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ザコの僕には無理だと思うのですが  作者: 柚穐
2章 新兵
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優遇

ザクスは徴兵召集のために村の者達と共に転移騎士に連れられて、王都ストライベンへやってきた。

王都ストライベンは4重の城壁によって城が守られている。

一番内側の城壁の中には王と王族が住む城が存在する。

その外側の内側から2番目の城壁に守られた土地には貴族たちの邸宅が豪華に立ち並んでいる。

そして3番目の城壁との間には商業・工業地区が存在する。職人や商人が住み、店や工房が軒を連ねる。

そして1番外側の城壁の中には平民や農民などの一般国民の住居が存在する。


近くにはローレム村の森とは別のものではあるが、森や山、そして湖が存在するらしい。

まだ確認しに行っていない。

軍施設は商業・工業地区の一角に存在する。

ザクス達は転移騎士に連れられてその軍施設に向かった。

そして手続きを行い、自分たちの住む宿舎を案内の者に紹介される。

ザクスの部屋は一番最後に案内された。

案内では2人部屋で1人で住むという事だった。2人が訓練したり勉強したりできる最低限のスペースしかない部屋に次々に割り振られていく。

しかし、他の者達の部屋とザクスが案内された部屋は間取りや作りが明らかに違った。


同居人・ルームメイトがいて、共同生活を学ぶことも

徴兵訓練で重要な内容だと案内人の説明で教えられていたので最後にザクスに告げられたことは1人で住むと言われ驚く。


「あの、僕の部屋は2人部屋ですよね?」


「そうですよ。でも、2人以上で住んでも構わないですよ」


と案内の人は答えた。ザクスは首をかしげて質問を続ける。


「ルームメイトは後から来るのでしょうか?」


「ザクスさんと相部屋になるルームメイトの方は決められていません。

ザクスさんの行動次第でルームメイトはできますが、今は1人です」


「えっ!?徴兵訓練では共同生活による成長の場としての意味も含めて

複数人の相部屋が準備されているんですよね?」


「その通りです。そのための複数人の相部屋です」


「なのに、僕にはルームメイトがあてがわれないと…」


「そうなります」


「……どうしてか聞いていいですか?」


「ザクスさんはこの部屋の使用に関して特別なルールが適用されます」


と、どうにも納得できないザクスに対して、案内の人は説明を追加してきた。


「王国内で徴兵前に特別な戦果報告がある人に与えられる特権がこの部屋です。

この部屋は居住者が自分でルームシェアの相手をお探しいただくことになります。

相手の合意があれば、男性・女性どちらでも承認されます。

また、連れ込み部屋としてザクスさんが使うのも許可されます」


「ど、どうして、そんな事になってるのでしょうか?」


ザクスは唖然としながら続きを促す。


「ここに記載されているザクスさんの戦果の内容は、

災厄魔獣ガルフレイムの疫病の予防薬と特効薬の生成方法を世に広めるきっかけを作った。

『森の魔女』の住む場所の発見と案内。

怪鳥ゲルーに攫われた人々の救出。

となっています」


ザクスは驚いた。ローレム村では誰も知らないことが1つ自分の戦果になっていた。

また、『森の魔女』への案内したのは一部のものだけでそれが戦果になっているとは思ってもいなかった。


「だ、誰がその、戦果報告をしたのですか?」


「ここには書かれていないので分かりません」


しかし、思い当たる人物は限られている。

あのザクスをとことんまで追い込んで虐めてきた5人の冒険者

シンヤさん達しかいなかった。


「この特権について、どれくらいの人が貰えていますか?」


「ここ3年でザクスさん一人です。4年前には貴族の方が特権を受けていましたよ」


「なら、この特権を僕が持ってることを既に知っている人は何人居ますか?

できる限り、知られたくないです」


「今は、少数ですが、多分、あっという間に全員に知られると思います。

こんな場所では噂話が広まるのがすごく早いので」


「そ、そうなんですか」


ザクスはため息をついた。これからの2年間、僕には平穏は訪れないと理解した。


「他に質問がありますか?」


「この特権の取り消しはして貰うことが出来ますか」


「出来ないと思いますが、男性の同居人を見つけたら

普通の人と変わらなくなると思いますよ。多分」


「場所はこのままですよね……」


「そうです。多分別の噂が広まるでしょうね。男好きとか」


「やっぱり……」


ザクスは必死に考えた。


「特権取り消しの話は何処に持っていけばいいですか」


「軍の副指令の所だと思います。

前例がありませんし、たぶん無理だと思いますが、特権を放棄したいのですか?」


「村人には分不相応な特権なのでいらないです」


「そうですか。もったいない……

他にありますか?」


「ありません」


「それでは、私は失礼しますね」


「ありがとうございました」


ザクスは荷物を置いて、部屋を見渡す。


他の者達の部屋の間取りは案内されているときに覘いたので、知っている。

普通は個人用の学習机が窓側か壁側に存在し、寝床は村人や一般人は2段や3段のベッド、貴族用のは個別のシングルベッドが2つ部屋に存在した。そして、軍宿舎共同の浴場、厠、洗面所を使用することになっている。


しかし、今ザクスがいる部屋や明らかにおかしい。個人用の学習机が存在しない。広いスペースに少し大きめのテーブルが一つあり、そこに椅子が複数ある。他の部屋には存在しないものだった。そして、ベッドはダブルより大きなサイズの物が一つ部屋の奥に存在する。それに付け加えて、何もない空間があまりにも広い…空いている空間に同じベッドが4~5個配置できそうなくらいの空きスペースがある。この部屋は更に1人用の浴室、厠、洗面所があった。また、クローゼットは…ウォークインで、ザクスが村に住んでいた時の実家のリビング・ダイニング・キッチンをまとめた広さよりも広く感じた。そして、そのクローゼットの奥に小部屋が…

貴族様が執事かメイドを一人住まわせることができそうな部屋が一つ存在した。


ザクスは自分に割り当てられた部屋を一通り確認し、自分の荷物を確認する。

大きなカバンを一つ背負ってきただけである。無駄に部屋が広すぎる。

クローゼットの奥の部屋に荷物を持って移動し、自分の居場所とした。


「同居人を見つけたら広い部屋を使わせよう…」


そして、ザクスは一度部屋を出て、軍宿舎と周辺を散歩することにした。


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ザコの僕には無理だと思うのですが1章~サイドストーリ~
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