合流
ザクスは別の穴の人たちの話をし、合流の相談もしたにもかかわらず、発見した穴の周辺を探索することを優先した。食料の問題に気が付いてしまったので、単純に人を移動して集めるだけでいいというわけではないこともあって、何かいい方法がないか探す。ザクスは探索で食べられる物や使える草花を確認する。数日かけて範囲を広げる。どちらがいいかは判断できなかったので人を集めることにしようと考える。
「人を十数人連れてきたいのですがかまわないでしょうか?」
「十数人も連れてくるのですか!?」
ザクスはここで主に話をしていた女性のハンナが集団の長と思っているが、実際はこの集団の長はいなかった。ただ、意見を伝えると取りまとめてくれるのでお世話になっていた。その彼女に驚かれたが、寝泊りするには問題なさそうだった。それにまだ、拡張できるらしい。拡張に役立つ魔法を使える人がいることがわかる。彼女には言い分があった。人を招くことでいつも争いや問題が生じるらしい。ザクスはそんなことが起きるとは思っていなかったので、考えさせられる。
ザクスは思う。力が無いと生きられない。それはこれまでよく感じていた真実。1人では弱い。特に魔物に対しては人間では抗することは容易ではない。複数の意見をまとめることで解決策を得ることができる。集団でいることの強みを軍で学んだ。ザクスは集団でいることに耐性が無い。いや、ザクスの性質が集団でいることに順応できない。ザクスはこの矛盾によく苦しめられる。しかし、自分が順応できないだけで、必要性は理解している。このような環境では集めることが重要だと。
問題は魔族の声がザクス宛に届くことである。ザクスあてに届くということはザクスは見られているという事である。見られているなら、遊びの矛先が、ザクス以外に向かないとは限らない。しかし、その問題には気が付いていない。ザクスは知恵を出さないといけないとだけ感じている。どちらの穴でも一つの穴ではどうするべきか決められなかったので、考えるために集めてみようという事である。
ザクスが考えていることを説明すると、ザクスの考えにハンナは驚いていたが、ザクスの希望を聞いて納得して、合流することを受け入れてくれた。そして、もう一つの穴を往復することを話して、ハンナのいる穴を出ていく。
ザクスは数日の移動を経て、メッツ達のいた穴に戻る。
「ザクス、死んだものだと思っていた」
「もう一つの集団を見つけまして」
「そうかやはり見つけたのか。そちらはどうだった?」
「向こうは外に出て食料を取ってくる人が居ました。それで辛うじて生きているという感じです」
「どこも同じか……で、どうするのだ」
「それで、お願いがあってきました」
ザクスはメッツにハンナに話したことと同じようにそして少し詳しく話す。ザクスも人なので、一度話したこと、そして移動に時間があったこともあって整理することができたので、ハンナに話した時よりはスムーズに話すことができた。するとメッツは穴の皆と話した。ハンナの心配についてももっともだと納得したうえで、問題となるのが、食料と、移動についてだった。
移動の問題はいろいろと深刻だった。まず、体力がないこと。まともに食事をとっていないので体が動かない。次に魔物。まともに動けないのにどうやって戦うのか。と言うことに尽きた。ザクスは魔物との戦闘にはならないようにすること、移動中の食料については心当たりがあることを説明したが、すぐには納得してもらえなかった。その他数日を使い、何人かと穴の外を移動し、魔物との遭遇がないことを立証する必要があった。それによって、ザクスはなんとか移動することの問題を解決する。そして移動する。移動時にはザクスはリーダーのように振る舞い、数日の移動を魔物との戦闘無しで実際に行った。そして、無事に合流することができた。




