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「陽奈香!」
「...どうしたの?」
帰りの会が終わって帰ろうとしていると、夢叶が切実な顔で話しかけてくる。なぜか無性に嫌な予感がするのは気のせい?
「勉強会しよ!」
気のせいだった。
◇
「で、なんでそんなに切実に?まだテスト3週間前でしょ?」
「違うんだって!400点取らないと親に殺される!」
「あぁ、そういう。」
私たちはなんだかんだで図書館に来ていた。まぁ学生の定番と言えば誰かの家になるんだろうけど、あいにく私が夢叶の家に行くのを全力で拒否ったためにこうなった。
「で私に教えてくれ、と。」
「そういうこと!」
「まぁでも夢叶なら基本的な問題は解けるだろうし、私は本読んでるから必要になったら読んでちょーだい。」
「はいはーい。」
「陽奈香~ここどういうこと?」
「え?...あぁ、命令文にandがつくと”〇〇しなさい。そうすれば◇◇でしょう”っていう意味だから、意訳すると”間に合いたきゃさっさと走れ”ってこと。まぁ書き換えだからあんまり命令文だって考えすぎないほうがいいかもね。」
「あれ......結構簡単?」
「わかっちゃえば大抵そういうもんだよ。」
一応ここのスペースは喋ってもいいはずなんだけど、別人レベルで、私も夢叶も静かにしてる。やっぱりいつもの状態を知っていると、ギャップで違和感がひどい。その感覚がどこかくすくっだくて、自然と笑顔になる。
「...どうしたの?陽奈香。」
「いやなんでも?気のせいじゃない?」
「...明らかにちょっと笑ってるけど?」
「...まぁ、そういうことにしとこうかな。」
そう言って、少しの間夢叶の髪をいじってみた。
◇
『閉館30分前になりました。閉館前は貸出機が混みあいますので、ご注意ください。』
「あれ、もうこんな時間なんだ。」
「この部屋窓ないからねぇ。ついでに助けて陽奈香。肩痛い。」
「自分でどうにかしろ?」
そんなことを言いながらシャーペンとかノートとかを片づけて、書棚に辞典も戻して、部屋を去る。少しだけ時の動き出した図書館から出ると、もうそこは暗くなっていた。
「で、どうだった?400点、取れそう?」
「うーん...やっぱまだきついというかなんというか...ねぇ...」
「まぁ、まだ3週間もあるんだし、ゆっくり頑張ってみたら?」
「...そうする。」
まだ暑さのない、涼しい通りを歩いて行く。いつもと雰囲気が違ったけど、こういうのを定期的にやってみるのも、面白い気がした。
ちなみに夢叶の家に行くのを拒否った理由は、豪邸すぎてなんか怖いからです。あと、陽奈香の家は学校から遠すぎるので却下となりました。




