下世話な展開と周りの考え
ザクスは司令部を退室した後、軍務情報局に移動し、ザクスの上司のブレム・ハット・デンゼル男爵に明日、私用を行うため局に来ないことを伝えた。
「あの、デンゼル男爵。明日、私用でこちらの業務を休ませていただきたいのですが」
「休みか、アルダーシュ君。ザクス君の休みについて何か心当たりはあるか?」
「ザクスの休みですか。あれではないでしょうか。5人の」
「なるほど、5人の件か。わかった。ザクス君、休みを許可しよう」
「5人の件って何でしょう。なんか皆さん知っているのに私だけ理解ができていないのですが」
「5人の件は、5人の件だろう。なぁ、アルダーシュ君」
「アルダーシュ先輩、どういう事でしょうか」
「5人の件というのは、ザクス、お前のところに一緒に住んでる5人がいるだろ?」
「はい、います」
「そして、お前と5人の誰かとの関係が進展したら、休みが必要なるだろうと皆が考えていたんだよ」
「関係が進展したら……。皆がそういう認識だったんですか?」
ザクスがそういうと周りの皆が頷いた。当然ザクスと別の上司に管理されている人もその上の上司もさらに上の上司も含めて頷いていた。
「もしかして、皆で僕がいつ休むか賭けたりしてないですよね」
アルダーシュ先輩がザクスの質問に答える。
「ザクス。こんな面白いことを賭けの対象にしないわけないだろう。他にザクスが始めは誰とするかも賭けているぞ。誰としたんだ?」
「だ、誰ともしていません。一緒に住む5人に関係する事で休むのはあってますが、国からの命令です!」
「なっ!?そこまでヘタレだったのか。これでは『ザクスは誰ともしない』にかけたものの勝ちになるのか」
「ヘタレとか。まあそれでいいですがこの件はこれでいいですか?」
「いや、まだだ。国からの命令とか言ってたな?しないといけなくなったんじゃないのか?誰からするとかもう決まっているのか?」
「なんでそんなことを言わないといけないんですか!!先輩には関係ないでしょう!?」
「関係ないわけないだろう。賭けるためその辺は重要だ!!」
「言いませんよ。そんなこと」
とザクスは打ち切って、自分の作業に戻った。作業が終わって、軍宿舎に戻ると夕食ができていた。
「あの、皆聞いてほしいんだが、今日、国からの命令を受けたんだ」
「どんな命令~?」
とリスタが聞いた。
「主従契約……についての命令……です」
「……命令されましたか。どんな命令ですか」
ハナカが続ける。
「指示書によれば、僕の意思とは関係なく、希望する全員と主従契約を結ぶように書かれています。なので聞きますけど僕と主従契約を結びたくない人」
と言ってザクスは手を挙げる。そして少し待つが、5人ともザクスを見るだけで誰も手を挙げなかった。
「では、僕との主従契約を希望する人」
ザクスが言うとスッと5人皆が手を挙げた。
「皆、希望するんですか!?本当に僕と主従契約したいのですか!?」
「まぁ、始めから5人中4人は無条件でザクスさんと主従契約を結ぶつもりでここに来たのですし、クー姉はザクスさんを見てから決めると言っていましたが、1ヶ月経つころには主従契約についてはクー姉もしたいと言ってました。逆に、3ヶ月も引っ張ったことが私たちの失態なのです」
「パティ、失態って……」
「パテちゃんの言う通り。うちは1ヶ月経たないうちに落とすつもりだった。落とせると思ってた」
「ハナ、落とせるって」
「3人がかりで落とせなかったんだよね~。私達の容姿や内面両方のプライドも結構傷ついてます」
「リスの言うようにザクス様は鉄壁だったみたいですね。わたしは参加しませんでしたけど。同じ趣味があるので仲良くしたかったのですが、わたしと一緒に鉢植えの手入れしていただけませんでしたし」
「なんか、あたいらを避けてたみたいには感じたな」
「うー。だって僕は村に帰りたかったから」
「まだ言ってるし。そろそろ現実見て新しい目標と夢を模索する時期だよ。わたしたちが十分に慰めてあげるから。いつでも胸も体も求める者はなんでも貸すよ」
「リスタ。その件でも命令が。子供を作るか、その練習として希望するものと定期的に交わるように言われた」
「ここでも介入来ちゃいましたか」
「うちらでは動かせなかったという事。事実として受け止めて、それでも先に進めと言われている。交わるなんて遠回しに言ってるけどセックスしろってことでしょ」
「そうです。こんな僕の遺伝子残さなくても」
とザクスが言うとリスタが
「何悲観的になって、自分の当初の目標の一部をなかったことにしようとしてるの。子供作るのはザッ君の人生設計の中にあったでしょ。当然遺伝子は残すつもりだったのに、いろいろとパニック起こしてるじゃん。わたしはザッ君の子供産みたいしほしいから。何度もたくさん愛してね。初めてみた時はこの人でもいいやって感じだったけど。この3か月でいっぱいかっこいいところやいいところ見つけてザッ君がいいって思うようになったんだから」
「リスタ……」
「あたしも愛してほしいのです。子供産みたいですし。ザクスさんに引き取ってもらわなくても自分の子供育てたいので。立派なドワーフに育てるのです。そのためにはあたしにザクスさんに仕込んでもらわないと。それに少しでも早くできるだけ長く見守り育てたいのです」
「パティ……」
「ザクスとうちの間にできる子。すごく期待している。よろしくお願いします」
「ハナも……」
「ザクス様、わたしはあなたと絡み合うのは経験してみたい気がしますが、是非にと言うわけでもないですし、お任せしますわ」
「ディナ、その言い方だと、僕に選択権ないよ。してみたいって言っちゃってるし」
「聞いていいか。隊長は故郷に思い人もしくは約束した人がいるのか」
「クーさん。いいえ、特に僕が約束した人も、僕が思っている人もいるわけではないです。……」
「なら、そこまで必死になってるのは何で?あたいらのこと嫌いなのか?」
「いいえ、嫌いなんて、皆可愛く美しい方々だと。なんか僕なんかにはもったいないと言う、申し訳ない気はするのですが……」
「どうして?申し訳ないなんて思うんだ?」
「それは、弱いし、こんな性格だし、それほどかっこいいわけでもないし、本来埋もれるべき人材のはず。名前の通りザコだから。小物で、どうしようもないと自分で分かってるし……」
「はぁ、自己評価がグダグダだな。あたいらの隊長の評価と隊長の隊長自身の評価が天と地ほどの差があるぞ。隊長って自分が嫌いだったりするか?」
「えっ?自分が嫌い?自分のこと好きとか嫌いとか考えたことがなかった。う~ん。好きか嫌いかか」
ザクスは考え込む。初めての考え方に整理をつけようとする。
「き、嫌いなのかも」
「まずはそこだな」
「さすがは、クー姉。うちらでは見つけられなかった根幹の一部に触れてる気がする」
「あたいらの隊長の評価を知ってもらうところから始めるか」
と、クレスタは話をまとめるとザクスの問題の一部に切り込もうとしていくのだった。




