番外編2ハーフエルフの航海(帆船)前編
女は母親となるべく、苦痛と戦っていた。
コレは私の生きる為の業なのだ。
愛する人の子を産み、一族の繁栄をもたらす為に必要で危険な作業なのだ。
このお腹の風船は暴れて弾けて消える。
そして永遠に繋がっているわたしの一部なのだ。
誰の物でもない。
わたしと皇帝陛下の一部。
「あたまがみえてきましたにゃ~。息んで~!息んで~!」
「○~×、△□DE!!」(イタイ!イタイ!イ、イタイ!!)
心臓も肺も、もう限界!
お腹の一部を引きずり出す様な感覚。
もう、だめ、許して…。
呼吸のしかたも忘れる、苦しい。
だめ、もうだめ、おかあさん。
死にそう、
何かが切れる。
「出てきましたにゃ~!!おめでたですにゃ~」
何かを叩く音の後に聞こえる。
まるで発情期のネコの様な音。
「ああ、ワタシの赤ちゃん!みせて~!!」
「今、産湯で洗ってますにゃ~。」
酷い泣き声。元気なワタシの子。
「はい、元気な女の子ですにゃ~。」
「ああ、ワタシと陛下のこ・ども…。」
ニコニコ笑うメイドが白い布に包まれた、私の子供を受け取る。
ああ、早く見せて私と陛下の分身。
顔を見る。
ああ、なんて…。
「い、イッ~!イッヤ~~~!!!」
白い。なんで?
こんな白い子。
陛下の子のはず無い!!
ウソ、私は陛下の子を!!
どうして。
何で!!
無事、出産が終わった子を見て母体が急変した。
あまり無いことだ。
「どうかしましたかにゃ!!」
「シハル様ご乱心!!」
「すぐに治癒魔法士を!!」
「母体を安定させるにゃ!!自傷しないように固定するにゃ!!」
「シハルさま!しはるさま!!落ち着いて深呼吸して。」
女中、数人で母体を押さえつける。
混乱をしている母体には呼吸を落ちつかせるコトが先決だ。
母体に語りかける。
「シハル様!!お子様はご健康です。落ち着いて!!」
「ワタシの子が!そんな肌の色!!ワタシの子。」
「おちつくにゃ!!深くゆっくり呼吸するにゃ!!」
暴れる母体は同じ女の力では抑えるコトは不可能な事態だ。
ドアが開いて新たな闖入者が女の砦に入る。
資格者で無い者は重罪だ。
「シハル。俺の子はどうだ?生まれたか?」
「元気な女の子ですにゃ!!」
「ああ!!皇帝陛下!!これは間違いなんやで!!コレはなんかの間違い!!」
「ほうほう、俺の娘か。なんだ、母親方の婆さんにそっくりだな。」
「にゃ?」
「え?御婆様!?」
「そうだ、この眉毛は俺の母に似ている。ふむ、鼻はシハルだな、目は俺だが。」
「あ、あの皇帝陛下、肌の色は。」
「む?俺は日焼けしているからこの色だが、元はもっと白いぞ。」
「そうですにゃ、長男シロウ様の肌の色も白いですにゃ。」
「え、あの。それでは…」
「良く頑張った、シハルよ!この子が大きくなればダークエルフの里も自治独立の道を約束しよう。」
「あ、はい、皇帝陛下の御心のままに。」
「よかったにゃ。この子も毛があるにゃ。」
「俺の毛は剃っているだけだぞ。」
(´・ω・`)また髪の話してる。




