめ、よくも二人をあんな目にっ!!』


 北西の方角を睨むアンジュを放っておいて、俺は呆然と火柱を眺めていた。

 しばらくして火柱が治まると……あれ?


「なんか水が吹き出てね?」


『いや、湯気も見えるような……?』


 俺とアンジュは顔を見合わせた。



◇◇



 というわけで、フォレス村には聖泉に続いて温泉が誕生してしまった。

 広大な美しいレンゲ畑の横には風情のある温泉……。

 こんな絶景は世界中を探してもなかなか見つかるまい。


 滅び行く寂れた村が一転して一大観光地になりそうで、牧場経営と温泉宿オーナーの二足の草鞋(わらじ)で笑いが止まらないレスタさんからたっぷりと謝礼も頂き、俺としても大変満足度の高いクエストになった。


 そして、次のフラグNo.08の内容を確認しようと、システムコンソールを開いた俺の目に、思わぬモノが映った。



No.07 マンドラゴラでフォレス村を救え! CLEAR (Rank:SSS)



「なんかフラグNo.07にトリプルSランク付いてるっ!!!」


 なるほど! 本来想定する以上にスコアを高めると、フラグ回収の評価がアップするんだなっ。


 ……ウズウズ!

 ……ウズウズウズウズッ!!

 

『SSSコンプリート目指すのは私が天界帰った後でやってね』


 くそぅ! 釘刺された!!



Next FLAG ..

No.08 スタックの街を救え!

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