表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザコの僕には無理だと思うのですが  作者: 柚穐
1章 少年期
8/583

流行り病

ローレム村は魔物の襲撃を受けた。


そして被害を受けたが、治療魔術を使用できるものと村や個人に蓄えられていた傷薬や薬草により、何とか混乱は収束するかのように見えた。


しかし、魔物が村を去ってから、2日後に数名の者が突然倒れ、発熱し、嘔吐し、苦しみ始めた。


村の治療施設に搬入され手当てを行っていたものは『何かが始まった』と感じたが、何が起きているのか理解できなかった。そして、熱や嘔吐の症状を抑えようと薬を煎じ、苦しみを和らげようと治癒魔法を使用する。症状や苦しみを軽減することはできたが、回復に向かっているようには見えなかった。


村人が病?で倒れた者が治療施設に運び込まれ始める。1日目は魔物に襲われ、一命を取り留めた者だけであったため、魔物に接触したことによって、毒でも受けたのかと皆に思われる。


2日目になると、魔物の襲撃も受けておらず、魔物の影も見ていない者まで、同じ症状で運び込まれるようになる。そして、時間がたつにごとに同じ症状を訴える村人の数は増えていった。


始めは魔物による毒が直接の原因であると考えており、解決策を調べていたが、魔物被害にあってない人までが、同じ症状になる様子から、毒ではなく病原体でもまかれたか、魔物とは関係なく病気がやってきて感染したかのどちらかだと考えるようになった。


そして、3日目にはザクスの周りでも発病者が出てきた。

隣の家の年の近い女の子 アニタ。

ザクスの母親 カリナ。

向かいの家のおじさん テラト。


ザクスにとって無視できない状況になっていることに気が付いたが、どうしていいかわからない。誰に頼るべきなのか。常日頃から、草原や森で採取し、作成していた解熱薬や鎮痛薬、嘔吐を抑える薬は村の治療施設にわたるようにしたのだが、回復したどころか、回復に向かっているという話も聞かない。


4日目、遂に死者が出た。1日目に運ばれてきたものの中で、一番症状が悪かったものが息を引き取った。始めのほうに発症したものではなく、1日目の日が暮れてから運び込まれた人だった。


ザクスは草花について教えてくれた年配のおばあさんや、おじいさんを訪れ、今起きている病気について、何か知らないか尋ねた。しかし、誰も知っている人はいなかった。


5日目、さらに死者が増えたが、1日目に運ばれてきたものだけでなく、2日目に運ばれてきた者からの報告もあった。順番で亡くなっているわけではなかった。また、昨日訪れた年配のおばあさんの一人も倒れたと聞いた。


ザクスは魔物の襲撃から今までの7日間は村の外に出ることを控えていた。最後に村の外に行ったのは魔物の襲撃5日前だった。12日ぶりに村の外に出ることになる。いつもは3~8日に1度は村の外で遊んでいたので、いつもと比べて考えると久しぶりのような気になった。


秘密の抜け出し口を使い、外に出る前に近くに魔物がいないことを確認し、少し緊張しながら、そっと村を抜けだした。


「村の人は何も知らなかったけどデロさんなら何か知っているかもしれない」


いつも以上に気を使って、気配を消すようにしながら、走った。しかし、いつもとは心の状態が異なるし、いつもは歩いて行動するのに対して、走ってしまっていたため、時々ザクスの視界に魔物が入って(結構遠方だが)、ヒヤッとして足を止め、木の陰に隠れ、魔物が通り過ぎるのを待ったり、遠回りしたりしたため、余計時間がかかっているんじゃないかと思ったりもした。


現在のザクスには心に余裕がなかった。

母のカリナが倒れて3日目になる。

早ければ明日には死ぬかもしれない。

同じようによくしてくれていた向かいのテラトさんや隣の幼馴染のアニタも同じだった。

アニタは村でもきれいな方で、一番ではないが、人気もあり、女の子のグループを作るときの中心のほうにいた。しかし、一人でいるときはザクスに対して優しくしてくれ、心配もしてくれた。2~3数年前までは一緒に遊んでくれていたこともあった。ただし、周りの女の子もザクスをザコと蔑み遠ざけるので、女の子グループと一緒にいるときは近づかないようにしていたが、ふと目が合うと苦笑しているような照れ笑いしているような笑顔を返してくれて、可愛いなと思って凝視してしまい、周りの女子に目をつけられて、攻撃を受けることはよくあることだった。そして、アニタはやんわりと僕をかばおうと周りの子達の行動を諫めようとしており、その度に周りの女の子たちはアニタに


「アニタは美人で可愛いんだから、ザコになんかかまってたら女の子としての品や質が落ちる。相手にしたらだめよ!」


とか言われているのを何度も耳にした。そんな関係があるのでザクスにとってはアニタの病気も放置できるものではなかった。昨日は、アニタが一緒にいる女の子グループの子にも1人発病者が出ている事を耳にしていた。


ざまあみろという感じがしないでもないが、身近な人が死ぬかもしれないというのは心の余裕を削るには十分である。


どうにかして、デロの小屋にたどり着き、息を切らしていたが、周りに魔物がいないことを確認してから、蔦の葉にキスをして、その葉っぱを拍手をするようにして叩いた。


扉が開き、ザクスはデロがいる部屋に急いだ。部屋の前につくとノックをする。


「ザクス、よく来たね。何かあったのかい?」


と、何かを察してくれた。すると、魔法でもかかったかのように、魔物の襲撃から、現在の病気の蔓延までの経緯を矢継ぎ早に話した。


「その特徴にあう魔物はガルフレイムだねぇ。この周りには生息していないはずなんだが、連れてこられたか、転移してきたか」


と教えてくれた。ローレム村の周りの魔物もほかの地域に比べると強いし、森に入るともっと強くて危険な魔物であふれているが、デロが言うガルフレイムはそれらの魔物よりも強いらしい。


ガルフレイムの特徴は、毒の息を吐き、体からは病原菌を撒き、尾の炎で焼き尽くす、すごく危険な種類の魔物で、普通は集団で行動し、ガルフレイムの集団に襲われたら、数万人規模の死者が普通に出るらしい。


ガルフレイムがばらまく病原菌が今回の症状の原因だった。空気感染する。


そして、ザクス自身も感染していた。

デロに診断してもらったところ症状が出ていないだけで、病原菌持ちだった。

デロに発病抑止の薬をもらいその場で飲んだ。デロも飲んでいた。

話を聞くと、この森に発病抑止の薬となる草があり、その花が、症状回復の薬になるらしい。

しかし、デロが知っているその草が生えているところは大人の足で、魔物と戦いつつ進んで1~2日奥に入った場所にあるらしい。


デロに記憶転写の魔法をかけてもらい、デロが知っているその草花の情報を受け取ったザクスは急いで、その草花のある場所に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1章、2章のサイドストーリーが別のページに存在します。
時間があるなら、ご覧ください。
ザコの僕には無理だと思うのですが1章~サイドストーリ~
ザコの僕には無理だと思うのですが2章~サイドストーリ~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ