表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第4話 「――なんでもしますよ」

1年ぶりとなりましたが

キャラの口調とか性格ってこんな感じでしたっけ

まあ読んでいるうちにどうでもよくなることでしょう

 昨日はいろいろなことがあった。

 ハーレムを作ろうと急に思い立ったり、部長が『揺さぶりくん』なんてチートアイテム作ったり、弥生(やよい)オススメの女の子達を攻略しようとして、結局誰1人まともに会話すらできなかったり。そういえば人生で初めて人に本気で疎まれたりもしたっけな。あとは……そうそう、珍しく涼月(すずつき)先生に出会ったり、本屋で『学園の華』に似た不審者を見かけたり、その帰りにうさぎの仮面をつけた『うさぎ』と名乗る少女にであったり。でも一番記憶に残ってるのは――伝説のアイス『ハチマキアイス』を見つけたことだな。

 そんな、人生で一番色々と起きた日の、その次の日――の放課後。

 発明科学部の部室にて、(あずま)弥生、古田(こた)宏太(こうた)長谷川(はせがわ)部長の3名は集まり、重大な会議を開いていた。決して外部には漏れてはいけない、そんな重大な――

「第1回! 先輩のハーレム対象攻略会議~!」

「いぇえええええええええええええええええい!!!」

「……いぇーい、なんよ」

 ――俺にとって、とても重大で重要な会議だ。外部に情報が漏れてしまえば警戒されて攻略が難しくなってしまうので、ここでのことは絶対に外にはもらせない。

「部長、テンション低いっすよ! もっと上げて上げて」

「そう言われても……どうやってテンション上げればいいんよ」

 テンションの高い俺、それなりにノリノリの弥生に対して明らかにやる気の見られない部長。それでも一応弱弱しく右手を挙げてくれるところは流石と言わざるを得ない。

「長谷川先輩、とりあえず適当に騒いどけば先輩はコロッと騙されますよ」

「おい。流石にそんなんで俺は騙されんぞ」

「そういえば宏太は単純だったんね」

「ちょっと部長! 俺はそんな単純な男じゃないですよ!」

「キャー先輩カッコイイー!」

「え?」

「確かに宏太は格好いいんよ」

「部長? 弥生も、一体急にどうしたんだよ」

「いえいえ、今の先輩を見て改めて先輩の素晴らしさが分かったんですよ」

「そうそう、宏太の魅力が伝わって来たん」

 なんでだかわからないけど、俺は今二人に褒められているのか……?

「あー流石ハーレムを目指すだけあって、カッコイイなー」

 弥生が上目遣いでこちらを見てくる。中身はアレだが外見はとてもいいこいつに、そんな目で見られたら俺でなくともドキドキしてしまうだろう。

「宏太は自慢の後輩なんよ」

 部長がニコリと――いや、にやにやとしながらこちらを見てくる。一瞬ムッとしたけれど、部長だって女の人。無性にモテたくて仕方のない今の俺には部長の言葉だって悪い気がしなかった。

「そ、そうか? やっぱり俺ってカッコいいか?」

「はい!」

「そうなんよ」

「いやぁ! 俺もそうじゃないかって思ってたんだ。だって、ほら、やっぱりハーレム目指すなら俺みたいなイケメンじゃないとダメじゃん?」

 椅子に座りながらこれでもかと胸を張る。あまり経験したことなかったけれど、褒められるってのはなかなかいいもんじゃないか。

 でもなんで二人は急にこんなことを言い出したんだ……? まあ気にしてもしょうがないな。今はそれよりも。

「そんなに俺が魅力的ってことは、もしかして、指輪をはめて歩くだけでモテモテになれるんじゃないか!? わざわざこんな会議なんて開かなくても――」

「「…………」」

「あ、あれ?」

 気が付けば、二人からの視線は冷たかった。昨日のあの視線ほどではないにしろその視線は背筋に冷たいものが伝うような感覚になるには十分で、

「おわっ!」

 バタンと、俺は座ったまま椅子ごと後ろに倒れてしまった。

「やっぱり宏太は単純なんよ」

「え?」

「ホントですねー」

「え、え?」

 俺をほめていた時とは態度が一変して、二人は呆れたようにそんなことを言う。あれ、これはいったいどういうことなんだ?

「宏太、まだ気が付かないんの?」

「先輩は煽てられてるのにも気が付かずにすぐに調子に乗っちゃう、単純で純粋でおバカさんというのをこうやって証明したわけですよ」

「……あ」

 なんということだ! 冷静に考えればこいつらが俺のことを罵ることがあっても褒めることなんてあるわけないじゃないか。いつも俺を実験台にしている部長と新聞のネタにしている弥生。そんな俺の心配すらしないような奴らに俺は何を期待していたんだ……。

 ハーレムの手伝いをしてくれるからって、カッコイイと煽てられたのにも気が付かないなんて俺は弥生の言う通り単純で純粋で馬鹿だったのかもしれない。だいたい直前に「単純だ」と言われていたのにどうして俺はこいつらの言葉を信じてしまったんだ。もう少し疑うことを覚えたほうがいいな。

「……あれ、先輩なんだか静かですね」

「もしかして宏太拗ねちゃったんの?」

「まさか、先輩はもう高校2年生ですよ? これくらいで拗ねるわけ……」

「でも宏太は子供っぽいところがあるんよ。単純で純粋で、お馬鹿なんてまさに子供そのものなん」

「……せんぱーい。拗ねちゃいましたかー?」

 弥生が俺の傍まで駆け寄ってきた。

「…………」

 別に拗ねてないし子供っぽくもない。そう言い返してやろうと思ったけどここで俺は思いついてしまった。

 これは、さっきからかわれた仕返しをするチャンスじゃないか?

 俺はさっと顔を俯かせる。部長も弥生もこういうことにはだいぶ目ざとく、俺なんかの悪だくみじゃすぐに見破られてしまうだろう。だから表情は決して見せてはいけない。悟られた時点で俺の負けだ。

「せ、先輩? いつまで拗ねてるんですか」

「宏太、謝るんから機嫌直して欲しいんよー」

「…………」

 ちらりと二人のことを伺いみる。弥生は珍しくおろおろとした様子で、部長はいつも通りの落ち着いた――いや、前髪の隙間から少しだけ見える目が笑っている!? よく見れば口元も少しニヤついて……ま、まさか部長には俺の考えがお見通しだとでもいうのか。

「先輩、可愛い後輩のお茶目なイタズラじゃないですか」

「そうなんよ、だから許して欲しいんよー」

「…………」

 可愛い後輩はそもそも先輩をからかわないし、部長に至っては後輩ですらないじゃないですか。そうツッコもうとしたのをぐっと抑えて我慢する。今声を出してしまえばきっと部長に、もしかしたら弥生にも企みがバレてしまうかもしれない。

 声程度で、と思うかもしれないがこの二人に限ってはどんなことでバレるかわかったもんじゃない。それくらい俺にとってこの二人は天敵のような存在であり、同時にそれくらい能力を評価して信頼している奴らでもある。

「もう、どんだけ拗ねてるんですか! もう高校生なんだからこれくらいで拗ねないでくださいよ!」

「まあまあ、新聞娘も落ち着くんよ」

「でも……」

「宏太は単純。それを証明したばかりなんから利用しない手はないんよ」

「単純……なるほどなるほど」

 いったい何がなるほどなんだ。弥生を見ればニタァと嫌な笑顔を浮かべているし、きっとろくなことにならない。そしてその考えはすぐに的中した。

「わたし拗ねちゃった先輩がどうしたら機嫌を直してくれるのか精一杯考えたんですけど」

「…………」

「どーしても思いつかなかったんです」

「…………」

「だから、先輩が教えてください。どうしたら機嫌を直してくれるのか、わたしに出来ることなら――」

 弥生が耳元に近づいてきて囁いた。

「――なんでもしますよ」

「!」

 なんでも、今なんでもって言ったよな? それはつまり――

「あ、ああ、あああ……」

「先輩?」

「宏太?」

 頭の中に何かが流れ込んでくる。何をしようかさせようか、そんな様々な考えと共に頭の中を支配するようなこの感覚は、間違いない。

「……弥生」

「なんですか?」

「そんな軽々しく『なんでもする』なんて言ってよかったのか?」

「は?」

 俺は立ち上がり弥生の顎を右手でくいっと上げて目を合わせる。弥生の顔が間近にあり、その驚いた顔がよく見えた。

「あー、これはもしかして、例の病気が発症したんな」

「例の……これがあの気持ち悪さ倍増の先輩ですか!」

「なんか新聞娘嬉しそうんね」

「そりゃ噂に聞いてはいましたが見たのは初めてですから。これは是非ともネタとして記録を」

「そういっていられるのも今のうちなんよ……」

 部長はそう言って席を立ちあがる。それを横目に見ながら俺は弥生にどんな命令をしようか考えていた。

 弥生は今「なんでもする」といった。それはつまり何を言われても絶対に拒否できないということで、それを言うということは俺にそういう命令をして欲しいということだろう。

 可愛い後輩の頼みとあっちゃ聞くしかねぇよな。俺は弥生が満足できそうな命令をいくつか思い浮かべる。

「……げへへ」

 思わずそんなゲスイ笑いが漏れてしまったが、まあいい。

「うわ、そんな笑い方する人初めて見ましたよ。キモいですね」

「おいおいそりゃないだろ。本当は自分だってどういう目に遭うのか期待してんだろ?」

「何言ってるんですか」

「だって『なんでもする』ってことは、それをハーレムを作りたい俺に言うってことは、童貞でエロいことしか考えられない男子高校生にわざわざそういう風に言うってことは」

「先輩普段からエロいことしか考えてなかったんですね。軽く引くんですけど」

「どうせお前もエロい女だったというわけだ」

「訴えたら勝てるレベルですよこれ。録音してなかったのが悔やまれます。だいたい、なんでもするというのはわたしが出来る範囲で、常識的なことに決まってるじゃないですか」

 弥生が俺の手を払い除け、こちらをキッと睨みつけてくる。なるほど、そういうプレイをお望みか。

「ハーレム目指す奴に常識なんて関係ないな!」

「最低のことを清々しいくらい堂々と言ってのけてますが、微妙にその通りなのがムカつきますね。最低ですけど」

「それに、頭が切れる弥生ならそういういい方したら俺がどう受け取るかわかっていたはずだよな?」

「そ、それは」

「言葉の頭に『常識的な範囲で』とか『出来る範囲で』とか。そういう注釈をつけずにただ『なんでもする』とだけ言ったということはつまり最初から勘違いさせるつもりだったんだ」

「…………」

「わざわざ耳元で囁いたのがその証拠。弥生は最初から俺がそういう意味で受け取ってもいいように、むしろ受け取るようにその言葉を選んで言ってきたわけだ」

「……ち、違いますよ」

 弥生は否定するが、その目は明らかに泳いでいた。最初からわかっていたことではあるが、この反応を見ればもう確定だろう。弥生は――

「違わない。お前はエロい女だったんだよ!」

「違う、わたしはそんな女じゃない! なのに、否定したくても出来ないです! だって何言っても曲解されそうだし!」

「曲解はしてないだろ? 事実お前は『なんでもする』をそういう意味で言ったんだ」

「そういう意味では言ってないんですけど、そうともとれるように言ったのは事実ですし……ああ、もう、この先輩妙に嫌なところをついてきていやらしいですよ!」

「そうだ俺はいやらしい男なんだよ! だからお前にはこれからとんでもなくエロい命令を――」

「はいはい、そこまでにするんよー」

 背中に何か当てられる。何だと思い後ろを振り向こうとしたらカチッと音がして

「あががががががががががががががが」

「先輩!?」

 全身に電気が流れるような感覚。ああ、またこれかぁ……



「せ、先輩?」

「……弥生か」

 弥生が心配そうに顔を覗き込んでくる。あれ、俺はさっきまで床で尻もちをついていたはずだが、なんで上半身を机に突っ伏した状態に……

「宏太、戻ったん?」

 後ろの方で部長の声が聞こえた。戻った……そうか、俺はまた発想の悪魔に体を乗っ取られていたのか。

「すみません、またやっちまったみたいですね。俺、変なこと言ってませんでしたか」

「いつも通りだったんよ」

「そうですか。ならよかった――」

「先輩凄かったですよ! いつも通りの……いえ、いつもよりも気持ち悪い変態でした!」

「あ、いつも通りってそっちの意味」

 まったく何も覚えていないが病気が発症している時の俺は中々に評判が悪い。弥生のいうことは大げさな時もあってあてにはならないがその目が変な光を灯しているような気がするのは、どうにも気になる。……これからろくでもないことが起こりそうで。

 とりあえず倒れた椅子を直しながら、そういえばろくでもないといえば俺は発症する直前に何かしていたような……?

「なあ、俺、さっき何かしてなかったか?」

「何かってなんですか?」

「いやそれを聞いてるんだが」

「ああ、あれなんよ。からかったら宏太が拗ねた――」

「あー、そういえば」

「ふりをしてたんよ」

「え」

 部長のその一言で俺は自分がしていたことを思い出した。と同時に、しまったとも思った。

 部長は気が付いているんじゃないかと思ってはいたが、弥生はまだ気が付いていなかったはずだ。なのにここで部長がそのことを言ってしまったら

「ええ!? 先輩、拗ねたふりだったんですか!」

「そうなんよ、流石の宏太もアレくらいで拗ねはしないん。どうせ拗ねたふりして私たちを困らせてやろうとか思ってたんに決まってるんよ」

「な、部長、何言ってるんですか!」

 あまりにも的確すぎて心の中を覗かれていたんじゃないかと疑ってしまう。だって部長だし、そういう発明品も作ってそう。というかそんなのがあったら是非とも俺に貸して欲しい――って今はそんなことを考えている場合じゃないだろう!

 弥生は新聞部の期待の新人部員と呼ばれている。二つ名は『蜘蛛女』で、それはどんな情報も張り巡らせた網で絡めとりまるで蜘蛛のようだから。網というのは弥生自身の情報を集めるために必要な様々な要素――人脈だったり自前の足だったり謎の情報源だったりするが――それらを最大限生かすには何より弥生本人の能力がなければいけない。

 弥生は人の表情や声の調子、もしかしたら体温や僅かな動作からもその人のあらゆることを引き出すことができると言われていて。つまり何が言いたいのかといえば、

「先輩、わたしを騙そうとするとはいい度胸ですね」

 俺の上ずった声で弥生には部長の言っていることが事実なのだとわかってしまっただろう。

「落ち着け弥生、とりあえず落ち着いて話し合おう。な?」

「まあ確かに話し合いは大事ですね」

「だよな!」

「では落ち着いて先輩にどのような罰を与えるか、話し合いましょうか」

 にっこりとほほ笑みながらも恐ろしいことを言う弥生。俺は冷や汗が止まらなかった。

「わたしはいろいろなことを知っていますけど……先輩、肉体的苦痛と精神的苦痛どっちがいいですか?」

 弥生からはとてつもないプレッシャーを感じる。あまりにも自然に相手を威圧するその姿を見て、こいつは普段からこうやって情報を集めているんじゃないのかと思ってしまう。が、決してそれを口に出すことはしない。流石にここでそんなことを言えば俺は肉体的にも精神的にもひどい目に遭ってしまうことが簡単に予想できるからだ。

 それよりも今はどうやって弥生の怒りを鎮めるかを考える方が先だろう。頭の中にはいくつかの選択肢が浮かぶが、間違ったものを選んだ時点で即ゲームオーバー。慎重に、それでいて迅速な対応をしなくては。

「わたしは優しいですからね、どっちを選んでも1回だけ罰を与えたら許してあげます」

「優しいなら罰を与えないで欲しいなー……なんて。反省してるからさ」

「まあいつもだったらこれくらいで罰は与えませんが、たまには痛い目を見てもらった方が先輩が調子に乗らないのではと思いまして。仕方なく、仕方なーくわたしは今回先輩に罰を与えるんです。決してさっき反論できなかった腹いせとかではないです」

「えぇ……」

 さっき、というのは発症中のことだろう。何も覚えてないけどどうやら俺は弥生に何かしてしまったらしい。全く本当に発症中の俺は碌な奴じゃないな。それがなかったらこんなことにならなかったかもしれないのに、とんだとばっちりだ。

「さあ、早く選んでください。選ばないと両方やりますよ」

 1回だけというのは何だったのか。まあ文句を言ってもしょうがないのでそれは心の中でとどめておくが……さて、どっちを選べば被害が少なく済むのか。正直どっちを選んでも生易しい物じゃないのは弥生から発せられる怒りのオーラ的なもので察しはつく。

「えーと、じゃあ――」

 いや、まて、考えるんだ俺。どっちを選んでも酷い罰が与えられるとわかっていながらわざわざ選ぶ必要はないんじゃないか? 選ばなければそれはそれで酷いことになりそうではあるのだが、うまく言いくるめれば罰を受けること自体を回避できるかもしれないじゃないか。

 さっき弥生は発症中の俺に反論できなかったと言っていた。普段は言い負かされている側のこの俺が、発症中とはいえ弥生を言い負かした……つまり俺だって本気を出せばこの状況を脱することができる可能性がある!

 だいたい俺はこれからハーレムを作ろうとしているんだ。これよりキツイ状況になることだってあるだろうし、ここで躓くようじゃハーレムなんて作れやしない。そうだ、これは俺がハーレムを作れるかどうかの試練なんだ!

「いいだろう弥生、俺は選んでやる!」

「宣言はいりませんからさっさと選んでくださいよ」

「まあ、慌てるな」

「は?」

 弥生の一言で怯みそうになってしまったが何とか堪えるんだ、俺。今の「は?」には別に相手を威圧しようとかそういう意図はなかったはずだ。落ち着け、慌てるんじゃない。思わず土下座をしそうになったがしなかったのでセーフ。

 とりあえずここはハーレムのため、先輩として、男として引くわけにはいかないんだ!

「……なんか先輩よからぬことを考えてませんか?」

「まっ、まさか」

 いくら頭ではわかっていてもつい声は上ずってしまった。いや、流石にこれは酷すぎるって自分でもわかってはいるんだ。うん、いや、もう本当に酷いっすわ。

「先輩は懲りない人ですね」

「お、俺がいつまでもお前に怯えていると思うなよ!」

「流石ですね先輩。まさか第3の選択肢を選ぶだなんて、中々勇気あるじゃないですか」

「第3の選択肢……?」

「第3の選択は――社会的な苦痛。ある意味肉体的にも精神的にもきついでしょう」

 社会的な苦痛とは、つまりいわゆる社会的な死ということか。いくら弥生でも人一人を社会的な死に追い込むほどの情報なんて持っているわけがない。弥生だって優秀とはいえただの女子高生だ。

 おそらくこれは、そういえば俺が怯むと思ってのハッタリだろう。だが残念だったな弥生よ、俺はこの短時間で劇的な成長を遂げたんだよ。冷静に、お前の言っていることが本当かどうかの判断くらい出来るさ――

「先輩の初恋は小学3年生の時」

「!?」

 弥生がぽつりと、顔色一つ変えずそんなことを言った。それに対して俺は顔から血の気が引いて真っ青になっているのが自分でもよく分かった。

「同じクラスの髪の長い女の子でしたね」

「な、なにを」

「席替えで隣同士になってからは先輩、忘れ物の回数が増えたそうですが、それってその子から借りるためにわざと忘れたんですよね?」

「そんなわけ……というかなんで知って」

「先輩はわたしの言ったことをハッタリだと思っていたに違いありませんが、残念でしたね。わたしの情報収集能力は自分で言うのもなんですが、とても優秀なんです」

 にやり、と弥生が笑う。それを見た瞬間俺は

「申し訳ございませんでした弥生様!」

 考えるよりも先に土下座をしていた。

 いや、これは仕方ないんだ。だって俺初恋の相手のこと誰にも話したことないんだぜ? つーか弥生が言うまで綺麗さっぱり忘れていたくらいだ。それをどうやって知ったのかはわからないけど、これだけははっきりとわかった。

 弥生が本気を出せば俺なんて社会的に簡単に死んでしまうだろう、と。

「昨日よりも見事な土下座ですよ先輩!」

「宏太……情けないんよ」

 額を床にこすりつけているから表情はわからないけど、弥生の声は楽しそうにはずみ、部長の声は呆れているようだった。……ふっ、俺を馬鹿にしたければ好きにすればいい。昨日のアレに比べれば大したことないし、それにこのまま俺の恥ずかしい(かもしれない)過去を暴露されるよりはマシってもんだ。

「このまま先輩のあれやこれを新聞のネタとして公開しようかと思いましたが、気分がすっきりしたので今回は許してあげましょう。わたしって優しくて先輩想いの良い後輩ですね」

「おっしゃる通りで」

 危なかった。本当に危なかった。きっと弥生ならやりかねなかったし、もしやられていたらハーレムどころじゃなくなっていた。

「とりあえず先輩の土下座自体はあまり価値がないのでもうやめていいですよ」

「……はい」

 男の土下座に価値がないとか、何気に酷いこと言いやがると思ったが、文句を言えばせっかくお許しが出たのに台無しになってしまう。それによくよく思い返せば、俺しょっちゅう土下座してる気がするし、確かに価値がないと言われても仕方がないのかもしれない。

 ……なんで俺しょっちゅう土下座する羽目になってるんだろうと虚しくなったが、気にしたらしばらくへこむことになりそうだったので考えないことにした。

 それよりも、これからハーレムのための作戦会議をするんだ。気持ちを切り替えていかないとな。……別に忘れてなんかいなかったんだからね!



 ☆★☆★☆



「さて、先輩のせいで話がそれてしまいましたが」

「もとはといえばお前らが俺をからかったせいだろ」

「なにかいいましたか?」

「……はい、俺のせいでした」

 情けないが今は大人しくするしかない。でもいつか絶対にぎゃふんと言わせてやる、その決意だけを抱いて今は満足しておこう。

「では改めまして、第1回、先輩のハーレム対象攻略会議~」

「「いぇーい……」」

 いろいろあったが、やっと俺のハーレムを作るための会議が始まった。既に疲れてして微妙にテンションが上がらないが、一応俺が主役だし頑張ってテンションを上げていかなければ。

「聞いてなかったんけど、攻略会議って具体的に何をするんの?」

「そりゃあ攻略のための会議ですよ部長」

「そんなんわかってるん」

「先輩、自分のことなのにわかっていなかったんですか」

「まあ……」

 俺がこの部室にやって来た時には既に部長と弥生が席に着いていて、いきなり「先輩のハーレム作りを成功させるための会議をします」って言われたんだから知らなくてもしょうがないだろう。まあ、詳しいことを聞かずに「マジで!? 助かるわー」と軽く返事をした俺も俺だが。

「簡単に言ってしまえば、先輩のハーレム作りの進展具合を聞いてわたしたちがどうすればもっと先に進めるかを話し合ったり合わなかったりするんですよ」

「そこは話し合ってくれよ。つーか説明がざっくりしすぎじゃないか?」

「だいたい伝わればいいんですよ。伝わりましたよね?」

「まあ、なんとく伝わったけどさ」

「じゃあいいじゃないですか」

 いいのだろうか。

「ほら、とりあえず先輩が話してくれないと何も始まらないので、早く話してくださいよ」

「話す? なにをだ?」

「今言ったばかりじゃないですか。ハーレム作りの進展状況ですよ。昨日わたしがおすすめした4人に会いに行ったんですよね? どうでしたか?」

「あ、ああ」

 そうか、攻略会議ということは当然その話をしないといけないわけか。うわー、嫌だなぁ……4人もいて結局誰とも会話できなかったとか、絶対ボロクソ言われるぜこれ。でも話さないと何も始まらないのも事実だし、どうするか。

「…………」

「……はあ、これは予想以上に酷い結果ですね」

「そうなんねー」

「えっ」

 俺がどう誤魔化そうかといろいろ考えていると、部長と弥生が呆れていた。なんだ、おかしいな、俺はまだ何も言っていないはずだが、まるで二人とも俺が昨日散々な結果だったとわかっているような態度……まさか、本当に心の中を覗く発明があるのか!?

「ん、なんか宏太がおかしな想像してる気がするんから言うけんど、宏太の態度を見れば大失敗だったのは誰でもわかるんよ」

「べ、別に大失敗なんてしてないですよ?」

「じゃあ先輩、いい結果だったんですね!」

「……いや」

 俺は弥生からサッと顔を背けた。弥生はにやにやとしていて、完全に俺が失敗したことをわかったうえで聞いてやがる。というかこの二人に結果を隠し通そうと考えたのが間違えだった。今までの流れからして速攻でバレるに決まってるじゃないか。

「そもそも、宏太の性格的に女の子と仲良くなるなんて無理だって最初からわかってたんよ」

「それは失礼すぎやしませんかね」

「じゃあ宏太の仲の良い女の子って誰かいるんの?」

「ええ、もちろんですよ」

 俺は脳をフル回転させ記憶の中から今まで出会ってきたすべての女の子を思い出す。

「あ、先輩。子供の頃に~とかはなしですよ。今仲のいい人を教えてください」

 案の定俺の考えていたことは見透かされていた。ま、まあ? 今だって別に女の子と全然仲良いし? 余裕で100人くらいは名前を挙げられるし。

「……妹と母さん?」

「家族だっけてのは悲しすぎるんよ」

「待ってください、まだいますよ!」

「先輩見栄を張っても辛いだけですよ?」

 弥生が肩に手を置いてきた。その口調は怖いほどに優しく、本気で哀れんでいるというのが伝わって来る。

 ぐぬぬ……このままでは駄目だ。思い出せ、思い出すんだ俺! 絶対に家族以外にも仲の良い女の子がいるはずだ……!

「……そうだ、幼馴染、俺の幼馴染がいた!」

「思い出すまで忘れてたんは、その幼馴染が可哀想なんね」

「あれですよ、あまりにもいつも一緒にいるから忘れていただけです。灯台下暗しってやつですよ」

「先輩じゃ近くどころか周りもよく見えてなさそうですけど」

「なんでお前はいちいち俺に悪態をつくんだよ」

「別に、事実を言ったまでですから」

 なんだ? 弥生が急に機嫌が悪くなったような。俺に対して嫌がらせをするのはいつものことだが、なんか今の弥生からは妙なトゲを感じる。

「部長、なんか弥生の機嫌が急に悪くなった気がするんですけど、俺なんかしましたか」

「機嫌なんて悪くなってません」

「いやなんか態度が冷たくなってないか?」

「気のせいです」

「そうなんよ、新聞娘はいつも通りなんよ」

「そうですか――」

 と、部長の方を見たとき俺は目を疑った。おいおい、嘘だろ? マジかよ……こんなことってあるのか? だってあの部長だぜ。いつも髪はボサボサだし色気はないし発明のことばっかで俺を実験台にしたりからかったりして笑っているような、女子っぽさの欠片もないあの部長が――


 前髪を人差し指でくるくるしてるだなんて!!


「ん? どうしたん宏太」

「い、いえ」

 落ち着け、何を俺は慌てているんだ。部長だって一応は女の子、髪の毛クルクルだなんて女の子っぽい動作の一つや二つしたって別におかしいことはない。ないのだが……なんか俺の中の部長像とは違いすぎて違和感が。

 弥生にしろ部長にしろ、なんだか様子が変じゃないか? らしくないというか……どうしていきなりこんなことになってしまったのかはわからないが、おかしくなったのは俺が仲の良い女の子の話をしてからだったと思う。つまり、それってもしかして、部長と弥生は嫉妬してるのか!?

 そうか、そうだったのか。実は二人は俺に気が合って、だから他の女の子の話をされて機嫌が悪くなったに違いない!

「まったく、ハーレム言ってる割に先輩は全然ダメですね」

「宏太はこういう人間なん。何も期待してはいけないんよ」

 いや、そんなわけないな。確かにセリフだけ聞けばそれっぽいのだが、その表情はとても恋する乙女の顔ではない。だいたい俺を好きな奴がわざわざハーレム作りに協力するってのもおかしな話だ。

「えーと、とりあえず部長、弥生。時間がもったいないし先に進めても……いいですかね」

 原因はわからないまま、とにかく今の二人はなんか落ち着かないので無理やりにでも話題を変えて……というか戻すことにした。話がそれておかしくなったのなら、本題に戻ればまともになるはず。という淡い期待を抱いて。

「そうですね、先輩の言う通り時間の無駄なのでさっさと会議の方を進めましょう」

「そうなんね」

 まだ態度がとげとげしい気もするが、表情はいつも通りに戻っているし、きっと大丈夫。だと思う。

「では改めて、まずは先輩の進展具合を聞きましょうか。まあ大体わかっていますが、一応ですね」

 弥生がにやりと笑いこちらに話を振ってきた。それはいつもの弥生で――よかった、どうにかいつも通りに戻ってくれたか――と一安心だ。たぶん部長もいつも通りに戻っているだろう。

「俺も頑張ったんだが、おそらく謎組織による妨害があってな。誰とも会話すら出来なかったぞ!」

「なんで偉そうなんの」

「謎の組織ってなんですか」

「俺のハーレムを阻止するために結成された悪の組織だよ」

「そんな組織を作らなくても失敗するのに、無駄なことをする人たちもいたものですね」

「つーかあれだ。俺が昨日誰とも会話できなかったのは弥生が渡したプロフィールに問題があったんだよ」

「ほうほう、先輩はそんなに社会的に死にたいんですか」

「ち、違うそういうことではない」

「じゃあどういうことなんよ」

「俺は昨日4人のうち2人の姿しか確認できなかった。その2人だって部活中で話しかけ辛かったし、自慢じゃないが俺は初対面の人と楽しく会話できるほどのコミュニケーション能力は持ってないんだ!」

「本当に自慢できることじゃないですね」

「つまり何が言いたいかというとだな、弥生の情報は欲しいと思っていることが載っていないんだよ!」

「な、なんだってー!」

 俺は弥生にビシッと言ってから、また調子に乗ってしまったと後悔した。今日だけで何度弥生を怒らせ酷い目に遭ってきたか。本当俺は学習しないやつだと自分でも呆れる。自分の情報に自信を持っている弥生に対してこんなことを言えばもう社会的な死は免れないかもしれない。

「あー、すまん弥生。ちょっと調子に……」

「いえ謝らなくて結構です」

「お?」

「先輩の言う通りです。確かにちょっと楽しいそうだなという軽い気持ちでハーレムのお手伝いとプロフィールを作りましたが、わたしは新聞部として情報を求める人を満足させようという気持ちが足りていませんでした」

 なにやら珍しく弥生が反省している。これでも一応は新聞部、情報の扱いに関してはそれなりにプライドがあるのだろう。どうせならそこにモラルとかなんかも加えてほしいところだが、せっかく反省気味なのにわざわざ水を差すことはない。

 すぐ調子に乗るところは直せないが、空気を読むことだけはきちんと学習した。

「後日先輩にはもう少しちゃんとしたプロフィールを渡しますので、期待して待っていてください」

「おう、わかった」

 弥生と熱い握手を交わす。特に意味はないけど、まあそういう雰囲気だったからなんとなくだ。

 怪我の功名という奴か、とにかくうまいことに事は運び俺は弥生に怒られることなく、さらには4人の女子たちの更なる情報を手に入れることに成功した。昨日は散々だったが今日だけですでにハーレム作りが一歩前進した気がする。まだ会議の段階だけど。

「それでは先輩の報告はこのあたりとして、次は長谷川先輩お願いします」

「え、私もやるんの?」

「部長、これは俺たち3人が協力するための会議なんです。是非とも部長からも有益な情報とか発明品とかできれば相手の心の中が見える発明品を!」

「宏太欲望がダダ漏れなんよ。だいたい人の心を読む発明品なんて」

「流石の長谷川先輩でも難しいんですか?」

「いや、簡単に作れるんよ」

「自分で言っておいてあれですけど部長本当に天才ですよね」

「あたりまえなんよ」

「人の心が読めればいろいろ便利ですよねー……あ、もちろんハーレム作りの話ですよ?」

 弥生が付け加えたように俺のためというが、あれは絶対自分のためだ。既にありとあらゆる情報を持っている弥生に心の中まで読まれたら誰も弥生に逆らうことができなくなるんじゃないか? 俺のハーレムより先に弥生王国的なものが完成してしまう気がする。

「まあ確かにあれば便利なんけど、流石に人の心を読んだり相手に無理やり言うことを聞かせたりする発明品は人道に反するんね」

「でも揺さぶりくんも結構えげつないと思うんですけど、これはいいんですか部長」

「揺さぶりくんはあくまでも芽生えた感情を大きくするだけなん。世間でよく言われる『~効果』みたいなんとそう変わらないんよ。まあアレよりは揺さぶりくんの方が優秀なんけんね」

 部長が得意げに言うが、まあ実際それくらいに揺さぶりくんの力は凄い。俺も昨日体験したからな、思い知ったよ。悪い意味で。

「本当は喉から手が出るくらいに欲しい発明品ですけど、人道に反するなら仕方ないですね。まあわたしなら正確ではなくともある程度相手の考えてることくらいお見通しですし」

「お前も部長を見習って少しは人道的な行動をした方がいいと思うぞ」

「まるでわたしが人の道から外れているみたいじゃないですか」

 先輩を社会的な死に追い込もうとするやつはどう考えても人道から外れているだろうと、あくまで心の中でそう思っておく。なんかある程度なら心を読めるみたいなことを言っていたような気もするが、まあそんなのを気にしていたら悟りの境地に達するほかないので無視だ。

 変に疑われてもしらを切りとおせばいいのさ。切りとおせるかは別として。

「まあそういうわけなん。私から渡せるものは何もないんよ」

「残念だが仕方ないか」

「ただ代わりというわけではないんけど、今別の発明品を作ってるんから完成したら教えるんよ」

「おお、長谷川先輩の新発明品、それはいろいろな意味で期待できますね!」

 弥生の言う「いろいろ」に果たしてどんな意味が込められているのかは気にしないことにして、これで一応俺と部長の報告が終わったことになる。

「さてさて、それでは最後はわたしですね」

 弥生が待ってましたと言わんばかりにポケットから手帳を取り出した。青色に花柄の模様が付いた可愛らしいいかにも女の子が使うようなその手帳には、大きくマル秘のマークが。あの中にどんなことが書かれているのか想像するだけで手帳から黒いオーラが出ているような錯覚に陥る。

「わたしは昨日宣言した通り『学園の華』について情報を集めてきました」

「「おー」」

「滝壺高校の3人の華と呼ばれるうちの1人『学園の華』こと龍道(りゅうどう)栞菜(かんな)。2年3組所属、血液型はA型、10月15日生まれの天秤座、1年時の学年末試験では生徒208名中3位で今年度の初めに行われたスポーツテストでは2年女子の記録としては高い方。特定の部活や委員会に所属してはおらず、放課後は塾などに通っているとのことです」

「「なるほど(なんよ)」」

「以上です」

「「……え?」」

「だから、これがわたしが入手した情報の全てです」

 弥生が手帳を閉じポケットへとしまう。本当に入手した情報をすべて話し切ったということか――

「って、いやちょっと待て」

「なんですか先輩」

「お前、あれだけ自信満々に話し出しといてたったそれだけしか情報を入手出来なかったのかよ!」

「昨日も言いましたけど、『学園の華』はガードが固すぎて全く情報が手に入らなかったんです。実際これだけの情報を集めるのにもかなり苦労したんですからね」

「だからって……」

「だったら聞きますけど、先輩は今わたしが言った情報の、一体どれくらいを知っていました?」

「うっ」

 正直ほとんどが初耳だった。せいぜい同じ2年生であるということと、学年末の試験でだいぶランクが高いとか運動神経がいいとか、俺が知っているのはそれくらいだ。

 そういえばと思い返してみれば、俺の周りでも『学園の華』に憧れたり崇めたりして褒めている人はいても「龍道栞菜」という人物について語っている人は見かけたことがない。というか『学園の華』こと龍道さんの下の名前って栞菜って言うのかと今知ったくらいだ。

「正直なところわたしもここまで情報が集まらないとは思ってませんでした。軽くショックです。先輩みたいなガードの緩い人とは違って『学園の華』はガードが固すぎます。友達とかいるんですかね」

「お前失礼すぎだろ。龍道さんにも俺にも」

「いきなり『学園の華』を名字で呼び始めますか。馴れ馴れしい人ですね先輩は」

「ど、どう呼ぼうが俺の勝手じゃないか。大体同学年なんだし、何も問題はないはずだろ」

「まあここで下の名前の方で呼ばないのが妙にヘタレな先輩らしいですけど」

「うるせー」

 俺だって別に名前で呼べるし、ヘタレてねーし。でもまあ今はとりあえず「龍道さん」で勘弁しといてやるよ!

「とにかく、わたしからの報告はこれでおしまいです」

「……結局この会議ってする意味あったんの?」

「「…………」」

 実はやる前から不安はあったのだが、実際に口に出されてその真実を突きつけられると己の無力さを痛感させられる。部長はそもそも揺さぶりくんを渡した時点で大いに貢献してくれているわけだし、弥生も情報が少ないとはいえどの情報も役には立っているだろう。

 しかし俺は二人に頼りっぱなしで結局自分で何もしていないというのが、なんとも余計に悔しい。

「…………」

 弥生の方を見れば、珍しく弥生も悔しそうな表情をしている。俺もいろいろ言ったが弥生の情報収集能力とその集まった情報は十分凄いと思うし、この時点でしっかりと貢献しているだろう。なのにやっぱり弥生自身はそれに納得していないようで――俺ももっと頑張った方がいいのかもしれないと今更ながらに思った。

「……よし!」

 パンっ、と俺は自分の頬を叩いて気合を入れる。部長と弥生がびっくりしてこちらを見ているが、ちょうどいい。

「俺、古田宏太は何があっても絶対にハーレムを作って見せる!」

 勢いよく立ち上がった俺はそう堂々と宣言をした。

 このどんよりとした空気を変えるため。それもあるが今までハーレムハーレム言う割にそのための行動を全然していなかった口だけ野郎の俺が、弥生を見習って少しでも目標のために近づくための努力をする人間に生まれ変わるため。

 俺はここにそう宣言する必要があった。誰かにこの決意を聞いてもらう必要があったのだ。

「……先輩、わざわざ言わなくても知ってますよ」

「そうなんよ。宏太はハーレムを作るん、私たちはそのお手伝いをしてるんから」

「いえ、これは自分に言い聞かせてるんです。俺は何があっても絶対にやり遂げてみせるぞって」

「おー、なんか先輩が微妙にかっこよく見えますね」

「微妙は余計だ」

「でしたらわたしも宣言してみましょうかね。わたしはどんな手を使ってでも必ず目的を達成しますよ!」

「人道的な範囲で頼むぞ」

「ほら、長谷川先輩も宣言してください」

「私は特に宣言することはないんけど……」

「じゃあ俺のハーレム作りを絶対に成功させるって宣言してくださいよー」

「えぇ……まあいいけんど。じゃあ宏太のハーレムを完成させるために頑張るんよー」

「もうちょっとやる気出してください部長」

「やる気出せと言われても困るんよ」

「でもここは流れ的にもう少しやる気のある宣言の方がいい気がしますよ、長谷川先輩」

「面倒くさいんねー」

「いっそのこと先輩のハーレム関係なしにやる気が出そうな宣言を立て直しましょう!」

「おい弥生」

「んー……そうなんね」

「部長!?」

「なら私は滝壺の生徒であるうちに大きなことを成し遂げるんよ」

「大きな事って何ですか。大発明でもするんですか部長」

「先輩はいちいちうるさいです。宣言に野暮なツッコミは無粋ですよ」

「……まあそれもそうだな」

 俺と、部長と、弥生と。それぞれ自分の決意を宣言して見つめあう。……なんで俺たちこんなことしてるんだっけと、ふとした瞬間思ってしまったがまあいい。

 とにかく、こうして決意を新たに俺の……俺たちのハーレム作りは前進する。

「あ、そういえばそろそろ新聞部の方の仕事しないといけないので今日はこの辺で失礼します」

「私も暇じゃないんから作業に戻るんよ」

「え」

 部長と弥生が各々の作業に戻ろうとしていた。あれぇ、二人ともハーレム作りを手伝ってくれるんだよな……?

「宏太まだいたんの?」

「え、はあ」

「そこで突っ立ってても邪魔だかん、さっさとハーレムのために女の子に声かけてくればいいんよ」

 しっしっと邪魔者を追い払うかのように手を払う部長。


 ハーレムを作ろうと思い立って2日目。第1回攻略会議はこうして終わったわけだが、この会議をした意味は本当にあったのだろうかと俺は考えていた。

皆さんお久しぶりっす木葉っす

気が付けば3話を投稿してから1年が過ぎたっすね

いやーびっくり


まあ割と飽きやすい性格なんでそこのところは勘弁してくださいっす

こうしてちゃんと続きを投稿しましたんで、ね?

ただこんな感じの内容だったかなーと書いていて疑問に思ったりもしやしたが

久しぶりに小説書いた気もするんで

慣れれば当時の感覚も思い出すことでしょう

下手さは当時と何も変わってないんできっと再現も可能なはずっすよ



5話は現在書いている最中ですが、まあ投稿はいつになるか……

なるべく早く、そしてまともな内容で投稿できるよう頑張りまーす

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ