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第1話 「そりゃ美少女ですから!」

語彙力が足りなく文章構成が下手くそな人が書いた物語的なものです。

それを頭に入れてお読み下さればイライラが緩和されます。たぶん。

 5月に入り、ゴールデンウィークも過ぎ去ったある日の放課後のこと。

 あまり人気(ひとけ)がない、校舎の隅にある『発明科学部』の部室で、俺は机に項垂れながら呟いた。

「心が……折れそうっす……」

 約10分前、部長の発明品『揺さぶりくん』を手に意気揚々と部室を飛び出した俺は、今や部室で心が折れそうになっていた。というか結構折れた。

「人の話をちゃんと聞かないからそんなことになるんよ」

 俺の向かい側に座っている、高校3年生にして天才発明家の女子生徒、長谷川(はせがわ)部長がこちらも見ずにそう言う。また何か作っているようだが、何を作っているのか聞くほど今の俺には余裕がなかった。

 どうせその発明品の被害者も俺になるんだろうから、気になりはするんだけどね。でももうそれどころじゃないのよ。

「部長は、こうなるってわかってたんすよね」

「そりゃあ作ったん私だし。だから宏太がそうなる前に注意してあげようと思ったんけど、人の話きかないんから」

「うぅ……」

 自分が悪いので何も言えない。

 さて、俺がなぜ心が折れそうになっているのかといえば、それは部室を飛び出してからすぐのこと――


 ☆

「さて……どうするかな」

 『揺さぶりくん』というチートアイテムを手に入れたはいいが、これをどう使おうかと、俺は悩みながら放課後の、人の少なくなった校舎の中を歩いていた。

 ほんの少しでも好意を抱かせる、つまりときめかせてしまえばこっちのもの。でも、どうやってときめかせればいいのかさっぱりわからん。

 こういう時こそギャルゲーの主人公たちがやってきたようなことをすればいいのだろうけど、結構そういう主人公たちの行動は特殊すぎて全く参考にならない。常人の俺でもできそうなときめくことといえば……格好いいこととか? うん、格好いいことなら俺でも出来そうだ。それに女子は格好いい男子にときめきやすいらしいし。

 そうと決まれば、俺なりの『格好いいこと』をしよう。それは人目について……なるべく女子が多くいそうなところがいいな。この時間に人が多くいる場所といえば……やっぱりあそこだろう。



「ふぅ↑ふぅ↑♪」

 俺が通う滝壺(たきつぼ)高校には様々な部活動があり、そのどれもがそれなりの大会で成績を残している。そして、その優秀さや部員数など様々な点を考慮し、それに見合った部室や活動場所を設けられシステムだ。

 俺が今いるここ、校門から生徒玄関までまっすぐと続く道の、その両脇にはいくつものテニスコートがあり、そこでは多くの女子生徒(あと男子生徒)が練習していた。ここのテニス部は高校テニス界では強豪チームと言われていて、いくつもの大会で優勝している。それは、休日も欠かさず、普段から辛くとても厳しい練習をしてきた結果で、流石だと感心する。

 しかし今、そのどんな時も練習を欠かさない、休まないテニス部の面々が練習する手を止めてこちらを見ていた。

 それはきっと、俺に見とれているからだろう。

「へーい! へーい! Foo↑♪」

 なんたって、今俺は、生徒玄関の前で空き教室から持ってきた机の上に乗り、個人的カッコイイアニソンを超イケボ(個人的限界)でこれまたカッコイイポーズを決めながら熱唱しているのだから。イメージ的にはアニソンとかのカッコイイPV。俺はあれ超格好いいと思うし、それを真似している俺も超格好いいはず。その証拠に、テニス部と下校中の生徒たちの視線がこっちに集まっているし、みんな見とれているようだし。

 ふふふ、ちょろい。ちょろいぞこれは。今まで彼女いなかったのが嘘のように、これから女子たちの告白ラッシュが始まるだろうな。右手の指につけたこの指輪『揺さぶりくん』さえあれば、俺にできないことはない!

「ジャーン……ふぅ」

 俺は1曲歌い終える。ちなみに、音楽とかはないので歌いつつ自分で合いの手や音を再現したりしている。

 さて、次は何を歌おうかと考えていると、数名の女子生徒がこちらに近づいてきた。服装は何かのユニフォーム、ってことはテニス部の人か。全く、まだ俺のカッコイイ姿を見せ始めたばかりだと言うのに、もう告白しようとする女子が現れたか。これも『揺さぶりくん』の力――いや、俺のあまりにも格好良すぎる力のせいだな。

「あ、あの……」

 何か言いたそうでモジモジとしている女子たち。告白しようと出てきたはいいが、緊張してしまっているというところだろうか。ならばここは、今ならなんでもできる気がする俺が緊張をほぐしてあげよう。とりあえず、名前がわからないので……よし

「どうしたんだい、子猫ちゃん」

 前になんか格好つけていた何かのキャラが言っていたこの呼び方、これなら女子たちも緊張よりうっとりですんなり告白できるだろう。

「ひ、ひぃぃ!」

「あ、あれ?」

 なんだか女子たちの顔が青ざめているような……怯えている? おかしいな、何か怖がらせるようなことしてしまったのか?

 確か、怯えている女子の対処法もどこかで見たことあるような気がする。一応やってみるか。

「おいおい、どうしたん――」

 頭を撫でてやろうと屈みながら手を伸ばした瞬間

「きゃあああああああああああああああああああああ」

 と、女子たちはコートの方へ走り去ってしまった。……恥ずかしかったのかな? それにしては、顔がすごい引き攣っていたような気がするけど。

 まあなんだったのかはわからないけど、気を取り直して2曲目を歌うか。もっと格好良さをアピールして好意を抱いてもらわないと『揺さぶりくん』の効果も発揮できないからな。

「それじゃあ、次の曲は――」

「ちょっといいか」

 曲のタイトルを言おうとしたとき、誰かに遮られる。

「え、あ、はい」

 いつの間にかユニフォームを着た女子生徒が近くにいた。周りを気にしていなかったとは言え、ここまで近づかれるまで気がつかなかった。

「私は女子テニス部の部長をしている、3年の笹神(ささかみ)だ」

 笹神……ああ、テニス部で一番強く、練習のメニューも組んでいるというあの『テニスの鬼姫(おにひめ)』笹神姫花(ひめか)か。しかし一体その鬼姫様がなんのようだろう。……もしや、告白とか?

「えと、何か御用ですか?」

「ああ、御用だから声をかけたのだ」

「もしかして……告白、ですか?」

「はぁ?」

「ひぃ!」

 先程までも仏頂面だったというのに、それが途端に鬼のような顔になる。実際に鬼を見たことあるわけではないが、多分見たらこんな感じだろう。すごい怖い、プレッシャーがやばい。人の顔を見ただけで足が震えてきたのなんて初めてだ。

「貴様、ただでさえ目障りだというのに、更にふざけたことを抜かすか」

「ひぃぃ……め、目障りでしたか……?」

「ああ、とてもな。おかしな歌を歌いたいならカラオケにでも言ってろ。ここで歌うな」

「おかしな歌じゃなくて、カッコイイアニソンなんですけど……」

「そんなのは知ったことではない。ただここで歌うなと言っている。部員たちが気持ち悪がって練習にならん」

「気持ち悪がってって、格好よくないですか?」

「はぁ? 貴様はそれが格好いいと。そのおかしな歌が、おかしなポーズが、おかしな貴様が」

「うぐ」

「まあ私はそういうのに詳しくないし興味もない。もしかしたら貴様のようなやつからしたら格好いいのかもしれんが、少なくともこの場にいる人間は気持ち悪いと思っている」

 その言葉で、俺は周りの人達を見てみる。先程までは見とれていたように見えたのに、今じゃみんな青ざめていて、その目はゴミを見るかのような冷たさを感じる。――ああ、本当だ。人が人を本気で軽蔑しているような目を初めて見たよ。

「あ、ああ……」

「わかったか? 貴様は目障りなのだ」

「そう、みたいですね……」

「わかってくれたか。ならば――さっさと失せろ! そして二度と現れるでない!」

 鬼姫様に机を思い切り蹴飛ばされ、俺はそのまま落ちる。幸い体に怪我はなかったが、初めて人から本気で疎まれたことで心に大怪我をした。

 立ち去る鬼姫様をしばらく呆然と見ていたが、とりあえずここから早く立ち去らなければという思いで俺は机を持って校舎の中に入った。


 ☆☆

「ドMでもない俺にあの視線は耐えられないっす……」

 あの時のことを思い出してはまた心にダメージを負う。

 なんとかここまで戻ってきたのはいいけど、そこまでだった。もう今は誰とも会いたくない。ここから動きたくない。

「そこまで凹んだ宏太は初めてみたんよ」

「あそこまで嫌われると流石に凹みますよ……」

「『揺さぶりくん』をつけていたんからね。しょうがないんよ」

「好感度アップのチートアイテムかと思ってたのに」

 そう言って俺は「指輪型感情変動装置『揺さぶりくん』」を見る。今はもう指から外してあるので特に問題はない。

 部長があの時続けようとしていた台詞はこうだった。

『その指輪を付けている間は全ての感情が大きく動くんよ。だから変なことしたら嫌われる可能性もあるから気をつけるんよー』

 部長が『揺さぶりくん』を俺に見せたとき、部長は「相手の感情を大きく動かすことが出来るんよ!」と言っていた。そう、最初からそう言っていたというのに、俺は勝手に好意だけが大きくなると勘違いしていたのだ。

 ときめかせれば好意を恋心にすることができる。しかし少しでも苦手と思われればそれは嫌悪となる。もちろん他の感情も大きくなってしまう。

 簡単に好感度の上がるチートアイテムなんて、そんなうまい話があるわけない。それが部長の発明品なら尚更、いいところと同じくらい悪いところもあるに決まってるのだ。

「それで、これからどうするんよ?」

「なにがですか」

「ハーレムのことに決まってるんよ。『揺さぶりくん』は使い方次第でいいことも悪いこともある諸刃の剣だとわかったんけど、これからどうするん? もう辞めるんの?」

「……正直、もうあんな体験をしたくないっす」

 あの目はしばらく忘れられそうもない。思い出すだけで泣きたくなってくる。

「でも、まだやめません。だって、俺、モテたいっす! 『揺さぶりくん』だってうまく使えればチートアイテムなのには変わりないですし、こんなチャンスを逃したらもう彼女できないまま一生を終えてしまいそうですし!」

 モテない男の、ちょっとした欲望はこんなことで燃え尽きるほどやわなものじゃないのだ。

「そう、なんね……わかったんよ。なら私も、宏太のために協力を続けるんよ」

「本当ですか!」

「宏太のおかげでこの場所があるんし、恩返しなんよ」

 そう言って部長は微笑む。普段は前髪のせいで見えない表情が、ちらっと見えただけだというのに、なんだかドキッとしてしまった。しばらくは忘れないと思っていた、先程見たあの冷たい視線の数々が、その微笑みで上書きされ、なんだかやる気が沸いてきた。

「ふふふ、やるぞ、やってやる! 絶対モテモテハーレムを作ってみせますよ!」

「おー、宏太がやる気になったんよ」

「……で、具体的にはどうすれば」

「やる気になっただけなんね」

 とりあえずやる気は取り戻したけど、状況は何も変わっていない。手元には『揺さぶりくん』があって、うまく使えば好感度アップ。下手すればダウン、というか学校の嫌われ者になる可能性もある。一応指輪を外せば大きく動いた感情が徐々に落ち着いていくらしいので、最悪失敗したときは指輪を外して逃げ出せばなんとかなる。

 ただ好感度も戻っていってしまうので、本当に最悪の状況でしか外したくない。それに、感情が落ち着いても沸いた感情がなくなるわけではないので、嫌われれば少なからず苦手意識を持たれてしまう。そうなると指輪をして近づいた途端嫌悪に変わってしまい、またあれを体験することになる。

「本当にどうすればいいんだろう」

「大勢の不特定多数はリスクも大きいし、やっぱり対象を絞るんがいいと思うんよ」

 なるほど。一人ずつならハーレム作りに時間はかかるが、失敗した時に対処しやすい。苦手意識を持っている人が増えれば増えるほど、その人がいる場所で指輪が使えなくなって攻略どころじゃなくなるしな。

「しかし、攻略対象を絞るか……誰かいい人いたっけ?」

 モテたいモテたいという気持ちが先行しすぎて、どんな子をハーレムに加えたいかというのを考えてなかった。というか女の子なら誰でもいいとか思っていた。

 でも絞るとなると、やっぱり可愛い子がいい。しかしこの学校の可愛い子……誰がいたかな。一人は知ってるんだけど、意外と思い浮かばない。

「この学校の女の子に詳しい人って、誰かいませんか?」

 少なくとも俺の知り合いにはいない。なので部長に聞いてみたのだが

「そういうことなら、このわたしにお任せ下さい!」

 答えたのは部長ではなかった。

 ガラッと、ドアが勢いよく開けられ、女の子が入ってくる。

「ドアは丁寧に開けて欲しいんよ」

「あ、すいません」

 部長に注意され、その女の子は謝りながら丁寧にドアを閉める。

「お前がここに来るなんて珍しいな」

「わたしはネタがあればどこにだって現れるんです」

「ネタなんてあったっけか」

「ええ、ありましたとも。『生徒玄関前の気持ち悪い男』って今話題になってるんですけど、先輩のことですよね?」

「……違う」

「やっぱり先輩のことだったんですね!」

 否定したのに、意味はなかったようだ。

「まだそんなに時間経ってないのに、どうして俺だってわかったんだよ」

「わたしの『弥生ネット』で検索をかけたら、話題になっている男子生徒の特徴と先輩の特徴が一致したんです」

「流石、新聞部の期待の部員『蜘蛛女』(あずま)弥生(やよい)さんだな」

「そうです弥生さんは流石なんです」

「…………」

 おうおう、嫌味も意味なかったぜ。

 一応紹介しておくと、こいつは新聞部に所属している1年の女子。俺のことを「先輩」と呼びしたってくれている――わけではなく、俺がいつも部長の発明で事件などを起こしたりしてネタを量産しているので、いつの間にか知り合いになっていた。

 どこから仕入れているのか分からないが様々な情報を持っていて、その情報の正確さと量から素晴らしい新聞を作ることのできる、新聞部の期待の新入部員だ。

「それで、なんだ。その気持ち悪い男になんか用か?」

「あ、はい。記事にしようかと思って取材をしに来たんですが――なんです? 面白そうな事しているじゃないですか」

「なにがだ」

「ハーレムですよハーレム」

「……盗み聞きとは、新聞部にモラルはないのか」

「失礼な。偶然聞こえてきただけですよ。偶然、取材に来たら中から興味深いお話が聞こえてきたので、邪魔しちゃ悪いとドアに耳を当てていただけです」

「思いっきり盗み聞きじゃねぇか」

「まあまあ。そんなことより、先輩女の子の情報、欲しいんですよね?」

 欲しい。しかし、こいつに頼るのはなんか嫌だ。こんないつも俺の記事ばかり書いている――って、もしかして、俺が生徒玄関であんな視線で見られたのは、普段からこいつが俺の悪いことばっかり書いてるからなんじゃ。だから、最初から俺に対していいイメージを持っていなかったから、ただ歌っただけであんなに嫌悪を抱かれたんじゃ……。

 もしそうだとしたら、尚更こいつに頼るのは嫌だ。下手したらまた変な記事書かれて、それでハーレム作りを邪魔されるかもしれない。

「欲しいです。超欲しいです。弥生様のお力をどうかお貸し下さい女の子紹介してください」

 俺は椅子から降りて土下座していた。

 頼るのは嫌だ。ハーレム作りも邪魔されるかもしれない。けどそれよりも今は女の子を紹介して欲しいという気持ちが強かった。頼ることでどんな結果になるかなんて知ったこっちゃない。俺は今、女の子の情報さえ手に入ればそれでいいんだ!

「流石先輩キモいです。気持ち悪い男なだけありますね」

「何とでも言え。俺はその程度の侮蔑の眼差しでヘコたれたりはしない!」

「さっきの出来事が宏太を更に気持ち悪く成長させたんよ」

 そうだ、俺は成長したんだ! ドMじゃないけどこの程度ではもう凹みもしない!

「先輩、そろそろ顔を上げてください。そもそもどんな答えが返ってきても、嫌でもハーレム作りとやらに参加するつもりでしたから」

 あれ、俺土下座した意味なくない? いや、まあ別に土下座しろとか言われてなかったし、勝手にやっただけなんだけど。

「というわけで、これどうぞ」

 弥生にいくつかの紙を束ねたものを渡される。一番上の紙には「弥生が選ぶ、滝壺の美少女プロフィール」と書いてあり、めくると中には何名かの女子生徒らしき名前と顔写真、簡単なプロフィールが書かれていた。

「これは……」

「弥生さんが選んだこの学校の可愛い女の子5名の簡単な情報が書いてあります」

「こんなのいつも持ち歩いてるのかよ」

「違いますよ。それは先輩たちの話を聞きながら、必要になると思ったのでさっき廊下で作ったんです」

「仕事早いな……」

 それにしても、この顔写真はいつも持ち歩いてるのだろうか。というかなんで持っているのだろうか。気になるけど、なんか怖いし聞かないでおこう。

「えーと、料理部『理想の嫁』五十嵐(いからし)(むつみ)、応援団『目覚まし』和流(せせらぎ)心如(みゆ)、不良娘『血濡れの華』水無川(みながわ)小豆(あずき)、生徒会長『冷血の華』天野(あまの)(あや)、新聞部『超高校級の情報収集能力』東弥生――って、なんでお前まで入ってるんだよ」

 めくっていくと一番最後には弥生の名前が。他の女の子たちと比べると写真もプリクラだし内容も軽いし適当と、なんともふざけて書いた感がある。

「そりゃ美少女ですから!」

「は?」

 何抜かしてやがる。と言いたかったが言えない。

 肩までの茶色い髪、ぱちくりとした目を瞬きさせている整った顔、身長は俺の肩あたりまでで、体型は出るとこ出てないスレンダー。美少女、とまでいかないかもしれないけど、それでも結構可愛いのは確かだ。

「なんですかその反応。どこからどう見ても美少女でしょう!」

「いや、確かに可愛いけど……お前、俺に攻略されたいの?」

「何抜かしてやがるんですか。気持ち悪いですよ先輩」

「今日はやたらと気持ち悪いって言われるな。って、そうじゃなくて、じゃあなんでお前の名前が入ってるんだよ」

「ちょっとした遊び心です」

「いらねぇよ! そんなのするぐらいなら、『学園の華』の情報を入れとけよ! 滝壺高校3人の華の一人だぞ!」

 この学校には様々な二つ名的なものを持つ生徒がいるが、その中で「華」とつく3人の生徒がいる。その中で最も人気があり、美しく、完璧な人間。男女ともに憧れの存在であり、俺たちとは住んでいる次元が違うとまで言われているお嬢様。誰もその隣に並ぶことができない高嶺の花で『学園の華』。

「あの方は先輩では釣合いません。いえ、誰でも釣合いません。そんな人の情報を入れておいても意味ないじゃないですか」

「うっ……た、確かに攻略不可能な女の子の情報があってもしょうがないかもしれないけど……。いや、違う、不可能かどうかはやってみないとわからないじゃないか!」

「流石にわかりますよ。だって相手は『学園の華』ですよ?」

「確かに普通に行けば無理だろう。しかし、こっちには『揺さぶりくん』がある!」

 このチートアイテムさえあれば、例えあの『学園の華』であろうと攻略できる可能性はある! はず!

「感情を動かせるっていう長谷川先輩の発明品ですか。確かにそれがあれば……いえ、でもやっぱりリスクが大きすぎますよ」

「あのお嬢様って噂のある『学園の華』なんよ? もし嫌われたら、宏太消されてしまう可能性もあるんよ」

「そうですそうです。『学園の華』はガードが固くて、私でもよく知らないんです。その指輪があっても、むしろその指輪があるからこそ危なすぎます」

 部長と弥生にやめとけと言われる。しかし、そう言われれば言われるほど、俺の中では何が何でも攻略してやろうという思いが強くなっている。

「いいや、俺はやる。誰がなんと言おうと絶対に『学園の華』を攻略してみせる!」

 俺は椅子の上に立ち上がりそう宣言する。二人に諦めないということを伝えるためと、自分にも諦めないと言い聞かせるためだ。

「えぇ……今日の先輩、いつもよりキモくてやる気があって、正直面倒くさいですね」

「そうなんよ。この短時間で色々経験しすぎて、きっとおかしくなってしまったんよ」

「大変ですねー」

「大変なんよ」

「でも、面白くなりそうですね」

「ここまでやる気がある宏太も珍しいからんね」

 二人がこそこそと何かを話している。立ったままじゃまともに二人と会話できないので、とりあえず座ることに。

「それで、俺は『学園の華』を攻略対象に入れようと思うんだ」

「いいと思いますよ」

「いいんと思うんよ」

 あれ、また無理だとか言われると思ったんだが……俺の熱意が伝わったのかな?

「でも俺1人じゃ厳しいし危ないかも知れない。だから、二人にも協力して欲しいんだが」

「いいですよ。では、わたしは『学園の華』の情報を少しでも多く集めてみます。謎が多いですし、『学園の華』のあれこれをしれたらいいネタになりますしね」

「私は最初から協力するん言ってたんよ」

 あれぇ? なんかもっと説得する熱い展開になると期待してたのに、ちょっと拍子抜けだぞ。まあ、よく考えればハーレム自体は二人共協力してくれるって最初から言ってたし、『学園の華』に対しても俺の熱意が伝わったんならこんなもんか?

 ちょっとばかし不安も残るが、せっかく協力してくれると言っていい感じに展開が進んでいるんだし、余計なことは言わないしやらない。

「それでは、わたしはこれから情報を集めてきます。その間、先輩はわたしが渡した紙に書かれた子達でも攻略しに行ってください」

「お、おう」

 一瞬なんでそんなことを? と思ったが、そうだった。俺は別に『学園の華』だけを攻略するんじゃなかった。あくまでも最終目標はハーレム。おかしなテンションになったせいで普通に忘れてた。

「私は宏太のために便利な発明品を作ってる最中なん。完成するまでまだ時間かかるし、宏太はその間に他の女のところに行ってくればいいんよ」

「他の女って……なんですかその嫌な言い方」

「…………」

 反応がない。どうやら本格的に集中して作業に取り掛かり始めたらしい。

 弥生もいつの間にかいなくなってるし、二人が俺のために動いてくれているので俺も自分のためにそろそろ動くか。

「それじゃあ部長、行ってきます」

 反応がないとわかってはいるが一応部長に挨拶をして部室をでる。


「――――」


 ほとんど閉じられたドアの向こう側から、何か聞こえたかもしれない。

 しかし、俺はそれを気にもせずに女の子を攻略しに行くのだった。

どもども、木葉っす

書いているとだんだん何を書いているのかわからなくなって、よくわからない文章が出来上がってしまうっす

ちゃんと書く前にあらかたの筋道は作っておいたはずなんすけどね。どうしてか書いていると余計な文章が増えて大事な説明が省かれ、それを補うために別の場所で説明して――気づいたらよくわからない文章になってったっす

書いていると改めて作家さんって凄いなって実感させられるっす

キャラの性格もブレまくりで語彙力も足りない俺には到底真似できそうにないっす


それでも書いていて楽しいので、懲りずにまだまだ書き続けるっす

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